美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω89

 さっさと建物に入り家探しをした。だってもたもたなんてしてられない。素早い行動が求められてるんだ。外観はとても未来的で驚いたが、中は……まあ中もとても開放的で凄いとは思った。それに中も開放的だったから目的の物は簡単に見つかったよ。

 なんだろうね。多分なんかの美術館的な建物だと思う。二階建ての構成で一階がなんかのオブジェとかがなんか猥雑においてあった。前衛的だった。二階には私達が求めてた装置があった。球場の天井からその装置に光が集まってる様に光が当たってた。
 それを見てラーゼ様がこういった。

「なにこれ? 太陽光発電でもしてるの?」

 とかいってたけど、なんの事か分からなかった。詳しく聞くとなんと太陽の光からエネルギーを作り出す技術があるらしい。まさかそんな技術があるなんて……力とはマナだけではないみたい。これもきっとエデンの知識なんだろう。

 マナでなくても力を得れるのなら、私たち人種の様に潜在的にマナの内包量が少ない種でも別の力でその差を埋める事が出来るかもしれない。そういう研究もきっとエデンではやってるんだろう。そしてそんな知識を吸い出すのにラーゼ様という人物は必要なのだ。

 絶対に連れ帰らなといけない。既にこの星の種は動き出したんだ。向こうでも戦いが激化しててもおかしくない。今ここでラーゼ様を失うなんてことなったら人種の終わりだろう。

 そんな事を考えながら、この建物の装置を起動する。

「ん? なんか反応しませんね」
「この星のマナだからあんまり込めなかったからかな? ちょっと貸して」

 そういわれて鎧の腕をつけた部分をラーゼ様に向けた。ラーゼ様が目を閉じると、僅かに風が流れた。神聖さが現れた様な空気を感じる。そして一本立てた指に集まる黒い光。あれが多分ここのマナ。地面が何やら揺れてる。

「ひいいいいい!」

 そういって車長さんが震える。確かに振動が近づいてる様な……ラーゼ様は力を使ってる。それを感づかれた?

「大丈夫、この程度じゃバレやしないわよ」

 そういうラーゼ様が鎧の腕に触れる。するとその黒い光が全体に広がった。

「やってみて」
「はい」

 さっきから微妙に揺れてるのが気になるが、確かに世界樹の根が姿を現す事はない。何かを感じてるのかもしれないが、細かい位置まではバレてないって事なのかもしれない。私は素早く鎧の腕を装置に当てる。けどやっぱり何も起こらない。

「ダメです……なんで!?」

 ガシガシ叩いてみるが効果ない。

「ねえ、この触れる所、ちょっと窪んだ所に模様みたいなの見えない?」
「そうですか? 確かにそう見えなくもないですけど……」
「もしかしてこれと同じようなの前のにもあったんじゃない?」

 確かに言われてみればそんな気がしなくもない。けど、あの時はいきなり動き出したのに驚いたから、正直あんまりこの状態をみてない。

「この模様が、対象者を識別するための紋章とかだとすると、この腕じゃあ鍵として使えないってことなのかも」
「じゃあどうすれば……」
「落ち着きなさい。前の建物にも無駄にいっぱい鎧はあったわ。ならここにだってあるんじゃない?」
「探してきます! 行きましょう車長さん!」

 私はそういって敬礼して車長さんを引きずって一階に降りた。ちょっとでも躓くと、なんだかいつもよりも強く不安が襲ってくる気がする。私はどうやら思ってる以上に追い込まれてる。動いてないと不安で仕方ないんだ。

「美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く