美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω160

 どうにか私がマナを広げた範囲から出ないでくれることを祈りつつ、私は慎重にやるよ。こっちにもあんまり時間は掛けてられない。プリムローズの歌のおかげで、世界樹の根がおかしくなってるが、それもいつまで続くか……というか、ずっとライブし続けさせるのも濃くだしね。

 でも今はプリムローズの歌がカギである。歌い続けて貰わないと、私達は終わりだ。一曲五分くらいだと換算しても、三十分歌い続けるだけで六曲必要だし……普通は合間合間にMCがあるものだけど、それを挟むと歌が途切れる訳で……プリムローズにとってもこれは厳しい戦いだ。

 彼女達ののどがつぶれてしまう前に、この戦いを終わらせないとね。

(こんなもんかな?)

 かなり濃く広げたぞ。めっちゃ大変だったが、すべてのマナを操れる私はゼロの赤いマナみたいにただばらまくだけじゃなく、ばらまいた後も制御できるから拡散なんてしない。それがやっぱり違うよね。ゼロにもその機能が必要だね。
 そうじゃないと、ゼロの強みが行かされる場面が限られるし……今後の課題としてネジマキ博士に改善に取り組んでもらおう。

 まあ今はアラガタだ。とりあえず今にもやられそうなクリエイトとカタヤを助けないとまずい。かと言って私が飛ばせるのはこの視界とマナくらいだ。まあマナが飛ばせればたいていの事、出来るけどね。でもその大抵がアラガタには効きそうにもないっていうね。

 ほんとう厄介だよ。ただただ純粋に強いって奴は。でもそんなアラガタにも穴がある。それがユングだ。ユングは確かにアラガタの中にいるのを感じる。死んでるか生きてるか分からないが、ユングの存在というマナが残ってるのなら、まだ生きてるのかも? 既にこっちの世界樹に帰ってしまったと思ってたけど、向こうの星にいたときはそれを確かめるすべはなかったし、直後とかじゃないと、検索するの怠いんだよね。
 私の頭はスーパーコンピューターじゃないし。だからやってなかったが、アラガタに取り込まれてるのなら、生存の可能性はある。

 カンガタの奴も車長さんを取り込んで復活した。もしかしたら奴らって何かを媒体にしないとその存在を保てないとか? 向こうの世界樹も生贄に寄生してたし、寄生虫みたいなやつらなのかね? 宿主よりも強い寄生虫とか最悪だ。

 まあけどそうとは決まってない。何か目的があって使えるとかユングは思われたのかも? でもアラガタがユングの体を体内に取り込んでるから私もアラガタの中に干渉できる。カンガタの奴に車長さんを通してマナを融通したようにね。

 本当は違う星のマナなんて毒なのだ。それをカンガタの奴は車長さんを取り込む事で緩和してる。だから私のマナも使える。それに向こうはなんか気が合ってるのも大きい思う。でもこっちは違う。そもそもユングの意志というか、心は感じない。
 やっぱり死んでるのか……でもぞれでも魂は、マナはまだそこにあるんじゃない? 

(聞こえるユング! 聞こえるならこのラーゼに応えなさい!!)

 私はそうマナでたたきつける。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品