美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω38

「わかった責任はとるから」
「なんのですか!」

 私がそう宣言すると、ユングの奴は頭をバスタオルで吹くのをやめて抗議してきた。私達はとりあえず昨晩は風呂にも入らずに眠ってしまったみたいだから、まずはお風呂に入る事にしたんだ。この建物の風呂はなんかとても豪華で底から泡出たりする。

 そんな風呂でさっぱりして私は色々と昨晩の事を考えて真剣にさっきの言葉を口にしたわけだ。なのに怒るとは心外だ。こっちだって一生懸命考えたのに……

「いや、だって私はそういう事を初めてした人のお嫁さんになるって決めてたから」
「してませんよ! 何もしてませんから嫁になんて来ないでください」

 むむ……なんかそんな必死に否定されるとちょっと女としてのプライドが傷つくというか……イラっと来るというか。

「ええーでも本当は期待してたるするんじゃない? だって年上の綺麗で優秀なお姉さんなんて優良物件でしょ?」

 私は火照った体を見せる様にちょっと服をずらして肩を出す。ほらほら健全な男子ならこれで反応しない訳がない。だってよく聞くもん。ユングくらいの年頃の男は綺麗なお姉さんに憧れるってね。私、その点ばっちり満たしてると思う。
 凄い美人とは思わないが、そこそこな筈だ。中身を知らなければ告りたいとか男友達には言われてたし。

「どこにそんな人がいるんですか?」
「目の前よ! あんたの目の前にいるでしょうが!!」

 どうやらユングにはその芽はないみたいだ。だらしい姿を見せすぎたか……けど考えようによってはいいと思う。だって女に幻想を抱いてもそんなのは遅かれ速かれ打ち砕かれるのだ。どんな綺麗な女だって汚い所はあるし臭いときだってある。うんうん。

 私のおかげでユングは耐性が出来ただろう。

「まあ私もガキには興味ないんだけどね。聞きたい? 私の理想?」
「いえ、全くこれっもっちも」
「ちょっとは興味持ちなさいよ!」

 うきーと吠えてみるが、相手にしたくないのか、ユングは台所の方へといってしまう。ユングの奴はお坊ちゃんの癖にある程度料理も出来るのだ。食材も冷蔵庫の中にあったし、何かつくるんだろう。

「そういえば、そろそろお呼びがかかるみたいですよ」
「およびって……ラーゼ様に?」
「ええ」

 なるほど、流石にそろそろ目的を忘れそうになる所だったから丁度いいのかもしれない。てかなんでこいつはそんな情報を知ってて私は知らないの? こいつはどこに行ってるんだろうか? それから軽い朝食を取ってると、訪問者が来た。例のフクロウだ。
 しかも何やら高級そうなダンプが控えてる。どうやらユングがいったことは本当だったしらい。私はたちは正装に着替えてそのダンプに乗り込んだ。

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