美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ153

 少しだけど、繋がりが強くなってる気がする。魔法も使える。ショートポイントが復活してる。どうやらさっきコランを救ったのはこれが暴発したからみたい。今分かったけど、どうやらショートポイントは私以外にも使えるみたい。今まで試した事なかったけど、ここに刺さってる沢山の剣を黒鎧の頭上に出せば、勝手に落ちて行ってくれる。それが今の私に出来る攻撃。どうやらここの剣は一本一本が特別みたい。だから私の腕力で抜くなんて事は出来なかった。


 けどショートポイントではこれらを利用することが出来る。必要なのは腕力ではなくて、マナだったのかもしれない。私はコランにだけ気配消しを掛けて、その場から動かない様に言った。一対一……いや、私だけをみせる為だ。コランは首を振ってたけど、これはお姉ちゃん権限で実行した。私だってそりゃあ怖いよ。膝何てがくがく笑ってる。けど、魔法は私しか使えない。コランに戦わせるなんてもうできない。


「いっけえええええええええ!!!」


 私はショートポイントを常に展開してる。私のショートポイントの範囲にある剣のいくつかにポイントがついて光ってる。物体にを動かすにはどうやらまずはポイントをつける為にも一回は触れないといけないみたい。けど一回触れれば、私の力の届く範囲なら好きなタイミングでショートポイントを発動できる。だからタイミングを見計らって黒鎧がちょうどいい感じに来た所でショートポイントを発動。奴の頭上に何十もの剣を降り注がせる。


「どうだ!!」


 無数の剣の雨にさらされた黒鎧の足が止まる。普通、ただ落ちてくるだけの剣なんて簡単に落とせそうに思う。実際、こんなの効かないんじゃ……って不安だった。けど、実績はあったから信じれた。それはコランを救った一回だ。あの黒鎧はとてもそこらの生半可な攻撃で傷つきそうには見えない。けど、あの時の傷は確かにあって、そしてそれでコランはすくわれた。なら……とわたしはその可能性に賭けたんだ。どうやら私は賭けに勝ったみたい。


 ここの剣たちは、奴を傷つけるだけの力を秘めてる。あとは私が上手くショートポイントを使えば、この通り戦える。最初は全然当たらなかった。落として当てる……たったこれだけが、難しい。けど、こんなのは学習だ。ダンスや歌と同じ。奴の動きを見て、そのリズムを歌に見立てて、その旋律を私は口ずさんでる。旋律がわかれば、次どう来るかがなんとなくわかる。だからそこに設置する。そしたら当たると気づいた。


「いい……ぞ、その純然なマナに、ここで散ったアスタナ達が震えている。貴様にも……きこえるであろう」


 何か黒鎧が言ってる。けど私は既に次の攻撃のストックの為に別の剣に触れに走ってた。あんな奴のいう事なんか悠長に聞いてなんかられない。だってこっちはどれだけショートポイントの為に剣に触れてられるかが勝負なんだから。


――倒せ――


「え?」


 今、剣に触れた瞬間、そんな声が聞こえた様な。それを認識した時だ。震えるような振動が頭に直撃する。それは声であり、怨嗟であり、嘆きであり、そして願い。ちょっと……こんな女の子になに背負わせようとしてるのよ。


「そうか……そういうことなんだ」


 アスタナ――その種の正体を私は理解した。そうか、これがこの武器達がアスタナなんだ。



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