美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω136

 ベール様が作ってくれたチャンスを私は生かす為にブースターを吹かせた。そして同時に、前線で戦ってる二人に声を掛ける。

「サポートをお願いします!!」
「よし! 任された!!」
「何をする気だ!?」

 カタヤ様はすぐさま了承してくれたが、カンガタはそうじゃない。でもそれは仕方ないだろう。だって彼は私の事あんまり知らないし。けど一応の信頼はあると思ってる。なにせ私は彼が課したミッションを一度はコンプリートしてる。

 ここまで場面を転換できたのは私の頑張りあってこそだ。まあ皆が頑張ったの当たり前なんだけど、それでも皆が皆、自分の役割をこなした結果、私達は今の状況をひねり出したんだ。だからまあカンガタもサポートしてくれるだろう。

 その証拠に、二人はアラガタの奴のドリルが私に来るのを防いでくれてる。けどやはり距離があったから、アラガタの奴の立て直しも早い。既にこちらに照準を向けてるのが見える。カンガタとカタヤ様は周囲のドリルで一杯一杯。本体まで手は回らない。

 けどベール様はきっと今も狙ってる。けどアラガタの奴もその可能性を放棄する様な奴じゃない。だって今さっきやられたんだ。

「え?」

 アラガタの奴が私とは違う方向に砲撃した。一瞬なんだか分からなかったが、直ぐに理解する。ゼロが気を利かせてモニターに後方の映像を出してくれる。どこまでもまっすぐに進むアラガタの攻撃。どこかで爆発するなんてなかった。でも狙いはわかる。きっとあの方向にベール様がいたんだろう。

「――っ!?」
『前を見ろ馬鹿者!!』

 声を出す前に、先んじてベール様の声が飛んできた。私はそれで目の前にアラガタが来てるのが分かった。いや、厳密には違う。その場からアラガタは動いてない。けどその腕だけが私に迫ってた。片腕だけ普通の手に戻ってる。別にさっきの銃でもよかったんじゃ? と思うけど、やっぱりエネルギーを放出するのは抑えたいのかも? 

「クリエイト!!」
「わかってる!!」

 私の思考をせき止める様にゼロが声を掛けてきた。確かにちょっと思考が深かった。思考を放棄する事はできないが、そのバランスは大切だ。特にこういう強者が相手だとなおさら。画面にアラガタの体がブレた様に表示されてる。なんだこれは?

「確率と可能性を算出してます。判断に使ってください」

 なるほど、このブレたアラガタの姿は未来のアラガタの動きってことね。どう動くのか、どういう攻撃を仕掛けけてくるかをゼロが確立をもとに算出してるみたいだ。ありがたい。けど、これはどれだけの精度なのだろうか? 
 このどれかでもない可能性だってたぶんある。だからこれは可能性として捉える。ただの選択肢の一つ。ちゃんと見て、これまでの経験と勘も加味する。

(よける! 避けられる! 私は!!)

 私は直前でさらにゼロを加速させる!
 

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