美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω169

 私は自身の世界の世界樹の巫女である。まあ巫女という自覚はないが、そういう役割を負ってるらしい。別段それらしい事はやってないけどね。だからこそ、人種にはありえないくらいのマナを私は行使できる。それは世界のマナだ。

 そしてさらに私はゼルラグドールと契約してる。ゼルもおかしいくらいのマナを持ってる。だから私の総容量は莫大だ。それに私は常に世界樹とゼルにつながってる。ゼルは魂の回廊だから、どこにいようと魂の繋がりは切れることはない。それこそそれが切れる時はきっとどちらかが死んだとき。

 でも世界樹とのつながりは、実はアラガタの方の世界に行ってた時はかなり弱くなってた。それこそほぼなくなってたといってもおかしくはない。やっぱり世界樹が別にある場所では干渉がそうそうできない? みたいな感じみたい。

 けど今は宇宙空間だ。ここには私を縛るものはない。私はマナとなって精神だけを世界樹へと下す。

「ふう、なんか戻ってきたって気がするね」

 目を開けるとそこは真っ白な空間だ。マナが集まる場所……ここは世界樹の中なのだ。何個かのマナが私の周りを回り出す。真っ白なマナの一つの筈なのに、私の帰還を喜んでくれるとは……カワイイマナだ。

「ここにも歌が聞こえるね」

 まあ物理的に距離があるわけじゃないから、聞こえてもおかしくはない。だってライブはアナハイムでやってるしね。世界樹もアナハイムにある。なら聞こえても全然おかしくはない。おかしくはないが……なんか不思議な感じ。やけにマナが浮かれてる? もしかしてだけど、この世界のマナもあのマイクの影響受けてる? 
 それは考えてなかった。だってあのマイク使ったとき、あからさまに星が出てきたじゃん。だから星にに影響があるものだと思ったわけだ。それに別にこの星には変わりなんて……

(本当になかった?)

 思い返せば、あれから色々と異変はあった。けどそれは大体別の星のマナが侵食してきたから……と思ってた。けど、実はマイクの影響を受けた現象でもあったのかな? このマナの浮かれてる感じが、アラガタの星の世界樹の根の動きをおかしくしたんだろうか?

 もしかしら他にも影響が出てるかもしれない。普段は面倒だから、あんまりやらないが、この状態だからちょっと世界を見てみよう。アラガタの星のマナとかのせいで、見れない所もあるが、このマナが満ちてる場所は私のエリアみたいなものだ。

「ん?」

 なんかそこにいる。それは白いカラスだ。私の事を見てるそれは、背を向けて飛び出す。すると私の視界がそれに引っ張られる。私の視界には大空が飛び込んできた。どういう事? 

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