美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω164

 何かが起きてる……私はそれを感じてた。見えない何かが、私達をサポートしてくれてる様な……そんな気がしてた。

「ゼロ、わかる?」

 私はその自分の感覚が間違ってないと確信を得る為に、ゼロにそう聞いた。見える所に変化はない。だけど、見えない部分では何か変化が起こってる筈だ。なにせあのアラガタの動きがいきなりおかしくなったのだから。アイツは頑強だ。そもそも外からではなかなか傷一つつけれない程に。

 つけたとしても直ぐに補修される。星からのマナの供給がある限り、アラガタを倒すのは難しい。ファーストもセカンドもやられた。カンガタはどっかに吹っ飛ばされたし……残ってるのは私だけ……これは流石に……と思わざるえない。

 いつもなら、アンティカさえあればなんだって出来るとテンション上がる私だけど、今の状況はテンション上がる状況じゃない。肩にファーストの重みがのしかかってる。普通なら、こうなった時には既に私達は終わってた筈だ。
 だって二人の時に、なんとかアラガタをやり過ごせてたんだ。二人の連携でどうにかこうにかって感じで。それなのに、カタヤ様がやられて私はファーストを背負い何とか逃げる……というかカタヤ様を生かす選択肢をとった。

 それは軍人としてはバカな判断だったと思う。もしもカタヤ様が気を失ってなかったら絶対にこの行動を許しはしなかっただろう。何せこの行動は私達二人を危険にさらしてしまうものだから。もしもカタヤ様を見捨てて、それを囮に態勢を立て直すか、一撃重いのを入れるか……どっちかが出来たかもしれない。

 そういうチャンスをふいにしたわけだしね。けど、私のこれまでのアラガタとの戦闘で、それであいつを倒せるとはどうしても思えなかったんだよね。もしも……だよ。もしも、本当にカタヤ様を囮にアラガタを倒せる……とまではいかなくても、とても大きな有効打を撃てたら、私はそれを実行してたと思う。

 でもそのビジョンはなかった。だからここでカタヤ様を、ファーストを失うなんて事の方が悪手だと思ったんだ。私の勝手な判断……ゼロだって反対してた。でもこれは私の勘だった。ここでカタヤ様を見捨てない方が絶対にいいって。

『周囲に高密度のマナが展開されています』
「それって……」
『そういう事でしょう。我らの大将は見ててくれてるようです』

 やっぱりラーゼ様がアラガタに何かをやってくれたらしい。だって本当なら、ここまで私達が生きてるのがおかしい。ファーストを背負って機動力が下がった。アラガタにつかまってないのはおかしい。でもそれは起きてる。なら、何か別の力が補助してくれてるって考えるのが妥当だろう。
 そしてそんな事が出来る存在は限られてる。

 ラーゼ様が稼いでくれた時間で気を失ってたカタヤ様が目を覚ましたみたい。とりあえず逃げながら集めれるパーツは集めた。これはファーストに使ってもらう。私はカタヤ様を離して、目的の物の元へと急ぐ、それはセカンドの武器の場所だ。宇宙を漂ってこの近くにまで来てたみたい。

 私はそのアンティカよりもでかい銃をとる。ゼロにスキャンしてもらって使えることを確認。自分の銃についてコードをセカンドの銃にさしてエネルギーを重鎮。私は向かってくるアラガタに銃口を向けた。こっちに来ないかも……とか思ったが、奴はこっちにきた。

「外さないでよ……」

 視界の中で、照準が揺らいでる。私は息を整えてそれがかちっとハマる瞬間を待つ。複雑に動いてこっちの照準をズラしてるアラガタ。照準は頑張って追ってるが……おいついてない。このままじゃ、撃つ前にここまで来られる。

(もう撃つ? いや、それじゃ意味がない)

 そんな焦りが私に汗を出させる。けどその時、アラガタの動きがガクンと止まる。その瞬間だった。照準がカチリとハマった。

「いっけええええええええええええええええええええか!!」

 私は圧縮したエネルギーを解放させた。

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