美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話 ある日のシシの日常3

「はい、こちらシシカメラです! 今日はエデンの色んな所を回っちゃいますよ!」

 ちゃんとコランに言った様に私は一人でカメラを回す。簡易的なこれは、ちゃんとカメラマンさんが被るようなそれじゃないから、脳内補正が掛からない分、ちょっと画質が悪いんだけど、まあこれ味だよね。頭に被るタイプのカメラはラーゼ様曰く、脳の処理能力を使ってるらしい。

 そして人が見るままを撮ってる訳だけど、人の視線には既に補正が掛かって、美しい物は更に美しく、感情的にみえてるんだって。だから被るタイプのカメラなら、後で色々と補正しなくても、とても良い感じになってるんだけど……まあ私クラスの美少女なら問題ない。

 私は四足の脚に、細長い胴体のネックレス型カメラを起動して自撮りしてる。勝手に私を追ってくれてこれはこれで便利だ。被るタイプのカメラよりも気持ち悪くないしね。チョロチョロと動く様はちょっと可愛い。これでちゃんと取れ高を確保してれば問題ないでしょう。

「さて、エデンのどこにいこうかな?」

 観光地なんて今更である。ならもっと別の……

「大丈夫かな?」

 ちょっと怖くなってきた。危害を加えられる……なんて事は無いと思う。なにせここはエデンだ。はっきり言って治安は地上よりも良いってきく。けど、ここには殆ど人種がいない。なんか同族が居ないってだけでちょっと 心細くなる。
 コランの様にいっぱい引き連れるのはごめんだけど、流石に自分の様な美少女が一人では……

「もうこの建物の中を回るだけでもいいかも?」

 ここにはラーゼ様がいるし、それだけで安心できる。それにここだけでめちゃくちゃ広いし。ヘタに列車で移動するよりも安心だし、ここだって殆どカメラに撮られたりしてないはずだ。

「よし!」

 別に日和った訳じゃない。ここにもネタが沢山あるだけだ。適当に歩いてると、大きな広場みたいな所にでた。吹き抜けで天井まで何十メートルあるの? って感じの場所だ。

 この場所を照らしてる魔光石はとても大きかった。てか見たことない位の大きさだ。クルクルとした通路が上まで続いてて、ここから色んな所にいけそうだ。でもなんか通路が続いてない場所にも先があるような? そこからは翼をもった種族がバサバサと出てきてた。

 広場の中央にはラーゼ様の像がある。ここからならどこにでも行けそうだけど、目的地があるわけじゃない私は困った。沢山の人がいるが、声を掛けるにも、皆さん他種族だからね。ちょっと気後れする。てかこの映像だけで、かなり良い感じだと思うしここの感想でもいってればいいか。

「見てください皆さん。この荘厳な雰囲気。まさにラーゼ様の居城に相応しいと思いませんか?」

 とかなんとか適当な感じで喋り続ける。そんな事をしながらこの広場の映像を撮ってると、さっき見た女の人が目にとまった。それなりに生物が多い場所だけど、やっぱり同じ人種って事で視線が引かれたのかもしれない。

「むふふ」

 私は良い事を思いついてその後を追った。

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