美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ91

『力に慢心した者か……』


 スナフスキンがそういったのが私には聞こえた。けど多分他の人達には聞こえてないだろう。聞こえてないというか、理解できない。私は何故か奴の喋る言葉が分かるけど、他の人達はそうじゃないからね。そういえばだけど、この世界で言葉に困った事はないんだよね。
 多種多様な種族がいるのに言葉が一つなんておかしいよね? まあ実際一つではないみたいだけど……私には同じように聞こえるし、勝手に私の言葉はどんな種にも伝わる。そんなのはどうやら私だけのようだ。この約束の地の羽付き達はどうやら人種と同じ感じの文字とか使ってる様だから、昔近かったって言うのがデマではないと分かる。


 ネジマキ博士とかもそこに色々と希望を持ってるみたいだしね。「約束を果たすのじゃ!」とか息巻いてるが、約束が何なのか知ってる奴はいない。よく考えたら、あの時あいつらに聞いとくべきだった。いや、最奥まで辿り着ければわかるのかもしれないけど。


 私が思うに私が言葉を理解できるのは最初にここで色々と取り込んだからだと思うわけだ。私にはどうやらその力があるっぽいし? ダゴちゃんの知識は何故に手に入ったのか謎だけどね。確かに色々と私は手にした訳だけど、それには体を重ねる行為必要だったし……力と知識の違いだろうか? 


 私は多分ここの知識の一端を得てるから全ての種とも会話出来るんだと思う。けどそれじゃああのスナフスキンは? 


(あのロリッ子、なんか知り合いっぽいよね?)


 なんか雰囲気的にそう思える。でもそれならあのロリッ子はスナフスキンの言葉が分かるはずではないだろうか? でも実際には奴の言葉を理解出来てるのは私だけ。って事は、今スナフスキンが喋ってる言葉は昔のそれではないって事だ。


 じゃあなんで私は奴の言葉が分かるのか? 多分今スナフスキンが喋ってるのは星を手にしてから作った言葉なんだろう。そしてあの陣も。私のこの便利機能的なのは、この地のデータがベースになってるとしたら、それって数千年とかそんな古いデータの筈だよね? 


 それでもこの世界で不自由がなかったのは、この世界の種は大体が長命だからだ。刹那の様に死んでくのは人種くらいである。ある程度完成されたら言葉なんてそうそう変わる物じゃない。だから問題なんてなかったのは納得できる。


 けど……スナフスキンが今使ってるのはこの世界にはなかった言葉だ。それを理解できるってもうわかんないよね。だってこの地のデータにあるはずない言葉じゃん? そうなると今までの推測が成り立たない。後はやっぱり……私が実は『神』という事? 


 それなら説明つくよね。神ならなんでもできそうじゃん。寧ろ神に出来ない事ってなんぞ? 位だよ。


「何を言ったか、聴いてもよいか?」


 ロリッ子はそういってこっちを探るような眼を向ける。いや、実際なにかやられてる感はある。ロリッ子の目は不思議で、瞳がなんか迫ってくるみたいな迫力があった。


「姫、そいつは汚れてますよ」


 ウサギっ子、酷い言いようである。けどそんなうさぎっ子に姫と呼ばれるロリッ子はこう返す。


「いや、この者は純粋じゃよ。真っ白にしかみえん」


 その言葉の意味することを私はまだ知らない。

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