美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
√47
鳥頭の艦長は船に酔っていた。
「うげええ……」
「艦長! またですか!」
部下の一人がそんな艦長の様子を見て叱責を飛ばす。艦長なのに、部下に怒られてるのだ。だがこれはどうしようもない。だってもともと鳥頭の艦長は自身で飛べる種族なのだ。自分で飛べるのに、飛ぶ乗り物に乗るという感覚が彼には慣れなかった。なのに艦長にまでなってるのは優秀だからである。それにいざという時にも色々と役立つ場合もある。
「艦長! 魔族に後ろに付かれてます。振り切るので吐かないでくださいよ!」
「善処しよう」
その直後、皆の体が椅子に張り付けられるような感覚が襲い掛かる。スピードを上げたことによってGが発生したのだ。機体を旋回しながら戦場を飛び回る飛空艇。飛空艇にまきこまれていくつかの魔族が吹き飛んでいく。機体は魔法で守られてるからその衝撃はこない。もともとがこの超スピードを攻撃にも咥えられないかと設計されてるからだ。だがこの超スピードは長くはもたないし、旋回は出来ない。まっすぐに飛ぶか、上昇と下降でしか使えない。
だが空間を移動するでもない限り、このスピードについてこれる者はいない。だから十分だ。胃の中の物がぐちゃぐちゃにかき回される感覚も何とか耐えられるくらいにはメリットがある。後ろに付いてた魔族を引き離したのか、スピードを落としつつ大きくゼロを描くようにして後ろをとる。どうやら後ろに付いてた魔族は一体ではなかったらしい。まあそれはそうだろうと鳥頭は思う。
大抵の魔族よりもこの飛空艇は大きい。流石の奴らも何回も攻撃を当てないと飛空艇を落とすことはできない。なら一体で来てる訳はない。逆に後ろを取ったのなら、今度はこちらの番だ。向こうの方が小回りが利くが、それでも逃がす気はない。魔族達は後ろを取られた瞬間に散り散りに逃げ始めた。魔族とは思えない訓練されたかのような逃げ方だ。
「逃が……すな! 両翼の方に誘導性を組み込め! ロックオン次第に撃て!」
素早い支持の元、指示された砲撃が、魔族へと飛んでいく。まっすぐに飛んで行ってた砲撃は狙った魔族だけを追うようにジグザクに進みそして一体……また一体と魔族を灰に変えていく。
「よし! ――ぬう!? どうした!?」
激しい揺れ、すぐさま現状報告を求める。どうやら下腹部に防壁を抜いてきた攻撃があったようだ。こちらも流石に順調ではない。なにせ魔族の参戦は予想外だったのだ。本当なら鈍重な今までの飛空艇しか持ってない国軍の奴らを簡単に追い返せるはずだった。いくらか飛行ユニットで兵を飛ばそうとも、生身を晒してる飛行ユニットとこちらではスピードが違う。不安要素にはなりえなかったのだが……大量の魔族が参戦してきて状況はかわった。まだ空にはいくつかの国軍の飛空艇が残ってる。
既に夜が終わりを迎えてるのにこの有様だ。ハッキリ言えばエネルギーがヤバイ。
向こうの飛空艇は主砲を合間合間に撃つだけだし、そもそもの大きさがでかいからまだエネルギーに余裕がありそうだ。他の飛空艇も状況はこちらと同じか、もっとヤバイだろう。そろそろ潮時だと鳥頭の艦長は考えていた。
「もう、防壁を維持するだけのエネルギーもない……か。皆は退艦だ。飛行ユニットでアナハイムへと帰還せよ」
「そんな艦長!」
不安そうな、やりきれない思いの面々が鳥頭の艦長を見る。だが、彼だって死ぬ気はない。それに一人でもない。
「聞こえるな同胞たちよ。我らの種の出番だ。これより突貫を敢行して国軍の飛空艇を潰す!」
その言葉でこれが間違いのない命令だと理解してくれた面々は足早に立ち上がり敬礼と共に去っていく。鳥頭の艦長は自身の席に全てのコントロールを集めて操縦桿を握った。そして周囲を見ると、他の艦からも飛行ユニットが飛び出てる。全ての乗組員が退避したことを確認すると同時に大きく上昇をする。そして眼下に見える国軍と魔族の部隊に突っ込んでいく。余りの速さに空気が摩擦を起こして機体全体を赤く染め上げる。艦内に響く警報がけたたましい
だが止まらない。一斉に魔族が攻撃を放ってくるが気にしない。前にだけ防壁を集中して展開してる。国軍の飛空艇が向きを変えようとしてるが遅い!
「ぬおおおおおおおおお!! 突貫!!」
周囲を守ってる魔族を蹴散らし、絶対に衝突が免れないその瞬間にレバーを引く。それによって緊急脱出装置が作動して、鳥頭の艦長は椅子事下に落ちていく。そして外に排出されると同時に、大きな爆発が起こった。視線を向けると、こちらの飛空艇が国軍の飛空艇へと突き刺さっていた。そしてそこから爆発が幾度となくおこり、沈んでいく。、皆の視線が飛空艇に集中してる。今のうちにと思い、艦長は自身の翼を広げて戦場から離れだす。
だが間に合うかはわからない。このまま気づかれなければいいが……鳥頭の艦長は自分の運を天に祈った。
「うげええ……」
「艦長! またですか!」
部下の一人がそんな艦長の様子を見て叱責を飛ばす。艦長なのに、部下に怒られてるのだ。だがこれはどうしようもない。だってもともと鳥頭の艦長は自身で飛べる種族なのだ。自分で飛べるのに、飛ぶ乗り物に乗るという感覚が彼には慣れなかった。なのに艦長にまでなってるのは優秀だからである。それにいざという時にも色々と役立つ場合もある。
「艦長! 魔族に後ろに付かれてます。振り切るので吐かないでくださいよ!」
「善処しよう」
その直後、皆の体が椅子に張り付けられるような感覚が襲い掛かる。スピードを上げたことによってGが発生したのだ。機体を旋回しながら戦場を飛び回る飛空艇。飛空艇にまきこまれていくつかの魔族が吹き飛んでいく。機体は魔法で守られてるからその衝撃はこない。もともとがこの超スピードを攻撃にも咥えられないかと設計されてるからだ。だがこの超スピードは長くはもたないし、旋回は出来ない。まっすぐに飛ぶか、上昇と下降でしか使えない。
だが空間を移動するでもない限り、このスピードについてこれる者はいない。だから十分だ。胃の中の物がぐちゃぐちゃにかき回される感覚も何とか耐えられるくらいにはメリットがある。後ろに付いてた魔族を引き離したのか、スピードを落としつつ大きくゼロを描くようにして後ろをとる。どうやら後ろに付いてた魔族は一体ではなかったらしい。まあそれはそうだろうと鳥頭は思う。
大抵の魔族よりもこの飛空艇は大きい。流石の奴らも何回も攻撃を当てないと飛空艇を落とすことはできない。なら一体で来てる訳はない。逆に後ろを取ったのなら、今度はこちらの番だ。向こうの方が小回りが利くが、それでも逃がす気はない。魔族達は後ろを取られた瞬間に散り散りに逃げ始めた。魔族とは思えない訓練されたかのような逃げ方だ。
「逃が……すな! 両翼の方に誘導性を組み込め! ロックオン次第に撃て!」
素早い支持の元、指示された砲撃が、魔族へと飛んでいく。まっすぐに飛んで行ってた砲撃は狙った魔族だけを追うようにジグザクに進みそして一体……また一体と魔族を灰に変えていく。
「よし! ――ぬう!? どうした!?」
激しい揺れ、すぐさま現状報告を求める。どうやら下腹部に防壁を抜いてきた攻撃があったようだ。こちらも流石に順調ではない。なにせ魔族の参戦は予想外だったのだ。本当なら鈍重な今までの飛空艇しか持ってない国軍の奴らを簡単に追い返せるはずだった。いくらか飛行ユニットで兵を飛ばそうとも、生身を晒してる飛行ユニットとこちらではスピードが違う。不安要素にはなりえなかったのだが……大量の魔族が参戦してきて状況はかわった。まだ空にはいくつかの国軍の飛空艇が残ってる。
既に夜が終わりを迎えてるのにこの有様だ。ハッキリ言えばエネルギーがヤバイ。
向こうの飛空艇は主砲を合間合間に撃つだけだし、そもそもの大きさがでかいからまだエネルギーに余裕がありそうだ。他の飛空艇も状況はこちらと同じか、もっとヤバイだろう。そろそろ潮時だと鳥頭の艦長は考えていた。
「もう、防壁を維持するだけのエネルギーもない……か。皆は退艦だ。飛行ユニットでアナハイムへと帰還せよ」
「そんな艦長!」
不安そうな、やりきれない思いの面々が鳥頭の艦長を見る。だが、彼だって死ぬ気はない。それに一人でもない。
「聞こえるな同胞たちよ。我らの種の出番だ。これより突貫を敢行して国軍の飛空艇を潰す!」
その言葉でこれが間違いのない命令だと理解してくれた面々は足早に立ち上がり敬礼と共に去っていく。鳥頭の艦長は自身の席に全てのコントロールを集めて操縦桿を握った。そして周囲を見ると、他の艦からも飛行ユニットが飛び出てる。全ての乗組員が退避したことを確認すると同時に大きく上昇をする。そして眼下に見える国軍と魔族の部隊に突っ込んでいく。余りの速さに空気が摩擦を起こして機体全体を赤く染め上げる。艦内に響く警報がけたたましい
だが止まらない。一斉に魔族が攻撃を放ってくるが気にしない。前にだけ防壁を集中して展開してる。国軍の飛空艇が向きを変えようとしてるが遅い!
「ぬおおおおおおおおお!! 突貫!!」
周囲を守ってる魔族を蹴散らし、絶対に衝突が免れないその瞬間にレバーを引く。それによって緊急脱出装置が作動して、鳥頭の艦長は椅子事下に落ちていく。そして外に排出されると同時に、大きな爆発が起こった。視線を向けると、こちらの飛空艇が国軍の飛空艇へと突き刺さっていた。そしてそこから爆発が幾度となくおこり、沈んでいく。、皆の視線が飛空艇に集中してる。今のうちにと思い、艦長は自身の翼を広げて戦場から離れだす。
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