美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ163

 アンティカの目に光がともる。周囲で爆発が巻き起こる中、機械の腕を地面に突き立て、体を持ち上げる。大丈夫だ……それ程大きく損傷してる個所はない。こちらの動きを察知したロボット達がレーザーを束ねて放ってくる。あのロボット達も生身のままならでかいが、アンティカと比べれは向こうの方が小さい。

 だから束ねないと効果がないと判断したんだろう。一度出たせいか、まだ感覚が全ての部位につながってる気がしない。とりあえず手に障壁を展開してレーザーを受け止める。

 レーザーはアンティカの手に当たり四方に飛び散る。けど、奴らは押し通せると思ってるのか、攻撃を続けてる。

(づっ……くっ……)

 さらに束ねられたレーザーの出力がこちらの障壁を上回りつつあるのか、頭に色々な警報がなってる。体も徐々に勢いに耐え切れず押し負け始めてる。

(なっ……めるなよ!)

 僕は両手を使う。その時意識がすとんと落ちる気がした。

(来た、この感覚だ。意識と体がつながる感覚。アンティカは自分自身)

 僕はレーザーを受け止めながら徐々に立ち上がる。向こうもこっちの様子を見て、周囲の別方向からもレーザーを放つ気だ。流石に手は二つしかないからな……ふせぎようがない。だが、撃たせる気もなかった。このモノクロのアンティカは漆黒は白銀の装備を奪ってなしえて完成したアンティカだ。

 だからその装備はある。背中の半円のユニットから子供たちが放たれる。そして子供たちは僕の頭上に円状に集まり、回転しながら地上のロボット達をレーザーを使って切り刻んでいく。でも奴らの数は計り知れない。ここでいつまでも相手にしてる暇はない。

 地上もそうだが……やっかいなのは空だ。爆撃はそんなに精度はないようだが、危ないものは危ない。地上からは有効打を与えることは出来ないし、僕が対処すべきだろう。皆の道を切り開く! 僕はアンティカを浮かせて空へと上がる。
 そして飛行してるロボット達を落とし始めた。するとすぐに奴らの行動が、こちらの迎撃へと移った。いつまでお腹を開いて爆弾を投下してたが、それを閉じ、顔を気持ち悪く色々な方向へと回転させながら、こちらに照準を合わせてレーザーを放ってくる。空中戦の始まりだった。

 結果的に、僕が……アンティカが空中戦で後れをとることはなかった。性能差なのか、スピードも小回りも、そして火力も、すべてにおいてこちらが上だったからだ。物量ではかなわないが、この体は疲れない。十分渡り合えた。

 それでも次々とロボット達は来るわけだが、僕はその間にも皆を守れるように上空にきてた。地上の皆と足並みを揃えて船を目指してる。もうそろそろ降り立った場所につくはず。その時、アンティカが何かをとらえた。

(つっ!?)

 その映像に僕は驚愕する。いや、予想はしてた。もしかしたら……と。そらに立ち上がる黒煙が見える。地上の皆はまだ気づいてないだろう。けどここからなはらいち早くわかる。僕には見えてしまった。大破した僕たちの船、僕達を運んでくれた生き物の亡骸が。

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