美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

√39

 何が起こったのか……目の前の光景がファイラルの兵士達には信じられない。何故なら、国軍の奴らが突然化け物へと化したからだ。いや、よくよく見れば全ての兵が変わったんじゃない。無事な兵士もいる。でも中央の騎士たちはほぼ化け物と化してる。

「一体何が?」

 そんな事を呟く兵。けど蛇は落ち着いていた。勿論直接見れるところにいる訳ではないが、戦場全体を俯瞰できる道具にはちゃんとその変化が見えている。

「やはり来ましたか」

 落ち着いた声だ。だが、周りで対応に追われてる部下たちはとても慌ててる。なにせいきなり人が化け物になったのだ。あれが自分たちに起こるとも考えられないのなら、慌てるのも無理はない。だが蛇は落ち着き払ってる。この可能性はあった。なにせこの侵攻自体が不自然なのだ。

 そして飛行部隊からは魔族の報告があったのだ。ならここに現れても不思議ではない。

「だがあれは本当に魔族なのか……」

 どう考えて人が変化してた。魔族が人の形を取ってただけなのか……だが大半の兵は気持ち悪いミミズみたのになってる。先端に円形の穴があって周囲には細かい牙がいっぱいの生き物だ。人からあんな姿になるなんて……そしてそれは近くにいる仲間だった兵士たちを襲ってる。

 既に国軍側は崩壊してる。だが、終わった訳ではない。魔族と化したやつらを全て殲滅しないとファイラルに安心はない。

「目標を変更しなさい! 攻撃対象は変化した魔族達です!!」

 その言葉で今まで回復に努めさせてたこちらの兵士も動き出す。こちらの最大戦力は既に投入済み。そしてより強い魔力を放つ奴と交戦中だ。
 それこそが国軍の司令官だった者。だがどうやら彼は既に魔に呑まれてしまったようだ。

「勝てますか?」
「ご安心くださいアンサンブルバルン様! 必ずやあの魔族は打ち取ってみせましょう!」

 そんな声が通信越しに聞こえる。みな士気は高いようでなより。元から彼らもその覚悟はしたから当たり前ではある。たが戦場を俯瞰してみてる蛇には必ずしも安心できる状況ではない。人種ならば潰すのなんて簡単だった。こちらが用意した機械で強力な兵器は封じる事が出来たし、奴らの進行大幅に遅らせられた。だが、蛇は感じてたんだ。
 奴らの狙いが変わったことに。

(いいや、もしかしたら初めからこっちが本命でしょうか?)

 国軍は今までは素早く動き、ファイラルに攻め入れようとしてた。だが、出できた魔族達はどうだ? 国軍とぶつかった戦場に介入してきてここではあまつさえ、国軍を混乱させてる。そしてこちらはこのまま魔族を放っておく事など出来ない。
 奴らが何を目的にしてるか知らなければならないからだ。

(私たちをここにとどめていたいのでしょうか?)

 蛇はどうすれば奴らの狙いが外れるかを考えながら立ち上がった。

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