美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ88

(へえ……可愛い! てかやらしい!)


 軍学校の二人がアトラスを発動させた。まさか学生に回してるとは思わなかったけど、ここの学生はエリートになりうる子達だしね。良い装備を回してるのは当然か。それでも全員が持ってるとは思えないけど……彼女達は優秀なんだろう。黒一色だった彼女達の姿は今は白と赤のコントラストが眩しくなってる。しかも足も腕もそしてお腹も開いてて、良い感じだ。二人とも流石に引き締まった良いからだしてる。小さい方の子は胸もそれなりにあるしね。


 隊長っぽい子は悲しいかな……かなりつつましいけど、でも綺麗だから……うん、綺麗だからね。切羽詰まった顔もなかなかにいいよ。私の事を熱い視線で見つめてるしね。そんな視線で見つめられるとキュンキュンしちゃうよ。どうやら何かやるみたいだね。アトラスがあるからって勝てる……なんて思いはしないだろうけど……なにするかには興味ある。どうやらあの子達は、ここの女の子達に手だし出来ないようだし、逃げの一択しかないと思うんだけどね。


 さっきから観察しててそれがわかった。でもそれはそうだよね。だってこっちに通ってる子達は貴族が大半はだ。貴族を傷つけたとあっては大変。いくら操られてたからって言っても傷が残ったりしたら、商品価値が落ちるわけで……文句言ってくる貴族もいるだろう。命の方が万倍大切だろうにね。そもそも私はこの子達を傷つける気なんかないけどさ。けど、それは彼女達にはわからない訳で……それなら教えてあげても……とも思わなくもない。


(けど、今更出づらいからね)


 予想外に事が大きくなると、自分では言い出しづらいというか? 経験ないかな? 自分の予想以上にことが大きくなって、自分ではもうどうしようもなくなること……いまがそれです。こうなったら彼女の手柄にして消えようかな……と。確かに彼女には私が見えてる。けど、鮮明に見えてるわけじゃない。彼女の仲間のメカをつけて鏡で見てみたけど、誰かが居るって事がわかるくらいだった。なら私という超絶美少女が看破されることはないだろう。


 そう思ってると、小さい方の子(胸はデカい)が床で祈ってた背が高い子を強引に背負う。普通なら絶対に出来なさそうだけど、アトラスのおかげで楽々みたい。


(あの子は逃走担当かな?)


 とか思ってると、もう一人の子が目の前に迫ってた。どうやら壁や天井を使って接近してたらしい。その手にはなんだかバチバチと鳴ってるトンファーみたいな棒が両の手に握られてた。珍しい武器をもってるね。私は避け……れるわけないから、衝撃に備える。大丈夫大丈夫、どうせ痛くないか――


「んにゃあああああああ!?」


 バリバリときた。確かに打撃は効かなかったけど……どうやらあの棒の電撃は通った。私の悲鳴を聞いていける……と判断したのか、彼女はさらに追撃を仕掛けてくる。流石にあのビリビリを何回も食らうのはちょっと……物理はほぼ通さない絶対防御だけと、付加効果には弱かったかな? しょうがないから防御の出力をあげる。私は体内でなら、それなりにゼルラグドールの力を操れるからね。外に出す気はない。


 こんな所でゼルラグドールの力を使えば、皆消し飛んでしまうからね。そんな事をするつもりはないよ。けど……問題はどうやってこの子に倒されるか……だね。私が最初以外、全然ひるまなくなって彼女は焦ってるようだ。そればそうだよね。さっきから猛ラッシュしてるのに、私微動だにしていないからね。恐ろしいだろう……恐怖と不安が心から染み出て、全身を覆うとしてるだろう。それが私にはわかるよ。


 彼女の焦ったような顔を見れば一目瞭然だ。笑顔の少女も好きだけど……こういう顔も私は結構好みだよ。なんかイタズラしたくなっちゃうよ。そう思って、私は彼女の手を取る。攻撃が当たったときにがちっとね。攻撃を防ぐことは出来ないけど、当たったのを掴むくらいは出来る。そして私は今、なかなかに怪力なので彼女を引き寄せるくらいわけない。


「くっ……すまないチュリエ……」


 死を覚悟したのか、そんな言葉を漏らす彼女。けどその時、私の周りに幾重もの魔法陣か現れる。そしてそれが輝くと、操ってた生徒たちがバタバタと倒れ伏した。むむ……なんかいやな予感がするぞ。そう思ってカツンカツンと響く足音の方を振り向く。


「あなたは……」


 そう紡ぐ彼女の目は見開いてる。足音を響かせて向かってくるその存在の強大さに驚いてるのかもね。


「ありがとう。もう大丈夫だから」


 そういう新たに表れた子は普通の制服をきた女の子だ。しかも見覚えのある……ね。その言葉には自信を感じれる。そして彼女の前に進み出る一体のぬいぐるみ。けどそれは彼女を超える背丈になり,ぬいぐるみというよりかはロボの様な姿えと光って変わった。これは……なかなかにまずいかもしれない。


「誰かしらないけど、これ以上好き勝手はさせない。私はそれを許さない! 聖女キララの名において!!」


 痛々しい宣言をしてキララが現れた。



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