美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω86

「とりあえず動かしてみましょうか」
「さっきから思ってたんですけど、力使ってませんかラーゼ様?」

 実はさっきからずっと思ってた。私達はこの鎧がカギになってると思ってたが、この鎧に魔力を纏わせたのは実はラーゼ様だ。けどラーゼ様は力がつかえない筈。どうやってるんだろう? それにさ、ここと私たちの魔力……マナは違う。

 違うマナを操れるの? という疑問からあるけど、この鎧にちゃんと反応してるんだよね。

「自分の力は使ってないわよ。周囲にあるこの星のマナを多少操れるようになっただけよ」
「他の星のマナを操れるんですか?」
「まあ、これだけいれば?」

 これだけって数日ですけど……たしかに私も多少は慣れた。けど多少だ。マナを操るなんて……いやそもそもそんな発想がなかった。だって星が違ってマナも違うって言われてたんだよ。この星のマナのせいで凶悪化や変質した生き物を私は見た事がある。

 そんな危険な物を操れる……なんて思ってもみなかった。もしかしたら、他の星のマナでも力に出来る? 

「変な事考えない方がいいわよ。力とするまでこの星のマナに馴染んだら、きっと帰れなくなるし」
「そ、そうですよね……」

 危ない危ない、帰れないのは困る。こんな危険な星にいつまでもいる気はない。そっか、確かにここのマナに慣れ過ぎたら、今度は故郷の星のマナが毒になっちゃうんだよね。ままならない物だ。

「とりあえず動かしてみたけど……」

 別段家に変わりはない。けど、何か画面の様な所に地図? みたいなのが見える。そして何か緑色の範囲が広がった。

「中心がこの家とすると……この機械の影響を受ける範囲を示してる?」

 ラーゼ様が手を伸ばして、指でツンツンツンとすると拡大したり戻ったりしてる。それで容量を掴んだのか、ラーゼ様が指で地図を動かすと、いくつかの建物から緑の線が立ってる。

「これは他にも同じ様なのがあるって事でしょうか?」
「そうかもね。そして他の全部起動すると、何かが起こる」

 その考察に異論はない。多分そうなんだろう。何が起こるのか……ここの文字を読めたらそれがわかるのかもしれないが、それが出来ない今、行動をしていくしかない。

「この建物は大丈夫なのでしょうか?」
「それは……わからないわね」

 ラーゼ様が言葉を濁してそういうよ。確かにこの街はボロボロになってる。この地図に表示された建物が無事という保証はない。けど、何かが起こるかもしれないなのなら、その何かを私たちは起こすしかないんだ。それがきっと変化になる。

「行ってみましょう! きっと無事ですよ! ここも無事だったんですから!」

 私は努めて明るくそういった。最悪を想定してくのは必要だけど、やっぱり希望は必要だ。気持ちが沈んだら体のパフォーマンスは落ちるんだ。全力を尽くす為に、私は元気を演じるよ。

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