美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω152

「通信、届きません」
「はあ!?」

 ゼロの言葉に私はそう返す。だって届かないって……通信ってそういう物なんだ。

「どうするの? ゼウスを追いかけないとダメ?」
「それは現実的ではありません。今、通信が届かないのは、その機能が損傷したからです。ここにあるパーツで保管します」

 そう言ってスキャンを開始する。

「ぐおおおおお!!」

 ヤバイ、そろそろカンガタが限界だ。じっとスキャンを待ってるわけにはいかない。取り合えず装備は換装出来てる。足はもう捨てた。代わりに長いスカートの様な装備に変えて、機動力を挙げた。このスカートの中には六基のブースターがある。機動力はこのスカートだけで三倍である。

 さらに背中には新たな装備を取り付けた。それはカタツムリの様なおおきな殻だ。恰好は不細工だが、しょうがない。これのせいで実際スカートのおかげで三倍になる機動力も2.3倍に落ちてはいる。でもこれは必要だ。そして両手には殻から延びるケーブルがつながった二丁の銃を持つ。

 アラガタに近づくのは危険が大きい。だから銃だ。私は銃口をアラガタに向ける。殻が僅かに赤く染まる。そしてケーブルから銃にそれが流れる。

「当てる!!」

 私はゼロの予測と自分の経験を信じてボタンを押した。二つの銃は案外小さい。それこそセカンドが持つ背丈を超える奴とは比べ物にならないくらいだ。けどこれにはこれの利点がある。超長距離は無理だが、直接のエネルギー供給を受けることで、威力の幅が広い。

 もちろんアラガタには出力を最大近くまで上げて撃つ。小さな銃から出たとは思えないほどに大きな光が放たれる。

「反動が強い!」

 予測してたが、それ以上。アラガタにはすんでてよけられた。けど避けたという事は、ちょっとは気にする程度の威力ではあったわけだ。それに何とかカンガタから離せたし、よかったとしよう。

「反動修正、軌道予測……発射!」

 私はさらに続けざまに攻撃をする。でもやはり当たらない。けどさらに反動修正と軌道予測をしていく。私は小劇の手を緩めない。近づいてる……その実感がある。

 そして画面に映る予測と実測が結びつく――その瞬間――に銃が火を噴く。

「よし!!」

 直撃だ。間違いなく。けど直ぐにアラガタは腕を前にして出てきた。どうやらそっちでガードしたようだ。けど、わずかだけど、ダメージ後がある。直ぐに治ったが、確かに見た。通じない訳じゃない。でも正面から戦ってばかりじゃこっちの消耗がはやい。狙うは持久戦だ。

 私はブースターを吹かせて一気に後方に引く。

「ゼロ、通信は?」
「まだ部品が足りません。マップ上の部品を補充してください」

 やっぱりまだまだ耐える戦いは続きそうだ。糸一本でつながったような戦闘……本当に心臓に悪い。

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