美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

θ1

 皆が暗い顔をしてた。人種未曾有の危機から二年……けどその傷跡は人種に深く深く刻まれてて、まだ立ち直るには至ってない。それまでの勢いは完全に絶たれてしまってた。たった二つの種……だけど、その力は絶大で……人種は思い出してしまったんだ。自分たちがどれだけ矮小かを。けどそれでも勢いのある領はあった。国事態が沈んだ空気の中、このファイラル領は違う。


 皆が前を向き、そしてしっかりとした足で歩いてる。


(まあ、私的にはそんなのどうでも良いんだけどね)


 私、ラーゼは十五歳程度には成ったと思う。この世界なら婚約者とかいても既におかしくない年齢だ。まあ私には関係ないけどね。だって私、ほら美少女だし。あっ、いや間違えました。超絶美少女でした。今は更にその美少女っぷりにも磨きがかかってきた。まあ磨いてもいないけど、ほら私伸びしろしかなかったからね。今や、男どもは私を見た瞬間射精する勢いだよ。こんな超絶美少女に一体誰が釣り合うと?
 まあ懲りずに求婚してくる奴らは沢山いるけどね。


 ちなみに、女達は私をもう女とは認めてないみたい。なんかもう別次元の存在として、少しでも私の美にあやかろうとしてくる輩が一杯。特に貴族。まあいいけどね。お金さえ出してくれれば文句はない。


 下手な貴族なんかより、既に私の影響力の方が大きいのに、歴史と格式みたいな物を振りかざして来る奴も居たりはする。まあ潰すだけだけどね。私を不快にする奴はいてはならないのだよ。


 はてさて、今や王都を凌ぐとも言われる我がファイラル領。基本私は食って寝て遊んでるだけだけど、私だってやる時にやるのである。いやいや、ほら私クラスになると、そうそう動いちゃいけないみたいな? そんな雰囲気あるじゃん。決して何もやってないわけじゃない。夢にまでみたぐーたら生活が出来るからって、ソレばっかりやってたら、なんか物足りないっていうか?


 ほら、私基本刺激求める質だし。平穏無事も好きだけど、それだけじゃね。まあいま、そんな事を言うのは不謹慎だ――とか、いう煩いのがいたりするんだけど。大きくなると、どうしても私一人の意見が通らなかったりしたりしちゃうわけだよね。まあ私は通すけど。なんせここは一領なのだ。国の中にある一つの領。だからいくら大きくなってもその括りが私の独裁を許してる側面はある。


 死にたいの王政でも、そこには感謝してる。だからまあ、私を止められない程度には生かして置いてあげてる。私は権力もお金もほしいけど、責任なんて物はほしくないからね。私はただやりたい事をやって、楽しく平和に生きたいんだ。


 まあでも、止められない時代の流れってのがあるよね。二年前のあの災厄から他の種族も次第に動き出してきた。時期、魔王となったミリアを完全覚醒して魔物たちも激しく動き出すだろう。面倒なことこの上ない。しかもなんかミリアに狙わてるし……まあだけど、笑う準備はできてるから。


「本当にやるんですかぁー」
「当然でしょ。私達はそのためにラーゼ様に選ばれたんだから」
「ふふ、大丈夫。私達ならやれるわ」
「うん! だーいじょーぶ! ですよね! ラーゼ様!!」


 私の傍には四人の美少女達。まあ私には及ばないけどね。一人ひとりが個性が光っててまさに原石と呼ぶにふさわしい子達だ。そして彼女達は似通った色違ういの衣装に身を包んでる。部屋の外からは、待ちきれない期待の声が響いてる。世界が血と命を散らす戦いに向かうなら、私はもっと別の戦いをしよう。やってみたかったんだよねこれ!


 だから私は自信を持って頷いて言ってあげる。


「勿論! さあ、私達の初公演よ!!」


 私たちは円陣を組む。そして手を重ねあわせて行きリーダーである私が気合を入れる為に声をだす。


「『プリムローズ』!! レディ―――」
「「「ゴーーーーーー!!」」」


 光に翳した手が眩しい。そして私たちはステージへと駆け出した。

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