美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
Δ170
黒く、炎を垂れ流す塊が谷へと落ちた。落ちるその寸前までも空から炎をまき散らしてたそれは、谷の側面を削り、地形を変えていく。だが、それはそこまで問題ではないのかもしれない。なぜなら、この塊が落ちる前から地上波火の海だったからだ。
この谷も最初からここが谷だったのか、それともエデンの攻撃で谷となったのかわからない。谷の側面を削り塊は底まで行くことなく止まった。
そんな燃え盛るアルス・パレスから一つの機会が出てくる。モノクロの装備に身を包んだアンティカだ。モノクロのアンティカは谷の上まで言って周囲を確認すると再びアルス・パレスへと戻ってくる。
(どうやら追撃はないようだ)
(なら、もうこれはいいんじゃないか?)
(そうだな)
アンティカは両腕を広げると、その先に魔法陣を出す。そして三重の円と三十五の棒で構成されたそれが、世話しなく回ったり出たり引っ込んだり出っ張ったりしてる。僕にはあれの意味は分からない。だが、あの特殊な陣はこのアルス・パレスのシステムとリンクしてるらしい。
陣の動きが止まると同時に、炎に包まれて瓦礫の塊になってたアルス・パレスの形が変貌してく。けどそれでもダメージがないわけじゃない。アルス・パレスの表面に出てる半分くらいの建物はやっぱり破壊されて炎が上がってるし、寧ろ形を残してるのはまだいい方だ。
アルス・パレスの三分の一位の土地はぽっかりとなくなってしまってる。まったくあんなのが空に鎮座してるなんて……驚異以外の何物でもない。だが……
(ほんとシズルスのおかげで助かった)
(ふん、貴様らが死ぬと我の目的が果たせぬからな)
そうだ、シズルスがあの時、幻影をシステムで作らなかったら僕たちは終わってた。それにどうやらただの幻影だった訳じゃないらしい。ただの幻影はエデンによって見破られるとシズルスは知ってた。だからシズルスはエデンに干渉しながら幻影を作った。
あいつらにはアルス・パレスが完全に沈んだように見えた事だろう。だが、本当は間一髪僕たちは生き残ることが出来ていた。
「あれが人種の手に……いえ、ラーゼという悪魔の手に落ちたのですね」
姫が空を眺めてそういってる。すると彼女体が次第に光を強くはなってく。
「あれを殺せなくて残念ですが、しばらく休ませてもらいます。どうか、また九十九達を集めてください。どうせなら、この世界以外の者も取り入れることが出来れば……あれを超えれそうなんですがね」
そういって姫は空に浮かぶ大きな星を眺める。確かに九十九はどこにでも存在すると聞いたが……やっぱりこの世界のだけじゃ、ラーゼの影響から逃れることは出来ないってことかもしれない。
「今回のは負けではありません。痛み訳でしょう。バッカスの事は痛いですが……彼はどうやら死しても世界に還ることは選ばなかったようです」
「そんな!? バッカスさんはあの世でなら家族に、同じ種の皆に会えるかもと言ってたのに……」
「きっと世界に還ることがラーゼの力になる事を拒否したのでしょう。彼は進化を果たした種。それを選ぶ事が出来た」
そういう姫の声は優しい。けど僕は……僕達にかかわったせいで、バッカスさんから家族や仲間との再会を奪ってしまったような……そんな気がしてしまう。
「それなら、バッカスを戻す手段はある」
ふとそんな事をセーファが言う。戻す? どういうことだ?
「世界樹に帰ってないのなら、個として世界に残ってるということだ。まあ大抵はすぐに意識など拡散して少し特殊なマナへとなるだけだが、あいつならもしかするかもしれない。奴のマナだけを識別でき、更にその魂を受け入れれる体があれば、バッガスを戻す事は出来る」
「幸運ですね。私にはその力がありますよ」
セーファの言葉に姫がそういって続ける。バッガスさんを復活させることが出来る? それはとんでもない希望だ。あの人はもう戦いたくないかもしれないが……でも僕はこんな別れは嫌だ。
「まあバッカスを復活させるためにも九十九を頼みます」
そういって姫は光と共に、青い宝石へと変わった。僕はそれをティルへと託す。
(シズルス、アルス・パレスはどれだけ使えるんだ?)
(このままではほとんど使えん。だがアルス・パレスにもマナを取り込む機能はある。損傷してるが、それを優先的に直させて、それからアルス・パレス全体の修復に取り掛かろう)
(その間、ここから移動は出来ないんだよな?)
(そうなるな)
流石に治るまでずっとここにいる訳にもいかない。
(オウラムと連絡を取る手段はないか?)
魔法で連絡を取るにも道具が必要だ。その道具は船にあったわけだが……それはもうない。けどここは超技術の結晶。なにかしら手段があるかもしれない。
(それならばこの場所にいけ)
その言葉と共に頭に地図の様なものが浮かぶ。
(ここは?)
(世界に声を届ける陣の簡易版がある。これはゴッド・パレスの玉座に据えられたのと同じものだ。王の声を世界に届ける為に編み出された魔法だ。使えるだろう)
なるほど、僕はティルを伴ってその場所を目指すことにした。オウラムに連絡をとったら、ここまで船を出してもらおう。そして出来るかぎり、オウラム技術も投入してアルス・パレスを速く復活させる。まだ僕たちは負けたわけじゃない。
王の剣はラーゼを殺しえる。それがわかったんだ。次は逃がさない。必ずあいつの傍まで迫り……そしてこの剣で奴の首をはねる。
この谷も最初からここが谷だったのか、それともエデンの攻撃で谷となったのかわからない。谷の側面を削り塊は底まで行くことなく止まった。
そんな燃え盛るアルス・パレスから一つの機会が出てくる。モノクロの装備に身を包んだアンティカだ。モノクロのアンティカは谷の上まで言って周囲を確認すると再びアルス・パレスへと戻ってくる。
(どうやら追撃はないようだ)
(なら、もうこれはいいんじゃないか?)
(そうだな)
アンティカは両腕を広げると、その先に魔法陣を出す。そして三重の円と三十五の棒で構成されたそれが、世話しなく回ったり出たり引っ込んだり出っ張ったりしてる。僕にはあれの意味は分からない。だが、あの特殊な陣はこのアルス・パレスのシステムとリンクしてるらしい。
陣の動きが止まると同時に、炎に包まれて瓦礫の塊になってたアルス・パレスの形が変貌してく。けどそれでもダメージがないわけじゃない。アルス・パレスの表面に出てる半分くらいの建物はやっぱり破壊されて炎が上がってるし、寧ろ形を残してるのはまだいい方だ。
アルス・パレスの三分の一位の土地はぽっかりとなくなってしまってる。まったくあんなのが空に鎮座してるなんて……驚異以外の何物でもない。だが……
(ほんとシズルスのおかげで助かった)
(ふん、貴様らが死ぬと我の目的が果たせぬからな)
そうだ、シズルスがあの時、幻影をシステムで作らなかったら僕たちは終わってた。それにどうやらただの幻影だった訳じゃないらしい。ただの幻影はエデンによって見破られるとシズルスは知ってた。だからシズルスはエデンに干渉しながら幻影を作った。
あいつらにはアルス・パレスが完全に沈んだように見えた事だろう。だが、本当は間一髪僕たちは生き残ることが出来ていた。
「あれが人種の手に……いえ、ラーゼという悪魔の手に落ちたのですね」
姫が空を眺めてそういってる。すると彼女体が次第に光を強くはなってく。
「あれを殺せなくて残念ですが、しばらく休ませてもらいます。どうか、また九十九達を集めてください。どうせなら、この世界以外の者も取り入れることが出来れば……あれを超えれそうなんですがね」
そういって姫は空に浮かぶ大きな星を眺める。確かに九十九はどこにでも存在すると聞いたが……やっぱりこの世界のだけじゃ、ラーゼの影響から逃れることは出来ないってことかもしれない。
「今回のは負けではありません。痛み訳でしょう。バッカスの事は痛いですが……彼はどうやら死しても世界に還ることは選ばなかったようです」
「そんな!? バッカスさんはあの世でなら家族に、同じ種の皆に会えるかもと言ってたのに……」
「きっと世界に還ることがラーゼの力になる事を拒否したのでしょう。彼は進化を果たした種。それを選ぶ事が出来た」
そういう姫の声は優しい。けど僕は……僕達にかかわったせいで、バッカスさんから家族や仲間との再会を奪ってしまったような……そんな気がしてしまう。
「それなら、バッカスを戻す手段はある」
ふとそんな事をセーファが言う。戻す? どういうことだ?
「世界樹に帰ってないのなら、個として世界に残ってるということだ。まあ大抵はすぐに意識など拡散して少し特殊なマナへとなるだけだが、あいつならもしかするかもしれない。奴のマナだけを識別でき、更にその魂を受け入れれる体があれば、バッガスを戻す事は出来る」
「幸運ですね。私にはその力がありますよ」
セーファの言葉に姫がそういって続ける。バッガスさんを復活させることが出来る? それはとんでもない希望だ。あの人はもう戦いたくないかもしれないが……でも僕はこんな別れは嫌だ。
「まあバッカスを復活させるためにも九十九を頼みます」
そういって姫は光と共に、青い宝石へと変わった。僕はそれをティルへと託す。
(シズルス、アルス・パレスはどれだけ使えるんだ?)
(このままではほとんど使えん。だがアルス・パレスにもマナを取り込む機能はある。損傷してるが、それを優先的に直させて、それからアルス・パレス全体の修復に取り掛かろう)
(その間、ここから移動は出来ないんだよな?)
(そうなるな)
流石に治るまでずっとここにいる訳にもいかない。
(オウラムと連絡を取る手段はないか?)
魔法で連絡を取るにも道具が必要だ。その道具は船にあったわけだが……それはもうない。けどここは超技術の結晶。なにかしら手段があるかもしれない。
(それならばこの場所にいけ)
その言葉と共に頭に地図の様なものが浮かぶ。
(ここは?)
(世界に声を届ける陣の簡易版がある。これはゴッド・パレスの玉座に据えられたのと同じものだ。王の声を世界に届ける為に編み出された魔法だ。使えるだろう)
なるほど、僕はティルを伴ってその場所を目指すことにした。オウラムに連絡をとったら、ここまで船を出してもらおう。そして出来るかぎり、オウラム技術も投入してアルス・パレスを速く復活させる。まだ僕たちは負けたわけじゃない。
王の剣はラーゼを殺しえる。それがわかったんだ。次は逃がさない。必ずあいつの傍まで迫り……そしてこの剣で奴の首をはねる。
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