美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω43

 アルス・パレスはなんかもう、人がいる場所じゃないない感じだった。私だってアンティカのパイロットだし、軍でも精鋭と言われる機甲師団にいたからそこそここんなでも知識はある。それにアンティカの整備とかは間近で見てるわけで、機械というのがどういう風に出来ていくかくらいは知ってる。

 いや、正確には知ってたと思ってた。けどここは規模が違う。転移陣で来た時から何やら機会が打ち付ける様な音や、断続的な振動とかが気になった。でもこんなの他の場所では全くなかった。なのに、アルス・パレスに来たと同時に感じれたのが不思議だ。そして転移陣がいた部屋から出るともうそこは私の想像を軽く超える場所だった。

 まず、床が動いてる。私達が立ってる場所も、そして地面も動いてた。私達が転移陣の部屋から出ると、そこは透明な管があってそれが色々な場所に張り巡らせてあるようだった。案内の人が言うには、この管以外は全てラインとして動いてるから外に出る事はアルス・パレスでは出来ないらしい。

 ラインというのがよくわからなかったが、どうやら効率的にここを動かしてるってことらしい。地面の方の移動する床は何レーンもあってそれぞれに運んでるものが違うらしい。色々と何に使うか分からない物がいっぱいだ。

「うわっ」

 ユングがそんな声を発する方を見ると、建物から何やら機械の腕が伸びてた。それがレーンに乗ってる物をつまんでは別のレーンに置いていったりしてる。なんか楽しい光景だ。最終的には色んな建物の中に入って行ってる様に見える。こちらもこちらで上がったり下がったり、建物の中に入っては出たりしてる。面白い。なんか一つのアトラクションを体験してるみたいだ。

 時々勝手に通路がきり変わったりしてる。その時はななんと、大きき名手がやってきて別の管とくっつける仕様のようだ。これが最初はびっくりした。だって床の移動は止まらないんだよ? それなのに通路は終わってる。つまりは失敗したら私たちはこの管から飛び出すって事だ。

 まあ勿論、そんな事にならない様に計算されてるんだろう。けどそんな説明なく、いきなり巨大な手がやってきて、管を引きちぎり持っていくんだ。そしてだんだんと迫るぽっかりとあいた穴。いや、焦ったね。なかなかにユングと共に慌てたよ。

 けどちゃんと三メートルくらいの猶予を持って管は繋がった。そして何回かそんな事があって私たちは一つの建物に入った。なんかブロックを不自然に積み上げたような建物の一室に管は入って終わった。

「さて、到着ですよ。では私はこれで」

 そういって案内してくれた人は別の管に乗って帰っていた。二人殺風景な部屋で取り残される。どうすれば? と思ってると、床からニョッキっとなんか生えてきた。そしてそれが開くと中から白衣を着た女性が出てきた。

「ようこそお越しくださいました。ここからはここに精通した者が案内しないと色々と危険ですので、私が案内をいたします」

 流石にこの人はネジマキ博士じゃないよね? まあ女性と聞いた事もないし、こんな若くもきっとないだろう。そもそもがネジマキ博士と言ったら大物だ。私達を出迎えるわけがない。どうやってこの部屋から出るのかと思ったが、あんな物が隠れてたのか。本当にここは知らない物がいっぱいある。
 きっと凄い物がたくさんあるんだろう。ここまでの道中で既にワクワクが最高潮に達してるのに、これ以上を期待してる私がいる。

 けどきっとその機体は超えられるだろう。そんな確信があった。

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