美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話 魔王ミリアの日常6

 はむっと赤ちゃんがキララのおっぱいを吸ってる。私も出そうと思ったんだけど、何故かキララに拒否られた。私は今魔王だし、存在として人種とは違う。その気になれば、母乳に似たものを出すことくらい出来るのにね。

「それって飲ませて良い奴?」

 とか失礼しちゃうよ。限りなく母乳に近いんだから、飲ませて危ないわけ無いじゃん。寧ろ本当の母乳よりも栄養満点だよ。なにせマナが濃いからね。人種が生成できる物とは質が違うよ、質が。

「ねえねえ、おっぱい飲まれるってどんな感じ?」
「ちょっと変な事聞かないでよ」
「じゃあ、兄様わかります?」
「ぶっ!? わかるわけ無いだろ!」
「いや、吸う感じとか」

 当然、私だって兄様に吸われてる感覚なんて聞かないよ。わからないだろし。だから吸う感覚をね――とか思ったのに、なんか兄様の顔が赤い。

「それは……その……」
「止めてください」

 兄様が必死にもごもごしてるのをキララが止めた。ええー聞きたかったのに。私達は家族なんだから恥ずかしがる事なんか無いでしょうに。やれやれだよ。

「じゃあ私にも飲ませてよ」
「なんで!?」
「いや、その子がおいしそうに飲んでるから」
「うーうー……」

 なんかものすごくキララが葛藤してる。飲ませていいのかダメなのか迷ってるらしい。

「大丈夫、その子の分まで飲んだりしないから」
「うーうぅー、それはいいの?」

 そこまで迷うこと? 確かに赤の他人なら絶対にイヤだけど、私達は家族だよ。別にそのくらい良いじゃん。深く考える必要なんてない。それに私達は同性だ。実際私は魔王と言う存在だから、同性かと言われるとわからないが、私は自分を女だって思ってるよ。

 別に着いてないしね。体は人種の時の私の体がベースとなって居るから見た目的には女だよ。

「兄様はキララの母乳飲んだことありますか?」
「ぶっ!?」

 また兄様が吹き出した。そんなおかしな事聞いてるかな? 夫婦なんだし、そのくらい普通にしてるのでは? とか思った。なにせ赤ちゃんが口にする物だし、確かめたく成らないのだろうか? 私はめっちゃ気になる。

「どうですか?」
「どうって……」

 なんか今度はキララも兄様と一緒に赤くなってる。ちょっとよくわからない雰囲気だ。私が悪いのだろうか? 

「ああーもう! わかったよ。そんなに興味あるなら飲ませてあげる」
「うん、ありがと」

 とても軽く言うと、なんか呆れられた。感謝を示したのに何故に。とりあえず赤ちゃんがお腹いっぱいになるのを待って飲ませて貰った。なにせ母乳は赤ちゃんの物だからね。私は残り物でいいんだよ。

「それじゃあ残り物を頂きます」
「その言い方やめてくれる」

 なんか嫌がられた。私は赤ちゃんに敬意を示しただけなのに……まあとりあえずキララの母乳はなんとも言えない味だった……とだけ言っておこう。うん、後でおいしい母乳を作るって言ったら、怒られた。何故に? 

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