美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ67

「ぐあああああああ!!」


 炎に包まれた彼の声。その声がどこか二重に聞こえる。そんな気がした。そして次の瞬間、体から青白い何かが分離する。


「ぐああ! 熱い!! この炎……なぜこっちに!!」


 声の主がそういって苦しんでる。セーファの炎は優秀な事に、燃やしてた筈の兵士から離れて分離した青白い方へと移ってた。そもそもが実際とかじゃなさそうなのに、セーファの炎は関係ないようだ。謎の存在もちゃんと燃やしてる。兵士の方も勿論火傷を負ってるが、そこはこちらの者達で回復魔法を掛けてやる。そして今なお燃えてる奴を囲み、逃げ場を無くす。


「貴様は何者だ!!」
「ぐぬぬ……まさか、長らく感じれなくて忘れてた物をこの身に思い出させるとは……な」


 さっきまで苦しんでたのに、なんか大丈夫そうになった? でも今も確かにセーファの炎は奴を取り巻いてる。苦しくない訳が、痛くない訳がない。


「浸ってるようだが、そのままでは貴様は消滅するぞ」


 セーファの優しさなのか、そんな忠告をする。青白い光は人種のような形をしてる。ただ、その背には大きな羽が見えるが。


「私の炎での消滅は完全消滅だ。世界樹へと還る事はない。ここのマナは特殊な循環をしるようだが……それでももどる事はないぞ」
「ふはは、そうか。それもいいかもしれないな」
「何?」


 セーファ的には脅しで言ったんだろうけど、どうやらあれには効いてない。でもこのまま燃え尽きてしまっても困る。こいつの狙いを効いてない。


「もう俺たちは滅びるのだ。それを同胞たちは受け入れてる」
「貴様はここの者か?」
「それがどうした?」
「なら、ここに詳しいのだろう?」


 セーファの奴が何をしようとしてるのか、理解した。こいつを利用できないか……と考えてるんだろう。


「貴様らのような脳筋共には我らの技術は扱えんよ。早く消滅させるならさせろ。この怨念も全て消え去るのなら……なにも残らないのならそれで……」
「怨念? それほどまでに強い霊になってるのならさぞや強い恨みなのだろう? 本当にいいのか?」


 危険な事をセーファの奴はきく。強い怨念を持った霊とか危険でしかない。まあ危ない橋を渡る価値があると、セーファの奴は思ってるんだろう。


「くく……どういうつもりだ? 貴様達が俺の怨念の糧になってくれるのか?」


 そういって青白い影がその存在感を強める。それなりに来るプレッシャーに警戒を強める。霊は精神に干渉してくる。その系統の魔法防御を準備させる。


「餌になる気はない。だが、話せ。片手間でやれる事もあるかもしれないぞ」
「あの神の器に入った奴と、腑抜けた同胞たちを貴様たちは壊せるのか?」


 神の器? 同胞はこいつと同じ存在だろう。けど、滅びるとか言ってたのに、壊すとかどういうことだ? 僕はセーファと視線を交える。その目が妖しく光るのが見えた。


「まずは話を聞かせろ。それからだ」
「いいや、まずはその力を示して貰おうか。話はそれからだ」


 その瞬間だ、壁が赤く溶けて一直線に光が迫る。魔法に特化した兵たちが素早く防護壁を張った。それで何とか耐えたが……光が収まって周りを見ると、壁が穴だらけになって、外の光景が見えてた。そして外にはアンティカと呼ばれた人種の機械と同じようなのが取り囲んでる。

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