美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ82

「何やってんだ私!!」


 私はシステリアの部屋を出てから寮の共同スペースみたいな所に座ってたそがれてた。目的が違ったよ。システリアの目を使って目ぼしい奴を見つけるつもりだったんだけどね。システリアはあの部屋から出ないけど、この学校の事に関しては誰よりも詳しいのだ。大半の生徒はそんな事知らないだろうけど、システリアにはここでの事で知らない事はないんではないのかな? って感じ。システリアの存在を知ったのは偶然だった。なんか変な物を送ってくる奴がいたんだ。


 簡易な説明書と変な機械。それが粗雑な包装で領に送られてきてた。実際、その段階では私は知る由もなかったよ。だってそんな怪しい物を、私の所まで持ってくるわけないしね。けどどんな運命の悪戯か、それはネジマキ博士の目にたまたま止まって興奮した感じて彼は私に報告してきた。そしてシステリアが送ってきた物をかき集めて開けてなかった荷物も解放。そして彼女の特別性が露わになったので荷物を辿ってこの学園に辿り着いたのだ。


 最初はここにいるキララに探させたんだけどね。あいつでは見つける事が出来なかった。けど私が出向いたら、向こうから出て来てくれたのだ。キララの事は別に好きでも嫌いでもないけど、興味もないらしい。でもその取り巻き共は嫌いだから姿は見せないといっていた。見つけられたら……ともいってたけどね。


(とりあえずもう一度行ってみようか?)


 けど、なんかバカにされそうだしなぁー。そんな事を思ってると、人の気配を感じた。なのでスーと透明化する。わざわざ立ち去りはしない。大丈夫でしょ――とかわたしは楽天的に考えてた。だってここ今は私しかいないし、それなりの数の椅子がある。私のこの席に座る確率は低い。そう高をくくってたんだけど……なんか見えた二人の女の子はまっすぐに私の座ってる席に来てる気がする。


(けどそんなまさかね。それにもしそうでも……)


 バチコーイ! である。なにせ彼女達はなかなかに可愛い。サラサラの黒髪を揺らす品の良さそうなお姉さま風の子と、活発そうでちょっとアホっぽいショートの子。なんか同じ年にも見えないけど、随分と二人は親しそうだ。お手々繋いでるしね。ショートの子が楽しそうに話してるのを黒髪の子が上品に笑って相槌を打ってる。あのショートの子は黒髪の子になついてるのかな? けど黒髪の子はかなり熱い目をしてる気がする。


 私のセンサーが百合か――と反応するよ。私は両刀いけるし、百合を否定なんてしないよ。可愛い女の子をめでたくなる気持ちはどんな生物でも共通なのだ。そう思ってるとやっばり彼女達は自然と私の所まできた。私の方の椅子は私が座ってるから傍目的には既に引いてあるみたいに見えるはず。それを察したのか、ショートの子は反対側に回って黒髪の子の為に椅子を引いた。


「お姉さま、どうぞ」
「ありがとう」


 そう言って優雅に着席する黒髪の子。まさに淑女だね。貴族としてマナーが徹底的に仕込まれてる所作である。そんな彼女にショートの子は見惚れてた。


「ふふ、メリアも座ったら?」
「は……はい!」


 メリアと呼ばれたその子は顔を赤くしつつも着席する。そう私の座ってる椅子にね。女の子のお尻の感触が私の太ももを包んでく。


(おふう……)


 私は初めてのお尻の感触を味わうよ。うむうむ、貴族にしてはほどほどに引き締まったお尻をしてますな。だいたい貴族の淑女は運動なんかしないから、柔らかさ一辺倒だけど、メリアちゃんは見た目からも思ったけど、運動好きなのかもしれない。こういうのもいい。まあ可愛い女の子のお尻ならどんなお尻だって御馳走だけどね。私は顔をゆるくしてそんな事を考えてた。


「メリア……貴女座高高くなった?」
「ふえ?」


 流石に何かおかしいと黒髪の子は気づいた。そもそもメリアちゃんが何も思わないがおかしいけどね。あほの子かな? 明らかに椅子なんかよりも私の太ももは柔らかいでしょーが。まあ怒りはないよ。彼女匂いがいっぱい肺に入ってきて幸せだからね。美少女の香り……たまりません。私は理性のタガが外れてガバッとメリアちゃんを抱きしめる。


「うえ!? なんか……体が……」
「メリアどうしたのですか?」


 様子がおかしいメリアちゃんを心配して黒髪の子が立ち上がる。


「なんだか……動けません」
「ええ?」


 理解できないがとにかく何かが起こってると理解した黒髪の子はメリアちゃんを助けるために近寄ってきて彼女を立たせようと肩を掴んだ。そしておもいっきり引っ張るとメリアちゃんは立ち上がった。勿論、私をくっつけたまま。私は軽いのだ。


「ふう、これで大丈夫?」
「いえ……立てただけで上半身はかわりないですぅぅ」
「えぇ!?」


 涙目のメリアちゃんの言葉に黒髪の子も困惑だ。二人の反応が面白いから、もう少し遊んでみよう。そう私は思った。



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