美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω144

 ゼウスが星へと近づく。私達がさっきまでいた星は、まるでメロン……いや毛玉みたいだ。よく見ると、宇宙からもうごめいてるのがわかる。一体中はどうなってしまったんだろうか? まああの星には生命はいなかった。微生物とかはいたかもしれないが、そんなのは知ったこっちゃない。

「まるで鼓動をしてるかのようですね」

 どうやらヘビは私とは違う事を感じたようだ。確かにそうも見える。星という心臓が鼓動をしてる……そう考えると気持ち悪いね。

 私は今ブリッジにいる。そして艦長がいるその隣というか、VIPな席に座ってる。艦長はヘビではない。ヘビは私の隣で立ってる。

「ラーゼ様、本気……なのですよね?」
「何を言ってるのよ艦長。あれを壊さないと、私達の星が食われるのよ? 迷う必要も確認する必要もないでしょ」
「そうですな。やりましょう!!」

 私は艦長を論破してふんぞり返る。疑問なんて必要ない。私がやると言ったらやるのだ。私が黒と言えば白も黒になるのだ! まあそれは周りが許してくれないかもだけど……色気でちょちょいとやればやれそうだが、そんなのは私が望んでる美少女の姿じゃない。

 それは悪女である。まあ悪女もいいなって思うよ。悪女には悪女の魅力がある。けど私はどっちかというと小悪魔が好きだ。かわいらしいじゃん。私という美少女にあってる。

「部隊を投入しろ!」

 その艦長言葉とともに、宇宙空間に豆粒が……いや、人が放り出される。さらに後から飛行ユニットが排出される。なぜに乗ってから出さないのか……多分何か理由があるんだろう。そこに突っ込むのは私の役目じゃない。

 彼らは器用に宇宙空間で飛行ユニットと合流して四方に散っていく。そして彼らは背中に背負った機械から赤いマナを放出してた。その軌跡がどんどんと伸びていく。

「よし、ゼウスは主軸を担当する。計算は終わってるか?」
「勿論です!」
「いつでもやれます!」
「よし、各々、部隊をサポートしつつ、星光破壊陣の構成を開始せよ!!」

 バッと手を前に掲げる艦長。それに皆が呼応する。流石はゼウスのクルーたちである。皆さん練度が高い。まあ当たり前か。なにせゼウスは第一機甲師団が使う船である。それぞれの機甲師団に船があるが、このゼウスが一番高性能で豪華である。

 だってなにせ英雄が使う船だからね。みすぼらしい奴であってはならないだろう。そしてここの奴らはきっと英雄の船という誇りがあるんだろう。やる気がめっちゃある。ここの奴らって私的にはちょっと暑苦しいんだけど、今は頼もしい。

 毛玉みたいになってる星へと、私達が紡ぐ陣が絡まっていく。てか……星光破壊陣って何? 

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