美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω110

「ううううおおおおおおお!!」

 私は迫ってくる世界樹の根を小手でいなす。ぶつかってたら命がいくらあっても足りないし、この小手の力でぶち裂いたとしても意味なんてない。だから私はいなすって事にしたんだ。まあ言う程簡単じゃない。なにせ相手は世界に根を張る世界樹の根さんだ。

 太く強くしなやかで、その力はまさに世界中の土の中をはい巡る程だ。何せ根だし。私がしぶといせいか、根が増えて四本くらいになってる。けどまだ何とか出来る。さっきなんとかまた一つ装置を起動したんだけど、その時にわかったことがある。

 この世界樹の根、どうやら装置がある建物は気を使うらしい。建物に入ってしまえばもう手出ししてこないから、そこでちょっと休憩できるのは助かった。でもそれだけこの装置は大切だってことだろう。いや、私達とはその認識がちょっと違った。

 私的にはここに住む奴らにはこの装置は大切だけど、世界樹にとってはそうでもないと思ってた。別段関係ない物なんじゃないかって……けどそれは違うようだ。世界樹にとってもこの装置は大切? 良くわからないが、ちょっとだけこの装置を起動していいのかと、そんな疑問が生まれる事になった。

「けどそれを考えるのは私の役目じゃないよね」

 兵士の役目は上の命令を忠実に実行することだ。それ以上でも以下でもない。それに今の情報でははっきり言って装置を起動する以外の選択肢がない。あの装置がここ都市の結界みたいなのを維持してるから宇宙に出れないってカンガタがいったからだ。

「実はうごかされてるうううううううう!?」

 考えごとしてると建物を突きやぶって世界樹の根が襲ってきた。私は地面に張り付いてそれを回避する。そして転がって立ち上がって直ぐに走り出す。

「私達にはやっぱり情報が足りなさすぎるんだ。でもラーゼ様が何かをカンガタから聞いてるって信じるしかないよね」

 私はそう思って空をちらっとみる。戦ってる最中に流石にそれは難しいだろうか? けど、もしかしたら私達は利用されてるだけなのかもしれない。カンガタはアラガタと元々は同一だったといった。ならグルとか……けどそれなら装置自体自分たちで起動したらいいだけの様に思える。

 対立してるのは本当なのかな? あいつら以外にこの星に生命体が入れば……もっと情報がえれたのだろうが、いない物を願ってもしょうがない。結局私はいわれた事をやるしかない。この星から出れば、少なくとも世界樹という脅威はなくなるのだから。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品