美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω121

(お願いゼルエモーン!!)
(誰がゼルエモーンだ。変な呼び方をするな馬鹿者)

 伝わってくるゼルの気持ち的には別段悪い感情はない。構ってくれるだけで嬉しいちょろいドラゴンなのだ。ちょろゴンである。なのでまあ分析とかもやってくれるだろう。

(とりあえずお願い)
(貴様はとりあえず我を使いすぎだぞ)
(はいはい、いいからなる早でなんか上手くやってよ!)

 私的には何が何だかわかって無いのだ。このままではアラガタが放った必殺の攻撃に呑まれて私達は終わる。流石のわたしもあの闇みたいなものに呑まれたら死ぬような気がするもん。どうやらカンガタは集めた瓦礫に何かを施してわざと飲ませてるみたいだが……そしてカンガタと繋がる事で理解できないが、何かが確かに私には見えてる。

 私に見えてるのなら、ゼルにもきっと見えてるだろう。なにせ私達は魂の回廊で繋がってる。どんどんと迫るアラガタの攻撃。それは周囲の空間とかなんとか全てを飲み込んでいく様なものだ。ブラックホールか何かを作り出しやがったのかもしれない。

 めっちゃヤバイ攻撃しやがってる。私の仕込みどうだったんだこれ? 

(ふん、無意味ではなかったぞ。奴の狙いは分かった)
(さっすがゼル。ちゃちゃっとお願い!)
(我はお前を通して調整するくらいしか出来ないぞ。貴様がやれ)
(やれって何を)

 私は九割くらいわかって無いわよ。多分あのブラックホールをとめる為に色々と仕込んでるって事くらいしかわかって無い。そもそも飲み込まれた瓦礫のそれは健在なの? 

(お前のおかげで随分と規模が小さいし不安定だ。どうにかなるだろう。我の目を貸してやる)

 すると視界が切り替わった。なんか世界が波になった。何これ? 葛飾北斎か? その人が描いてた絵の様な表現の波が見える。けど、向かってくるブラックホールに波はない。無だ。いや、弱いがある? あれにマナを繋げればいいのかな? けど私のマナではあのブラックホールに抗えないぞ。既に結構枯渇気味だし。

(貴様が集めたこの星のマナを使え。我が食らえば貴様も問題なく使えるだろう)
(なるほど)

 ゼル様様である。私は波を意識してマナを通す。なるほど、波に乗せた方がマナを操りやすいのか。なんとか波を繋ぐと、カンガタが反応した。

「よし、そのままの状態を維持してろ!!」

 そういうと、なんとカンガタが残して瓦礫を掴み大きく回りだした。するとそれに引っ張れるようにマナが伸びる。不味い切れそうだ。私は切れない様にマナの波を繋ぐことに意識を集中する。すると次第にカンガタの動きに合わせてブラックホールが流れ出す。

 そしてカンガタの回転が一回転する頃には流されたブラックホールが完全について来てて――「今だ! 切ろ!!」――の言葉で私は波から意識を離す。それと共に、ブラックホールがアラガタの方へと向かっていく。自分の攻撃を食らうがいい! 

「こしゃくなあああああああああああああああ!!」

 そんな事を叫んでたが、ここでようやく私の仕込みが功を奏したのかアラガタは動こうとしない。向かいうつつもりだ。ならこっちはその間に目的を達しよう。私達はアラガタに背を向けてクリエイトの回収へと向かった。

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