美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω61

 更に一日が経った。既に食事が保存食をなんとかユングがお洒落に調理してる感じになってる。ユングの料理の腕が凄まじい。なにせ固くて、不味い……いや、今は別に不味くはないけど、パサパサしてる保存食を生まれ変わらせてるんだ。

 ラーゼ様は立場上保存食なんか食べる事はないだろうけど、軍属なら結構食べる機会はあるから私はこれは革命では? とは思ってる。だって食べなれた保存食がこんな変わり果ててるんだ。私はとても満足で、これならしばらく保存食でもいけるな……とかおもってる。

 でも流石にこれ以上食料を確保できないと、流石にもう二・三日しかもたない。なので本格的に食料確保の話し合いがなされだしてる。

「とりあえず移動するしかないかしらね」
「そうですね。ここら辺には生き物がいませんし」
「じゃあマナの薄い方にいきましょうか」
「いいんですか?」

 ラーゼ様とユングがそんな風に話してる。私的にはこの星のマナが薄い方に行くのは賛成だが、ユングは違うようだ。どうやらユングは体裁だけでも、世界樹を目指してる恰好を見せた方がいいと思ってる。ユングの考えでは私達は監視されてるらしい。
 確かにその可能性はあるけど、でも既にここにきて四日だ。その間、私達は一切動いてない。なのに何もしてこない。監視されてるかもしれないが、直接干渉する気はないのかも? まあ完全に干渉されてつれて来られたわけだけどね。

「いいも何も、言ったでしょ? 世界樹へはいかないって。なら離れるのが一番なのよ」
「わかりました。ラーゼ様の御心のままに」

 ユングもそういったので、方針は決まった。一応確認するようラーゼ様はこちらを見るが、私と車長は頷くだけだ。そこら辺に意見する気はない。私的にはどっちでもいいしね。私の役目は無事にラーゼ様を私達の星へと返す事だ。その方法が向こうの世界樹に行くことしかないのなら、それを主張するが、危険も大きいし、一応救助が来る可能性だってある。

 なら、無理に世界樹を目指す必要性はないと思ってる。だからこれでいい。とりあえず今は、ラーゼ様に不自由をさせないのが大切だ。方針が決まったから出発の準備が始まる。とりあえずラーゼ様はベッドでゴロゴロするのに戻った。既にラーゼ様は仕事を終えてるからね。

 ラーゼ様は毎日この列車にマナを供給してる。私達が何不自由なく、この列車の設備を使えるのはラーゼ様のマナのおかげだ。だから他の雑事は全て私達でやるべき。狩りとなればようやく、私の出番だ。腕がなる! だって最近運動不足がひどいからね。

 ここで筋トレしようにも、あんまりやってると、暑苦しいと言われるし、ラーゼ様も女の子だからお喋りが好きなのだ。女性は他にいないし、必然的に私が話し相手になるしかない。最初はそれは不安だった。

 だって私は自覚してる。普通の女性とは違うと。そこまでファッションとか恋とか普通の女性が興奮する事に興味薄くてアンティカとか工業系の技術とかの方が得意だからね。そんな私が、女の子の中の女の子であるラーゼ様の相手を務める事が出来るのか……ってね。

 けどそれは杞憂だった。ラーゼ様はとても気さくで、なんだって興味を抱く人らしいという事がわかった。恐れ多いが、この四日間で私達は友達みたいになってると思う。だから純粋に思うんだ。これまでは立場上役目を意識してたけど、今は一友人としてラーゼ様を、いやラーゼを守りたいし、この子は私達に、私達の世界に絶対に必要だって。

 燃料がある列車はゆっくりと走り始める。とりあえずラーゼ様が示した世界樹とは反対の方向へと進みだす。一体、この未知の星には何があるのか……不安とともにワクワクした感情も私にはあった。

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