美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
Δ101
(うっ……うん?)
視界がざらざらとしてる。色んな回路がぐちゃぐちゃになってるような感覚だ。無意識にでも走る程度はそこそこ出来る様になってると思ったが、今は体を起こそうとするだけで何度も失敗した。ズスン……ズスン……と周囲が振動する。
自分が体を上手く動かせないと周りに結構迷惑がかかる。なぜなら俺の体は今は機械だからだ。アンティカと呼ばれる機械人形。その体は元の体の数十倍はある。下手をしたら仲間を潰してしまうかもしれない大きさだ。
まあただ潰されるような軟弱な奴はオウラムの兵士達にはいないが……僕は顔をぎこちなく動かして後方確認した。
(う!?)
驚愕……その言葉がピッタリの感情が湧いた。なぜなら後方はぽっかりと無くなってたからだ。自分の足から数メートル後方までが消えてる。どうやら本当にぎりぎりだったらしい。
(何人……助かった?)
そんな僕の思考に反応してアンティカが動いてる生物をマーキングしてくれる。しかもそれと同時に数字も表示してくれてもう至れり尽くせり。けど、その数字を見て僕は悲痛に砕かれる。やはり全員が無事……なんてことはどうやらいかなかったようだ。
何人かはこの崩壊に巻き込まれてしまってる。意識を集中して立ち上がり、体全体を後方に向けた。円球場に消え去った空間は所々で紫電が見える。そしてこの現象が始まった中心には黒い何かがあった。三キロくらいこの現象は起きた筈で、普段の僕の視覚では絶対に見えないが……いまの僕はアンティカだ。
こんなフレームだけのボロボロの体でも驚異的な基本性能をアンティカは持ってる。視界をズームする様に僕はそれを見てる。
(あれは……放置してていいのだろうか?)
なんかあの闇からよくない物が出てきそうな……そんな雰囲気がある。けど、アレに近づこうとは流石に思えないんだが……
「次元崩壊の爪痕か。我らにはこれ以上崩壊が広がらない事を祈るしかない」
そういうのはいつの間にか肩に乗ってるセーファだ。戦闘状態を解除してる彼女だが、僕と同じ場所を見る為にその目に炎を纏ってる。本当に便利な奴。上位の種は本当にその体一つでなんでもできるな。てかセーファはよく僕のやってる事が分かったな。
今の僕はアンティカで喋る事なんて出来ない。それなのによく察してくれる。
「ここにいつまでいてもしょうがないぞ。貴様もいつまでもその姿で居る気はないだろう?」
そんなセーファの言葉に僕は頷く。当たり前だ。ずっとこの姿で居てたまるか。確かに便利なんだが……このままではいられない。けど問題はあの僕の体を奪った奴がどこに行ったのか……だ。僕たちはこの島の秘密を探る為に下に行かねばいかない。
消失した部分がかなりデカいが、下にはまだ島がある。崩壊もすべてを飲み込んだ訳じゃない。そうなら僕たちが生きてるはずないからな。道は……じっさい開けてる。けどあの存在は下を目指す必要なんてないんじゃ? だってここの事は全て持ってるみたいな事を言ってた。
そして外に行きたそうだった印象がある。それなら……ここで追わないと奴を逃がす事になるのではないか?
「不安なのは分かる。だが、アレの正体を掴む為にも目的を達した方がいいぞ。我らは知らねばならぬ事が多い」
(そうだな。ありがとうセーファ)
僕はどうせ聞こえないがそういった。確かに僕たちはあの存在を何も知らない。ここの事をもっとしれば、あの正体がつかめるかもしれない。それなら、直ぐにではなくても、体を取り戻す機会はあるだろう。そもそもあの白銀と漆黒のアンティカが奴の両隣を固めてると、今の戦力では厳しい……か。
アンティカになったと言っても今の自分はフレーム部分しかないし……装甲を手に入れたい気持ちもある。無策に突っ込んで勝てる相手ではない……それはよくわかったじゃないか。
地面を見ると生き残った兵士達が集まってる。皆心の中では死んでいった仲間の事を思ってるだろう。けど、その目はまだ死んでない。目的を達する事が、彼らの死を無駄死ににしない事だと知ってるんだ。
そんな折、何やら軽快な音が聞こえてくる。いや……これは音楽? 戦闘音とかではなく、確実に旋律だ。
(歌ってるのか……)
こんな場所で歌うなんて……それがこちら側ではないと断言できる。だってそんな奴はいない。そんなおかしい奴は……な。こんなことをするのはきっと奴だ。今自分達がいるよりも低い場所から聞こえる歌。アンティカがその歌の発生源を大まかに教えてくれる。
更に歌が聞こえてくると、マナが視界に入るようになる。どういう事かはわからないが、何かをやってるのは確か。
「なにか心の底から震えるぞ。なんだこれは? ただの歌ではない」
セーファが胸を抑えてそういう。兵士達は別段そんな事はないようだが? 何かが起こってるみたいだ。僕は腰を下ろして、兵士達をしがみつかせる。無理な奴らはセーファに任せる。そして地面を蹴って消失した部分に落ちていく。
行こう。奴が……ラーゼが居る場所に出来事は集まる。奴を回避する事なんか多分出来ないんだ。そして奴はきっと目印。色んなことの中心に奴はいる。だから……向かうしかない!
視界がざらざらとしてる。色んな回路がぐちゃぐちゃになってるような感覚だ。無意識にでも走る程度はそこそこ出来る様になってると思ったが、今は体を起こそうとするだけで何度も失敗した。ズスン……ズスン……と周囲が振動する。
自分が体を上手く動かせないと周りに結構迷惑がかかる。なぜなら俺の体は今は機械だからだ。アンティカと呼ばれる機械人形。その体は元の体の数十倍はある。下手をしたら仲間を潰してしまうかもしれない大きさだ。
まあただ潰されるような軟弱な奴はオウラムの兵士達にはいないが……僕は顔をぎこちなく動かして後方確認した。
(う!?)
驚愕……その言葉がピッタリの感情が湧いた。なぜなら後方はぽっかりと無くなってたからだ。自分の足から数メートル後方までが消えてる。どうやら本当にぎりぎりだったらしい。
(何人……助かった?)
そんな僕の思考に反応してアンティカが動いてる生物をマーキングしてくれる。しかもそれと同時に数字も表示してくれてもう至れり尽くせり。けど、その数字を見て僕は悲痛に砕かれる。やはり全員が無事……なんてことはどうやらいかなかったようだ。
何人かはこの崩壊に巻き込まれてしまってる。意識を集中して立ち上がり、体全体を後方に向けた。円球場に消え去った空間は所々で紫電が見える。そしてこの現象が始まった中心には黒い何かがあった。三キロくらいこの現象は起きた筈で、普段の僕の視覚では絶対に見えないが……いまの僕はアンティカだ。
こんなフレームだけのボロボロの体でも驚異的な基本性能をアンティカは持ってる。視界をズームする様に僕はそれを見てる。
(あれは……放置してていいのだろうか?)
なんかあの闇からよくない物が出てきそうな……そんな雰囲気がある。けど、アレに近づこうとは流石に思えないんだが……
「次元崩壊の爪痕か。我らにはこれ以上崩壊が広がらない事を祈るしかない」
そういうのはいつの間にか肩に乗ってるセーファだ。戦闘状態を解除してる彼女だが、僕と同じ場所を見る為にその目に炎を纏ってる。本当に便利な奴。上位の種は本当にその体一つでなんでもできるな。てかセーファはよく僕のやってる事が分かったな。
今の僕はアンティカで喋る事なんて出来ない。それなのによく察してくれる。
「ここにいつまでいてもしょうがないぞ。貴様もいつまでもその姿で居る気はないだろう?」
そんなセーファの言葉に僕は頷く。当たり前だ。ずっとこの姿で居てたまるか。確かに便利なんだが……このままではいられない。けど問題はあの僕の体を奪った奴がどこに行ったのか……だ。僕たちはこの島の秘密を探る為に下に行かねばいかない。
消失した部分がかなりデカいが、下にはまだ島がある。崩壊もすべてを飲み込んだ訳じゃない。そうなら僕たちが生きてるはずないからな。道は……じっさい開けてる。けどあの存在は下を目指す必要なんてないんじゃ? だってここの事は全て持ってるみたいな事を言ってた。
そして外に行きたそうだった印象がある。それなら……ここで追わないと奴を逃がす事になるのではないか?
「不安なのは分かる。だが、アレの正体を掴む為にも目的を達した方がいいぞ。我らは知らねばならぬ事が多い」
(そうだな。ありがとうセーファ)
僕はどうせ聞こえないがそういった。確かに僕たちはあの存在を何も知らない。ここの事をもっとしれば、あの正体がつかめるかもしれない。それなら、直ぐにではなくても、体を取り戻す機会はあるだろう。そもそもあの白銀と漆黒のアンティカが奴の両隣を固めてると、今の戦力では厳しい……か。
アンティカになったと言っても今の自分はフレーム部分しかないし……装甲を手に入れたい気持ちもある。無策に突っ込んで勝てる相手ではない……それはよくわかったじゃないか。
地面を見ると生き残った兵士達が集まってる。皆心の中では死んでいった仲間の事を思ってるだろう。けど、その目はまだ死んでない。目的を達する事が、彼らの死を無駄死ににしない事だと知ってるんだ。
そんな折、何やら軽快な音が聞こえてくる。いや……これは音楽? 戦闘音とかではなく、確実に旋律だ。
(歌ってるのか……)
こんな場所で歌うなんて……それがこちら側ではないと断言できる。だってそんな奴はいない。そんなおかしい奴は……な。こんなことをするのはきっと奴だ。今自分達がいるよりも低い場所から聞こえる歌。アンティカがその歌の発生源を大まかに教えてくれる。
更に歌が聞こえてくると、マナが視界に入るようになる。どういう事かはわからないが、何かをやってるのは確か。
「なにか心の底から震えるぞ。なんだこれは? ただの歌ではない」
セーファが胸を抑えてそういう。兵士達は別段そんな事はないようだが? 何かが起こってるみたいだ。僕は腰を下ろして、兵士達をしがみつかせる。無理な奴らはセーファに任せる。そして地面を蹴って消失した部分に落ちていく。
行こう。奴が……ラーゼが居る場所に出来事は集まる。奴を回避する事なんか多分出来ないんだ。そして奴はきっと目印。色んなことの中心に奴はいる。だから……向かうしかない!
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