美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話9

 コランの楽しい一日 5


「待ってよ~にゃんこ~!」

 私は必死に猫を追いかける。アイドルをやってるから体力には自信がある。けど流石は向こうはにゃんこさんだけあります。色んな所に昇ったり下りたり、潜ったりしてとっても大変。けど私も小さいから何とかついていけてる。

 私は諦めないですよ! そうこうしてる内になんだか静かな場所についた。人の喧騒が全くない場所。とてもとても静かです。この人があふれる程にいるアナハイムでこんな場所があるなんて……おいかけていたにゃんこが私を見てる。薄暗いこの場所でその瞳が光ってみえる。

 ちょっとだけ怖いと思った。けどにゃんこは背を向けて歩き出す。追いかけないといけないのに、私は何故か足が動きません。するとにゃんこが立ち止まって振り返る。

「待っててくれてるの?」

 さっきまでは逃げる様にしてた筈なのに、何故か今は私を待ってくれてるにゃんこ。私は勇気を出して足を踏み出した。私が歩き出したのを見て、にゃんこはゆっくりと歩きだします。

(やっぱり逃げてる訳じゃない……よね?)

 明らかに私に歩調を合わせて歩いてくれてるにゃんこ。私はそれについていく。するとこの路地の出口なのかが見えてきました。とても眩しい。でもそこに入っていくにゃんこ。私も行くしかないです。

「眩しい」

 手で光を遮りながら光の中へと入る。するとようやく光に目が慣れてきました。そして周りが見える様になる。するとそこにはビシッとした黒い服に身を包んだ人達がいました。

「あれあれ? にゃんこは?」

 いつの間にかにゃんこはいなくなってます。逃げられたら困るよ。だって私の大切な物があの中にはいっぱい……涙があふれそうになるよ~。すると一人の男の人がすっと私のバックを差し出してくれました。

「すみません。失礼な事をしてしまって」

 膝をついて頭を下げるその人の耳はなんと猫耳でした。獣人さん? でも獣人さんは別に変身は出来なかった様な? 分からないです。

「えっと貴方がさっきのにゃんこ……さん?」
「我々はとある理由でここに潜んでいます。ですが安心してください。問題を起こす気はないのです」
「貴方たちは獣人さんじゃないんですか?」
「我々は『ルド種』です。獣人とは違います」
「ルド?」

 よくわからない単語です。私に危害を加える気はないようだけど……未知の種がアナハイムにいるって大問題だよね? ラーゼ様は知ってるのかな?

「えっと、どうして私のバックを?」
「それは……ですね。我らの王子が貴方の大ファンなのです」
「ん?」

 私はどう反応したらいいのか分からなくて、固まっちゃいました。

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