美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Ω30

 あれから右往左往しながらもなんとか軍の施設へとこれた。そして私はそこで感激した。

「わあーーー!」

 今、私は目を輝かせてる筈だ。まちがいない。だって私の目の前にはアンティカがいっぱいある。卵の様な空間にアンティカがすし詰め状態だ。色はついてない。なんか素材の色そのままって感じ。けどその装備はとてもカラフルだ。しかも見た事ない物ばかり。

「こんなに量産されてたなんて……」
「ふぉふぉふぉ、残念ながら、あれには乗る事は出来ませんよ」

 そういうのは私達を案内してくれてるフクロウみたいな種だ。大きさは私の顔くらいで喋らないと、実際ただのフクロウだ。

「乗れないんですか?」
「ええ、これらは全て自動操縦ですので。このアンティカはエデンの警備ようですよ」

 これが警備してる……エデンの戦力にゾッとする。ユングも「これが警備ですか」とか戦慄してる。それはそうだよね。だってこの数のアンティカとか、人種の国なら主戦力だよ。いや、寧ろ最終兵器に等しいんじゃないだろうか? だってここだけで、全機甲師団分のアンティカと同数くらいはあるよ。

「あの、装備が違うように見えるのはどうしてなのですか?」

 私も気になってた事をユングが聞いた。だって警備とかの戦力なら、そんな色んな装備をしてるのはおかしくない? だってそういう役目なら決まった装備とかが普通ではなかろうか? 

「色々と実験をしてるのですよ。自動ですので、様々なデータがあった方がいいと研究機関は言っておりますな」
「なるほど」
「しかし、試作段階の装備を詰め込んで事故が起こる事なんてしょっちゅうですがな」

 そういいながら「ふぉふぉふぉ」と笑うフクロウ。いやいや、それはいいの? 良く無くない? 仮にも警備する側が事故起こしてどうするのよ。けどフクロウは楽しそうだ。今や日常だから気にしてないのかもしれない。けど実験段階の装備を直ぐに試せるのは大きいかもしれないね。
 しかもそんな事が出来るのは有人じゃないからだろう。そういえばこの中にはなんかダメージを受けてる様に見えるのもある。どうやら事故ったせいのようだ。

 装備は綺麗だから、多分装備だけ変えたんだろう。このアンティカ達の犠牲でこっちに降りてくる装備が安全になってると考えると……

「お疲れ様です」
「何やってるんですか?」
「いや、お礼をね」

 アンティカ乗りとして、ここのアンティカにお礼を言わないといけないと思った。するとそれに応える様にアンティカの瞳が光っていく。

「わお、反応してくれたわよ」
「そんな訳ないでしょ」

 全くユングはドライな子だ。もっと瞳を輝かせなさいよ。こんな光景男の子なら大興奮する場面でしょ。それなのにユングときたら……かえったらカタヤ様にこいつのドライさを訴えた方がいいかもしれない。

「これから出撃するようです」

 フクロウがそういうと、何やらアンティカ達の下の床が開いてく。どうやら私に応えてくれた訳じゃないみたい。がっくりだ。けど、その出撃は凄かった。どうやらアンティカは床に立ってたんじゃなく、つるされてたみたいだ。

 床が解放されると同時に、アンティカを支えてた器具も解放されて、次々とアンティカが空に落ちていく。それから四方に散っていく。あっという間にハッチの中はからっぽになった。

「では行きましょうか」

 このフクロウ、私がこういうの好きだとわかってて案内してくれたんだろうか? なかなかに出来るフクロウのようだ。

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