美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω47

「斬られた! ――ん?」

 確かに今斬られた。けどダメージがあった様な表示はない。確実に切られたのにノーダメージ? どんな素材でこの装甲は作られてるんだ? 分からないが、その分の代償はなかなか大きい。なぜならまだ背中の武器を取ってない。

 既に連続で斬られてる。だが、この機体はビクともしない。衝撃さえ、コクピット内に伝わってくる事はない。本当にとても頑丈だ。そんな事を思ってると、ようやく背中の武器をとれた。固定器が外れ、腕に武器のリンクが現れる。

 円形でとげとげしたその武器は、そのトゲトゲ部分が僅かに伸びて、その隙間から、青い炎みたいなのを発しだす。これが戦闘時のデフォルトの状態なのだろう。なにかを察したのか、相手のアンティカが距離を取った。けどこの武器にその距離はあってない様な物だ。

 武器を軽く回して腕に通す。すると武器は一人でに頭上で回りだす。最初はゆっくり、けど徐々に速くなって点に見えてた炎が繋がって、炎の輪の様になってる。それを私は飛ばす。

「むむむ……」

 防御力は確かに凄い。凄いが動きが問題だ。物凄く動きが緩慢で、ちょっとイラっとする。でも手元を離れた武器は流石に素早く動いてく。けど交わされた。流石にここまで呼び動作あると……ね。

「これはどうっやって攻撃を当てるのよ」

 呆れてそんな声が出る。普通機甲師団はその師団単位で行動してる。仲間ありきの機体ではないのかこれ? けど流石に戦いにならない機体を貸し出すとは思えない。それともどれだけの耐久性があるかのテストとか? もしかしたら向こうのアンティカに乗ってる人を守る為に私はこんなのに乗せられてたり……いや、ならだれだよってことになるし、偉い人はそんな事しないでしょ。

 やっぱりこれは私の工夫が見られる筈だ。武器の戻ってくる軌道はわかる。ちゃんと密接にリンクしてるみたいだ。距離を取りつつ、対戦相手のアンティカは今度は銃を撃ってくる。けど近接で傷をつけれなかったんだ。ただの銃程度でこの機体に効果なんてない。

 私は向こうの攻撃を無視してかえって来た武器の中心に腕を通してそして軌道を変えて更に投げる。でも今回も避けられるだろうなって思ってると、何やら画面に表示が――

「これは……よし!」

 ――案の定避けられた。けどここからだ。私は狙ってた事を実行する。それは武器のブーストだ。しかもこの武器は円形でトゲトゲしたのが全周にわたってある。その一つ一つから炎みたいな気が出てるわけで、そのトゲトゲの出力を調整してやれば――

 ガン!!

 ――といきなり動きを変えた武器が敵に当たる。向こうもびっくりしただろう。避けた筈の攻撃が再び後ろから襲いかかってきたんだからね。しかもこれで終わりじゃないよ。態勢を崩した向こうのアンティカに分割されたこちらの武器が襲い掛かる。襲い掛かるといっても攻撃力がある攻撃じゃない。

 どうやらこの武器の真価はそこじゃないみたいだ。複数に分離した武器の間にはとても細く頑丈な糸が繋がってる。それが相手の動きを拘束するんだ。そして身動きを取れなくなった所で決めるのは私! この子は細かな動きはとても緩慢だ。けど直線移動とかの単純な動きはそれなりに動ける。そして更に言うと、このアンティカのパワーはピカイチだ。
 だから動きを封じた敵にやる事は一つ! 私は一気に近づくためにアンティカをまっすぐに突撃させる。

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