美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Δ66

「なんて場所なんだ……」


 息を切らしつつ僕はそんな事をいった。既にかなりの時間を費やしてる。だが、実はまだまだ建物はあるのだ。こっちだって観光気分で呑気に歩いてるわけではない。寧ろかなり急いでる。色々な手段だって使ってる。だが、当初の目的だった中心部へと続く大きな通路を見つけるには至ってない。下から上まで隅々まで調べるのも大変だ。凄いが、ここで暮らすとなると大変だな……と思わなくもない。いや、きっとここがちゃんと生きてた時はなにか便利な方法があったのだろう。


 自分達よりも進んだ文明を築いてたここの者たちが不便に苦労してたなんて思えない。今は結構ボロボロだから、そういう機能が……


「そうか!」


 自身の中で思考してて、ピンときた。地図で見たから、隠してなんかないと思ったが……それは存在をかくしてないだけで、入り口は違うんでは? ここの者たちはとても賢かったはずだ。自分達が知らない方法でそれを成しててもおかしくない。


「どうした?」
「いや、こうやって上ばかりを探すのは間違ってるかもしれないと思ってな」
「そうだな。だが魔法の痕跡は同時に探してたぞ?」


 流石はセーファ。やる事やってたくれたみたいだ。でも魔法でも不審な痕跡は見当たらなかったみたいだ。そうなると……


「ラジエル様! 大変です!!」


 息を切らして別の部隊の奴が駆けてきた。連絡は密にしてた筈だか? それも魔法でちゃんと遠隔の部隊とも通信できるようになってる。まあここはマナが特殊で、流石に船とはコンタクト取れないが、この場所位なら問題なかったはずだ。異常があれば、通信で報告した方が段違い早いだろう。いや、その心意気は立派だけどな。


「どうした?」
「はっ! カサネ部隊で異常が発生しました」
「どうして通信しなかった?」
「ぞれは通じなかったからであります」


 まあそれしかないよな。通信できるなら、何も走って報せになんて来ない。


「何があった?」
「はっ、緊急事態なので移動しながらでもよろしいですか?」
「当然だ」


 悠長に話を聞いた後に動き出すなんて事はしない。ここは敵地だ。安全な場所なんてないんだからな。僕たちは急いで報告に来た彼の後ろについて走り出す。その時だ。


「待て」


 そういってセーファが足を止める。


「何してる? 早くいかないと!」
「おい、貴様。自身の部隊と名を言え」
「そんな暇は……」
「言え」


 凄む様に睨みつけてそういうセーファ。どうやら彼女は彼を疑ってる用だ。確かに……疑えば色々と気になる事はある。だが、事実こっちからも向こうの部隊にはつながらない。何か起きてるのは確かとみれる。


「私はゼッゼム部隊のハチコロであります!」


 そういう彼はオウラムの軍服に身を包んだちゃんとした兵に見える。確かに頭が平べったくて、キノコみたいな物生やしてるけど……だからってそれてうたがうのはちょっと……ちゃんと脳だってつまってるだろう。そもそもここに居る時点で彼は優秀だ。精鋭を連れてきたんだから。


「そうか……」


 部隊の編成に詳しい物はちゃんと頷いてる。それは確かに彼が居るという証明。だけど……セーファは止まらない。その腕に赤い炎を纏う。


「記憶など、マナを盗めばわかる。そしてそれを出来る種はそれなりにいる。ここの奴らが出来たとして、おかしくはない!」


 そういってセーファは腕を伸ばし、彼に炎を向けた。止めた方がいいのか? とか思ったが、セーファは何か確信を持ってる。そう信じて、僕は仲間の断末魔に耳を傾ける。

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