美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω106

 私は何とか装置ある建物の近くまできた。色々と大変だったが、この腕に嵌った小手が優秀で死なずに済んだ。どうやらカンガタは私達人種がどのくらい脆弱かをわかってるみたいだ。いやたまたま? わからないけど、感謝はしよう。

 なにせ振ってきたどでかい瓦礫とかもこれで一発で吹っ飛ばせたり、切り裂いたりできたからね。目の前にはかなりボロボロだが、まだ建物だとわかる物がある。守ってあるんじゃなかったのか? とか思ったけど、そういえば装置があったとしも完全に無傷な建物ってなかった筈だ。

 何かな? 完璧に守ったら不自然だから倒壊しないくらいに守ってるのだろうか? 凄い微調整具合だな。そこまで力を完璧にコントロール出来ると考えると恐ろしい物がある。けどその相手をしてるカンガタはだって負けてない筈だ。

 なにせ元は一つだった存在みたいだしね。それに今はラーゼ様もカンガタについてる……大丈夫だと信じたい。

「私は私のやるべき事を……」

 そう呟いて私は建物に近づく。なんかミシミシ聞こえるけど……きっと脅しかなんかだろう。大丈夫大丈夫、なんせカンガタが装置が入ってる建物は守られてるって言ってたもん。

「でも本当にこれかな?」

 そんな不安がない訳じゃない。周りにもボロボロ建物は幾つかあるんだよね。もしかして周囲に合わせてボロボロ具合を合わせてるんだとしたら……私の記憶違いでこの建物じゃない可能性はある。地図だって縮尺によって正確さって変わるし……
 まあ今までの事を思い返すと、あの時表示された地図はかなり正確だった筈だけど……もしもこの建物に装置がなかったら、この建物は守られてない訳で……倒壊するリスクは普通にあるんだよね。そう思うとちょっと足が重いな……

「いや、この小手があれば、建物が倒壊したって――」

 私はそういって小手をなでる。それだけでなんか安心できる。やっぱり強い道具というのは頼もしい。ここにアンティカがあればそれこそ百人力だったんだけどね。そういえばアンティカってカンガタやアラガタのボディーに似てる気がしなくもない。

 金属っぽいからだろうか? だからカンガタのくれたこの小手は気に入りつつある。めかめかしいのが良いよね。

「よし!」

 私は覚悟を決めて建物にはいった。中もボロボロだ。けど移動できない程じゃない。建物自体が傾いてるからか、開かないドアとかあったが、小手が全て解決してくれた。この建物も二階にあった。けど前の所とは違って解放されてはなかった。壁の向こうにあったんた。

 ドアもない壁の向こう……諦め掛けたけど、外から見ると一つ窓があってあれ? と思ったから賭けてみて壁を小手で殴ったら部屋が出てきた。ボロボロの建物を更にボロボロにするのは倒壊するんじゃないかってひやひや物だったが、ある事を信じてたよ。
 私は賭けに勝ったんだ。

「よし!」

 小手で触れる光が装置へと流れてく。そして装置は動き出した。うん、どうやらちゃんとこの小手で起動できるようだ。よかった。

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