美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
Δ132
(動かない……ごめん皆……僕は……もう……)
水の底で僕は上をただ見る事しかできない。光がキラキラしてて、その光を受けながら、魚達が泳いでる。今の自分の体はアンティカで……息をする必要なんてない。だから水の底でこうやってられる。これは……強制的な進化の反動なのだろうか?
その可能性が一番高い。アンティカのログが視界の隅で流れてる。沢山のエラーメッセージが出て、それに対処するうまが聞こえる。システムに任せておけば、どうにかしてくれるだろう。だから下手に無茶な事をする訳にはいかない。
(でも……大丈夫だろうか?)
それが気がかりだ。スナフスキンはどうにか出来たが、あそこにはラーゼがいる。そしてこっちの奴らも血気盛んだ。進化が解除されたのはきっとラーゼが何かやったせいだ。進化を強制的に発動させるティルのあの力は強力だ。
でもこうやって反動も強い。そしてそれ相応の代償もある。それはそうだろう。沢山の種の戦士たちが目指しても、長い年月掛けても辿り着けないような場所に種を引っ張り上げてしまうんだ。それは反則級の力といっていい。
だからこそ、そうそう使える物ではない。なにせ代償はティルという存在の全てだ。あの力を使う度にティルは体の一部の機能を失い、そして魂も持っていかれてる。ティルのマナは世界樹へと帰る事はもう出来ない。それは死ぬ時が完全な消滅だという事だ。
あいつはこう言ってたな。
「世界樹に帰るという事は、あいつと共に一つになるという事です。私達の敵の力になるという事。そんな事になるくらいなら、皆さんの力になって私は死にます」
そういってティルはあの力を受け入れた。最初は左耳だった。あいつの左耳はどんな魔法を使っても左耳の聴力を取り戻すことは出来ない。そして今回で二回目。きっとどこかがなくなってしまってる筈だ。
(くそ!)
僕達はティルにあのカードを切らせてまで、スナフスキン程度しか仕留めきれなかった。しかもアレはきっと完全なスナフスキンではない。それすらも進化に頼ってなんとか……そしてその進化さえ、ラーゼによって解除された。
そもそもそう長く持つ物でもないから、それと重なったのかもしれないが……ラーゼは世界樹と繋がる巫女だ。マナを操る術には長けてるだろう。本当の意味で進化出来れば……きっとやつらのステージに行ける。
(そうだ)
僕は思い出した事をアンティカのシステムで検索する。
(アルス・パレス)
進化を果たした時、その言葉と共に、装備が変わった。あの時は戦闘中で気にする暇もなかったが、今は水の底で邪魔する物も誰もいない。
(アルス・パレス――挟間次元に建造された製造ラインの総称。パレスは自動で動き続け、アルスの目の下、過去と未来次元の向こうの技術を取り入れ続ける)
よくわからん……が、なんか凄い所なのは分かった。この島のどこかにあるのかと思ったが、どうやら違うらしい。文面から察するに、次元の狭間にそれはある。だからあの滅茶苦茶な崩壊でも無事だったのか。そもそも装備も行き成り現れた感じだった。
(アルス・パレスに接続)
『――ピー、応答ありません』
システムはそう返して来た。ではどうしてあの時はアルス・パレスに接続出来たのだろうか? やはり進化? でもまさかこの体で進化出来るとは思わなかった。そう進化に肉体は関係ないようだ。
(よし)
僕は進化の感覚を思い出す事にした。一度も進化しなくて、それを目指すのは無理だが、僕は幸いにも進化を体験してる。その経験は確実に糧に出来る筈だ。それに僕はこの体で、体を意識的に動かすという事を知った。今なら、体の隅々まで手に取るように分かる気がするんだ。
それなら、進化を再現する事だって出来るかもしれない。このガリガリの体のままで出ていってもきっと意味は無いだろう。なら、もう一度進化を果たし、アルス・パレスの装備を取り寄せる! それでこそ、次の一手に繋がる筈だ。王の剣もきっと力を貸してくれる筈。
水の底で僕は上をただ見る事しかできない。光がキラキラしてて、その光を受けながら、魚達が泳いでる。今の自分の体はアンティカで……息をする必要なんてない。だから水の底でこうやってられる。これは……強制的な進化の反動なのだろうか?
その可能性が一番高い。アンティカのログが視界の隅で流れてる。沢山のエラーメッセージが出て、それに対処するうまが聞こえる。システムに任せておけば、どうにかしてくれるだろう。だから下手に無茶な事をする訳にはいかない。
(でも……大丈夫だろうか?)
それが気がかりだ。スナフスキンはどうにか出来たが、あそこにはラーゼがいる。そしてこっちの奴らも血気盛んだ。進化が解除されたのはきっとラーゼが何かやったせいだ。進化を強制的に発動させるティルのあの力は強力だ。
でもこうやって反動も強い。そしてそれ相応の代償もある。それはそうだろう。沢山の種の戦士たちが目指しても、長い年月掛けても辿り着けないような場所に種を引っ張り上げてしまうんだ。それは反則級の力といっていい。
だからこそ、そうそう使える物ではない。なにせ代償はティルという存在の全てだ。あの力を使う度にティルは体の一部の機能を失い、そして魂も持っていかれてる。ティルのマナは世界樹へと帰る事はもう出来ない。それは死ぬ時が完全な消滅だという事だ。
あいつはこう言ってたな。
「世界樹に帰るという事は、あいつと共に一つになるという事です。私達の敵の力になるという事。そんな事になるくらいなら、皆さんの力になって私は死にます」
そういってティルはあの力を受け入れた。最初は左耳だった。あいつの左耳はどんな魔法を使っても左耳の聴力を取り戻すことは出来ない。そして今回で二回目。きっとどこかがなくなってしまってる筈だ。
(くそ!)
僕達はティルにあのカードを切らせてまで、スナフスキン程度しか仕留めきれなかった。しかもアレはきっと完全なスナフスキンではない。それすらも進化に頼ってなんとか……そしてその進化さえ、ラーゼによって解除された。
そもそもそう長く持つ物でもないから、それと重なったのかもしれないが……ラーゼは世界樹と繋がる巫女だ。マナを操る術には長けてるだろう。本当の意味で進化出来れば……きっとやつらのステージに行ける。
(そうだ)
僕は思い出した事をアンティカのシステムで検索する。
(アルス・パレス)
進化を果たした時、その言葉と共に、装備が変わった。あの時は戦闘中で気にする暇もなかったが、今は水の底で邪魔する物も誰もいない。
(アルス・パレス――挟間次元に建造された製造ラインの総称。パレスは自動で動き続け、アルスの目の下、過去と未来次元の向こうの技術を取り入れ続ける)
よくわからん……が、なんか凄い所なのは分かった。この島のどこかにあるのかと思ったが、どうやら違うらしい。文面から察するに、次元の狭間にそれはある。だからあの滅茶苦茶な崩壊でも無事だったのか。そもそも装備も行き成り現れた感じだった。
(アルス・パレスに接続)
『――ピー、応答ありません』
システムはそう返して来た。ではどうしてあの時はアルス・パレスに接続出来たのだろうか? やはり進化? でもまさかこの体で進化出来るとは思わなかった。そう進化に肉体は関係ないようだ。
(よし)
僕は進化の感覚を思い出す事にした。一度も進化しなくて、それを目指すのは無理だが、僕は幸いにも進化を体験してる。その経験は確実に糧に出来る筈だ。それに僕はこの体で、体を意識的に動かすという事を知った。今なら、体の隅々まで手に取るように分かる気がするんだ。
それなら、進化を再現する事だって出来るかもしれない。このガリガリの体のままで出ていってもきっと意味は無いだろう。なら、もう一度進化を果たし、アルス・パレスの装備を取り寄せる! それでこそ、次の一手に繋がる筈だ。王の剣もきっと力を貸してくれる筈。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
70810
-
-
2
-
-
381
-
-
149
-
-
140
-
-
1512
-
-
37
-
-
159
-
-
1
コメント