美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Σ79

「すまない……」


 そんな言葉をグルダフさんが言う。彼も顔色が変わってる。こいつが今までの鉄血種とは比べ物にならないと……そう悟ったみたい。周りの兵士達はグルダフさんが単純に力負けしたことがショックだったのか……恐怖に染まってるよ。


「うっ!? うわああああああああ!!」


 ふいに響くそんな声。この空間は異常な緊張感で包まれてる。その中で声を上げるのがどういうことか……それが分からない人は多分ここにはいない。それがわかってる上でのそんな叫び……無視は出来なかった。視線を向けると、地面には何かがあった。そう何かがだ。いや、一瞬で理解出たよ。けど……『それ』を理解したくなかったってのが本音。


 そりゃあ叫ぶよ。だって『それ』は人……だった物なんだから。丸まってて、おかしくなってるけどそれは人だとわかる。だって変なうめき声だしてて、更には腕が一本だけブランと出てる。


「なっ……」


 それは明らかに生きてて可笑しい姿。だって骨どうなってるの? 内臓は? とか少しだけしか人体の事を分かってなくてもそれが異常だって直ぐに気付く。それだけにおかしな姿。そして不気味だ。


「また貴様のくだらん作品か」
「下らないなんて失礼ね。人間アートって言う芸術なのよ? やっぱり年寄りにはこの感性は分からないみたいね」


 そう言って現れたのはもう一人の鉄血種。銀髪の鮮やかな髪に大きな帽子に、服もちゃんと着てる他の鉄血種とはちょっと違う感じの女性の鉄血種だ。二十代に見えるその鉄血種はかなりの美人。作り物めいた物さえ感じる程に整ってる顔してる。


「へえーその子がねぇーなかなかかわいい顔してるわね。作品にしたいわ」


 その鉄血種はぺろっと舌を出して唇を舐めた。私はゾッとしただけだけど、どうやら男性諸君にはそうでは無いらしい。なんだか、彼女を見上げて、トロけた目をしてる。


「ふふ、大丈夫。みんな私の作品に変えて上げるから」


 そう言って彼女はその両腕を太く黒い腕へとかえる。そんな折、ゴゴコゴと微振動が響く。どうやらゼウスが地面に付いたみたい。


「ねえ、もう我慢しなくて良いんでしょ?」
「ああ、境界は超えられた。ここに居る連中は好きにすればいいさ」
「あの子も?」
「それはあの娘しだいだ」
「ふーん、じゃあ私の作品にくわえちゃお。大丈夫、痛くないから。それに私は殺してないのよ。永遠に私の所有物となれるの。最高でしょ?」


 どこが……そう言おうと思ったけど、事態は更に最悪な方向へと進んでく。突然空から攻撃が来たかと思ったら、それに刺された人達がミイラ化してく。これで更に鉄血種が二人……これは……

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