美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω170

「これは……あのカラスの視界?」

 なんでこんなことになったのかは分からないが、まあ、世界を回ってくれるのなら……

「いや、こんな悠長にやってられないから!」

 マナを辿っていけばそれこそ一瞬だよ。確かにこの星のマナではなく、別の星のマナが多く満ちてる場所は見れないし、対策してる奴の所は見れないが、そこはほら……私が気にする必要なんてないし。なのにこんな物理的に世界を移動したら、それこそ何日もかかるよね!? こっちは一分一秒も惜しい状況だ。

「ちょっと切り離していい?」
「カアカア!!」
「ええーー」

 なんでだろうか? カアカアしか言ってないのに何となく『ダメ』って言われたのがわかる。ええーだよほんと。そもそもこのカラスが何をやりたいのか……てか何者? どんな存在? 何となくこのカラスも柱の一体の気がするんだが……でもあいつらこんなかわいくないしな。よくわからん。

「カアカアカア!」
「そうそう、私急いでるからね」

 なんか理解してくれたみたい? すると景色が一気に流れ出す。というか、なんか流れ方おかしくない。いきなり景色を置き去りとか、そんなレベルじゃなくなってる。なんかいくつもの光がある場所で後は真っ暗。そんな感じの景色になってるし、その光の中に、なんか外の景色があるような? 

「カア!!」

 一声カラスが鳴くと、陣があらわれる。それは見た事もない陣だった。そこにカラスは飛び込む。そして次飛び込んできたのは真っ赤な世界。周囲全部が真っ赤だ。なにここ? マナだから大丈夫だけど、生身でこんな所きたら一瞬で死ぬんじゃない? そんな場所だ。周囲全部がマグマみたいな……まるで太陽の中みたいな場所だ。私はちょっと集中してみる。

「なるほど、ここは星のコアの部分って訳ね」

 どうやらここは星の中心らしい。この外側までも世界樹の根は張ってるが、流石にこの内部にまではとうたつしてない。けどここも何か鼓動の様にうごめいてる。それと同時に大きな力があふれてるのを感じる。

「まさかマナも変換された力なの?」

 マナこそが力の原初、すべての生命の源って感じだが、このコアからあふれてる力はなんかマナよりももっと曖昧な気がする。それにマナよりもなんかシャワーぽいというか、霧みたいというか……あれかな? マナよりも粒が小さいのかな? 

 さらにカラスはこの場所の中心を目指す。するとこのコアの中心にそれはあった。物体じゃないけど、中心には小さな陣がいくつも凝縮されたような球体がある。そして耳を傾けてみると……

「歌が聞こえる?」

 しかもそれは今絶賛ライブ中のプリムローズの歌だ。

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