美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ159

「ここは?」

 私はまず最初にそんな質問をした。すべてを手に入れた気はする。けどそれはそんな全能感を得てるだけで、私の知識量が増えた訳じゃない。そもそも私の記憶メモリーはそんな多くないから、いきなり天才になれたりしないのだ。

 私が感じてるこの全能感は実はこの椅子に座れば誰もが感じちゃう程度の物かもしれない。まあきっと誰もが座れる椅子ではないんだろうと思うけどね。なんか力が満ちる気がするし。これも気のせいかもしれないが……

「ここは『ゴッド・パレス』であります。神の住まう居城をイメージして我らが作り上げた場所です。この地の全ての機能の上位権限を有するこの場所が今、目覚めました」
「そう……」

 うん、こいつが何言ってるのか私にはよくわからなかったが、つまりはここはこの地で一番偉い奴がいるべき場所ということはわかった。まさに私にふさわしい場所だろう。とりあえずなんだか満足してるような感を出してみる。
 すると、何やら頭に変なログが流れる。ナニコレ? 気持ち悪いんだけど? 

「何か流れてる……」
「調べましょう――どうやら従来の管制システムがここに干渉しようとしてるようです」
「ふむ……」

 ふむ……なんていったが、よくわからない。だってひげ面の羽持のあいつは別段何かしてるようには見えない。てかこっちマナになったからこっち側には干渉できなかったのでは? いや、そもそもこの場所、どこなのかわからないけど。私は……私自身の肉体でここにいるのだろうか?

「どうすればいい訳?」
「何も必要はありません。奴にここへと干渉する術はありませんので」
「ふーん」

 どうしようもないのなら別に……っておもったが、頭に流れるログが鬱陶しい。

「煩わしいから排除して」
「そうご命令いただけば、このパレスのシステムがやってくれるでしょう」

 命令か……どうすればいいんだろうか? とりあえずそれっぽく言ってみる?

「ラーゼが命じる。煩わしい虫を排除しろ」

 手を前にだして「排除しろ」の所で拳を握って敵をつぶすイメージを表現してみた。どうこれ?

「頭の中で言っていただけるだけで伝わりますよ。すでにゴッド・パレスとラーゼ様は繋がってますので」
「わかりやすいでしょ」
 
 恥ずかしかったからとりあえずそういって誤魔化しておく。口に出しても命令は伝わるようで頭のうざいログは消えた。何をどうやったのかはわからないが、とりあえず消えたからよしとしよう。

「部下を助けにいくわ。どうしたらいい?」
「ゴッド・パレスを世界へと顕現されるのですね。それならばご命令を。偽りの空間は消え去り、『エデン』が世界へと繋がります」

 だからわけわからん専門用語ばかり使わないでほしい。けどとりあえず命令すればいいのだろう。頭の中だけで言ってもいいんだろうが、それじゃあさっき失敗したみたいだから今度も声を出す事にした。

「顕現せよ! 世界を揺らし、私の力を示せ!!」

 私、ノリノリである。

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