美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω50

 敵の機体を操ってたのはゼロだった。それも衝撃だったが、更に衝撃の出来事があった。なんと向こうのアンティカにはちゃんと人が乗ってたんだ。いや、ゼロとわかるまでは普通にそうだと思ってたんだけど、ゼロがあのアンティカを操ってたとわかったら、人なんて乗ってないと思ってた。
 だって乗る必要ないよね? あれ? でもそれともまさか操縦はこの乗ってた人がやってたの? 向こうのアンティカも降りてきて肩膝をついて背を丸めたアンティカの後部からその人は体を見せてる。

 最初に手が見えた時は「うえぇ!?」とか変な声を出してしまった。だってマジでゼロが得意気にしてたからパイロットがいるなんておもってなかった。コクピットの淵に足を乗せて上半身をこちらに見せてる向こうのパイロットは女性だった。

 私と同じようにアクティブスーツを着てる。けどデザインが微妙に違う。それに色は向こうの機体と同じような色だ。桃色というべき色だ。私よりも小さな女性……ピッチリとしたアクティブスーツでその体のラインがとても美しいわかる。まあ体のラインだけなら私だって綺麗だけどね。私は太ってもないし、細すぎでもない。胸だってないよりはある方だし、お尻だってプリンとしてる。

「ゼロ、嘘言ったわね。パイロットいるじゃない!」

 ちなみに私はまだ機体の中だ。なにせ背中側から落ちたから出られない。なのでとりあえずゼロに文句を言っておく。

『あの方は操縦してたわけではありません。ただアンティカに乗ってみたかったらしいので、負ける気もなかったので搭乗していただきました』
「うん?」

 なんかゼロの言い方が気になる。あの方――とかもそうだが、大事なのはそこじゃない。「負ける気もなかった」――の部分がとてもひっかかる。なにそれ……

「ちょっとゼロ、負ける気なかったって何よ? 確実に私を倒せるとでも思ってたの?」
『はい』

 あっさり肯定された。いやいやいや、それは強がりでしょう? 危ない場面あったよ? ギリギリ、ギリギリだったでしょどう見ても!

『それではクリエイトは何故に負けたかわかってますか?』
「それは……」

 何故にいきなりこっちのアンティカが機能不全に陥ったのかはわからない。ゼロはそれが敗因で、私の分析力のなさだという。煩い。確かにこの機体はとても固いから防御を疎かにしてたかもしれない。この場合の防御は何も機体の頑強さだけじゃなく、情報を集めて分析して対策してとかも含む。

 私はそれを疎かにしてた自覚があるから言いよどむ。だってめっちゃ頑強だったんだもん。向こうの攻撃は通らなかったし。

『負けた要員を見せましょう』

 そういうと向こうんアンティカが動こうとする。パイロットの人は昇降用のロープを使って下に降りてた。立ち上がった向こうのアンティカに何かが飛んでいく。それも私の今乗って機体の方からだ。何が? と思ってると、それか集まって奴の背中の羽になった。

「は?」

 いや、ほんとこんな声しか出せないってマジで! 

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