美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

Σ30

 ファイラル領……それは今一番活気がある領だ。『アナハイム』と呼ばれてた寂れた村は、今や都市と呼べるまで発展してその規模は首都とほぼ変わらないくらいにまでなってる。そして周辺の土地を侵略……もとい強奪? どっちにしろ変わらないけど、してって今やその広さも領でも一・二を争う程。それだけ目覚ましい発展を遂げたのがファイラル領なのだ。


 なんだか冒険者ギルドの本部をこっちに移そうとかいう声もあるとかなんとか……まあ実現は難しそうだけど。けど、ここには冒険者いっぱいだからね。多分、この国のなかでもかなりでかいギルドが複数居を構えてるからね。広くなったからアナハイムとカナハイムとサナハイムとかいう三拠点の都市があるからそれぞれにギルドの拠点がある。どう考えても適当につけた名前だよね? って突っ込みはなしだ。


 それいうとラーゼの奴が怒るから。そして私たちは今、一番熱いサナハイムの都市の頭上にいる。一番新しい都市だからとにかく活気があるんだ。下をみると都市のあちこちで重機を使ってなにかしてるなーというのがわかる。サナハイムは山の側面を切り開いて作られたみたい感じの都市だ。なんでこんな住みにくそうな所に都市を築いたのか……まあラーゼの思い付きだと思うけど。


 それに丁度この土地の種族を取り込んだっての大きいだろう。ラーゼは国の意思なんてお構いなく、領地拡大にいそしんでるからね。まあ勤しんでるのは主にアンサンブルバルンさんだけど。ここにいた小人種は世界樹の森に居を移したらしい。彼らにとっては濃いマナが生命活動に必要だからそっちの方が都合がいいみたいな? 
 うまく取り込んで、元々彼らが住んでた場所を乗っ取ってこんな風に……いい事なのか悪い事なのかよくわからいね。まあ両者が納得してるのなら私が文句言っても仕方ないことだけどね。小人種は肥沃な大地と、魔光石の純度をあげる特性? みたいなのがあるらしくて、彼らが住み着くだけでその土地は肥沃になるらしい。なのでそれを多分ラーゼは欲しかったんだろう。


 そしてここには長年……本当に何千年と彼らはいたわけで、この山事態に高純度の魔光石があるというわけだ。だからこの山を掘り起こす為にもこんな風な街になってしまったんだろう。けど見た目はなかなか悪くはない。ラーゼの奴は街の景観をそれぞれ変えてるからね。アナハイムはどうしようもなかったから、この世界の標準的な建物が並んでる。
 でもここはカラフルな色の屋根や特徴的な建物がそこかしこに見える。色々と前の世界の建物をごちゃ混ぜにした感じ。けどそのごちゃまぜ感が統一性をもたらしてる……かもしれないと思えなくもないくらいに都市となってる。


 あと一つのカナハイムは基本和テイストで建物が作られてる。どうやらラーゼは観光客とか、そういう需要も狙ってるみたい。そんなほいほいと旅行できるような世界でもないんだけどね。


 サナハイムは山をくりぬいたみたいに都市ができてるから上と下でそれぞれ出入り口ができてる。やっぱり空飛ぶ船は上から乗りいれた方がいいもんね。下はダンプとか呼ばれてる車がいっぱい見える。


 まだまだ一般庶民にそんな普及してないあれがあれだけあるってことはそれなりの地位の人たちを相当虜にしてると見た。都市の目立つところには大きな石像がある。ラーゼかな? とか思ったけど、どうやら違う。キララが美化されて石像化されてる。聖女教の教会もかなりのデカさであるし、実はキララも定期的にここにはきてるのかな? 


 私たちが乗る空挺はやっぱり上の方の発着場に着くのかとそう思ってた。けどどうやらそうではないらしい。


「どこに行くんですか?」
「ふふ、秘密基地と言ったじゃろう?」


 そんな風に得意気にいうネジマキ博士。空挺は都市の反対側に回る。そこはまだ山だ。丁度都市から死角になる位置に空挺はきた。切り開かれてない山。木も反対側とは違ってまだまだある。さすがに高いところには生えてはないけど、こっち側は不自然なくらい手つかず。そう不自然な程に。そう思ってると山の側面がスライドして開いてく。そして大きな口を開いた。


 そこに空挺は降りていく。

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