美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
β30
「「ごめんなさい(ですわ)」」
「へ?」
私は驚愕した。だって……今なんて言った? ごめんなさいとか聞こえたけど……聞き間違いだよね? だってこの二人だよ……いつもサーテラス様の後ろにくっついて、私をいびってた奴らだよ。サーテラス様の取り巻きしてるだけあってこの二人も貴族至上主義に染まってるじゃん。まあ今は知らないけど。だってサーテラス様はああなっちゃったからね。
それをこの二人はどう思ってるのか。けどそれでもサーテラス様から離れてなかったから、やっぱりただサーテラス様に付いて彼女に合わせてるだけだっのかな?
「昨日のこと……本当に……こんなことは言い訳にしか聞こえないでしょうけど、私達あの時おかしくて……」
「そうなんです……頭がボーとしててですね……何か頭に声が聞こえてたような感じですの。それに逆らえなくて……」
普通は荒唐無稽な言い訳してるなーってなるのかもしれない。けど、心当たり有り過ぎるから、私はそうは思わない。実際、彼女達は操られてただけなんだろう。私は手を拭きつつ、答えるよ。
「わかりました。もう昨日の事はいいです。それでこれからもあの方に付いて行かれるのですか?」
そういう私に二人はどうにも罰が悪そうな顔をする。それはそうだよね。何かおかしいと、流石に二人は気づいてるはずだ。これで何も感じてなかったら、流石に頭の出来を疑っちゃうよ。貴族なんだし、それなりに良い教育を受けてきたはずでしょ? といいたい。
「私達……怖いんです」
「今のあの方はとても優しい。けど……なんだかとても不気味で……最近はよく記憶が飛ぶことがあるんですの……」
それでも離れないんだ。いや、離れられないのかな? 怖いってつまりはサーテラス様の事で、彼女が怖いから今まで通りの付き合いをしてると? ただ何も考えないで彼女に付き従ってるだけじゃなかったんだ。
「今日、そのサーテラス様はどうしたんですか?」
その質問に、二人は何やら視線をかわす。躊躇ってるのかな? けど、私には負い目があるし、昨日の事は借りでもあるんだろう。実際あんな事をしたら、停学か、下手すれば退学だ。この学園は貴族やら王族やらが通うからね。規則には厳しい。処罰も当然厳しいのだ。だから二人は話してくれた。
「今朝……サーテ様のお部屋にお迎えに言ったんです。けど声を掛けてもお返事はなくて……」
「遅れると行けないので、私達は鍵を使って扉を開けましたわ。勿論、それはサーテ様の許可を得てます。そこで私達は見たんですの」
ゴクリと、唾を飲み込む二人につられて、私も唾を飲み込んだ。
「ボロボロになったお世話係のメイドの姿と、どこかに向かって声を荒げてるあの方を……」
「それに何故かお部屋が異常に暗かったんですわ。そしてその闇に……何かが……そう何かが居たんですの!」
そう言って二人はその場面を思い出してるのか、小さく肩が震えだす。その後は二人共一目散に逃げたみたい。正しい判断だと思う。あのままそこに居たら、そのメイドの少女みたいにって……その子不味くない? ボロボロだったんだよね? けど二人はそこにはそんなに触れない。
「あの……倒れてたメイドの子は無事なのかな?」
「メイドなんて代わりは幾らでもいますわ。それに学園側も、そこには寛容ですし」
「運が良ければ、治療くらい受けさせて貰えるかも知れないですわ。まあ、サーテ様が彼女を放ってなければですけど」
どうなんだろうか? 今のサーテラス様なら、殺すまでやりはしない気もする。けど、前の彼女なら、メイドにわざわざ治療なんて施さないだろう。魔王はどうするのか……それは予想できない。まだ魔王がなんなのか、よく分かってないしね。メイドの子はとても心配だ……けど、サーテラス様の部屋とかなら、どうしようもない……だって魔王がいる。
「気になるんですか? メイド如きが?」
「え、ええ」
メイド如きですか。やっぱりこの人達は生粋の貴族のようだ。メイドだけど、同じ人種だよ。いや、この人達にとっては『同じ』ではないんだろう。貴族とそれ以外はきっと違うんだ。本気でそう思ってる。
「サーテ様が自身のお部屋にいつまでも汚い物を置いとくとは思えませんわ。多分外には出してるはず。教員棟へ行ってみると良いですわ。侍女長とかならその後のあの娘のことも知ってるでしょう」
「そうですね。行ってみます」
「やはりおかしな方ですわね」
そう言って来る二人に私はすかさずこう返す。
「そうですか? 私は普通だと思いますよ。おかしいのはお二人では?」
サーテラス様から離れれば、お友達になれるかも……とかおもったけど、それは難しそうだなって思う。だって今のままの考え方じゃ、私は付いてけないよ。私はそう言って二人の横を通り過ぎてトイレを出る。とりあえずお昼に教員棟にもいってみよう。色々とアナハと共に、考えなくちゃね。
そしてお昼休み。私は急いでアナハとの待ち合わせの場所に行こうとした。けど廊下に出て人がごった返してるのに気付いた。何事かと思ったら、廊下の壁により掛かるティアラ様がいた。何やら物思いにふけってるのか、窓から遠くを見てて、それがホントに絵画の様だった。どうやら皆さんそんなティアラ様に見惚れてるよう。てかティアラ様は昨日からあまり変わってない様な?
おかしいね。皆元に戻ってるみたいなのに……なんでティアラ様は昨日のままなのだろうか?
そう思ったけど、私はとりあえずアナハの所に急がないと。けどどうやら向こうがこっちに気付いた。すると何故か真っ赤になって、そしてもじもじする。けど意を決した様な表情でこちらに向かってきて、そして飛びかかるように抱きつかれた。
「好きです! キララ様」
視界がパチパチと明滅する。周りがなにかうるさくなった気がした。けど私の頭は何が起きたのか理解するのを諦めてた。
「へ?」
私は驚愕した。だって……今なんて言った? ごめんなさいとか聞こえたけど……聞き間違いだよね? だってこの二人だよ……いつもサーテラス様の後ろにくっついて、私をいびってた奴らだよ。サーテラス様の取り巻きしてるだけあってこの二人も貴族至上主義に染まってるじゃん。まあ今は知らないけど。だってサーテラス様はああなっちゃったからね。
それをこの二人はどう思ってるのか。けどそれでもサーテラス様から離れてなかったから、やっぱりただサーテラス様に付いて彼女に合わせてるだけだっのかな?
「昨日のこと……本当に……こんなことは言い訳にしか聞こえないでしょうけど、私達あの時おかしくて……」
「そうなんです……頭がボーとしててですね……何か頭に声が聞こえてたような感じですの。それに逆らえなくて……」
普通は荒唐無稽な言い訳してるなーってなるのかもしれない。けど、心当たり有り過ぎるから、私はそうは思わない。実際、彼女達は操られてただけなんだろう。私は手を拭きつつ、答えるよ。
「わかりました。もう昨日の事はいいです。それでこれからもあの方に付いて行かれるのですか?」
そういう私に二人はどうにも罰が悪そうな顔をする。それはそうだよね。何かおかしいと、流石に二人は気づいてるはずだ。これで何も感じてなかったら、流石に頭の出来を疑っちゃうよ。貴族なんだし、それなりに良い教育を受けてきたはずでしょ? といいたい。
「私達……怖いんです」
「今のあの方はとても優しい。けど……なんだかとても不気味で……最近はよく記憶が飛ぶことがあるんですの……」
それでも離れないんだ。いや、離れられないのかな? 怖いってつまりはサーテラス様の事で、彼女が怖いから今まで通りの付き合いをしてると? ただ何も考えないで彼女に付き従ってるだけじゃなかったんだ。
「今日、そのサーテラス様はどうしたんですか?」
その質問に、二人は何やら視線をかわす。躊躇ってるのかな? けど、私には負い目があるし、昨日の事は借りでもあるんだろう。実際あんな事をしたら、停学か、下手すれば退学だ。この学園は貴族やら王族やらが通うからね。規則には厳しい。処罰も当然厳しいのだ。だから二人は話してくれた。
「今朝……サーテ様のお部屋にお迎えに言ったんです。けど声を掛けてもお返事はなくて……」
「遅れると行けないので、私達は鍵を使って扉を開けましたわ。勿論、それはサーテ様の許可を得てます。そこで私達は見たんですの」
ゴクリと、唾を飲み込む二人につられて、私も唾を飲み込んだ。
「ボロボロになったお世話係のメイドの姿と、どこかに向かって声を荒げてるあの方を……」
「それに何故かお部屋が異常に暗かったんですわ。そしてその闇に……何かが……そう何かが居たんですの!」
そう言って二人はその場面を思い出してるのか、小さく肩が震えだす。その後は二人共一目散に逃げたみたい。正しい判断だと思う。あのままそこに居たら、そのメイドの少女みたいにって……その子不味くない? ボロボロだったんだよね? けど二人はそこにはそんなに触れない。
「あの……倒れてたメイドの子は無事なのかな?」
「メイドなんて代わりは幾らでもいますわ。それに学園側も、そこには寛容ですし」
「運が良ければ、治療くらい受けさせて貰えるかも知れないですわ。まあ、サーテ様が彼女を放ってなければですけど」
どうなんだろうか? 今のサーテラス様なら、殺すまでやりはしない気もする。けど、前の彼女なら、メイドにわざわざ治療なんて施さないだろう。魔王はどうするのか……それは予想できない。まだ魔王がなんなのか、よく分かってないしね。メイドの子はとても心配だ……けど、サーテラス様の部屋とかなら、どうしようもない……だって魔王がいる。
「気になるんですか? メイド如きが?」
「え、ええ」
メイド如きですか。やっぱりこの人達は生粋の貴族のようだ。メイドだけど、同じ人種だよ。いや、この人達にとっては『同じ』ではないんだろう。貴族とそれ以外はきっと違うんだ。本気でそう思ってる。
「サーテ様が自身のお部屋にいつまでも汚い物を置いとくとは思えませんわ。多分外には出してるはず。教員棟へ行ってみると良いですわ。侍女長とかならその後のあの娘のことも知ってるでしょう」
「そうですね。行ってみます」
「やはりおかしな方ですわね」
そう言って来る二人に私はすかさずこう返す。
「そうですか? 私は普通だと思いますよ。おかしいのはお二人では?」
サーテラス様から離れれば、お友達になれるかも……とかおもったけど、それは難しそうだなって思う。だって今のままの考え方じゃ、私は付いてけないよ。私はそう言って二人の横を通り過ぎてトイレを出る。とりあえずお昼に教員棟にもいってみよう。色々とアナハと共に、考えなくちゃね。
そしてお昼休み。私は急いでアナハとの待ち合わせの場所に行こうとした。けど廊下に出て人がごった返してるのに気付いた。何事かと思ったら、廊下の壁により掛かるティアラ様がいた。何やら物思いにふけってるのか、窓から遠くを見てて、それがホントに絵画の様だった。どうやら皆さんそんなティアラ様に見惚れてるよう。てかティアラ様は昨日からあまり変わってない様な?
おかしいね。皆元に戻ってるみたいなのに……なんでティアラ様は昨日のままなのだろうか?
そう思ったけど、私はとりあえずアナハの所に急がないと。けどどうやら向こうがこっちに気付いた。すると何故か真っ赤になって、そしてもじもじする。けど意を決した様な表情でこちらに向かってきて、そして飛びかかるように抱きつかれた。
「好きです! キララ様」
視界がパチパチと明滅する。周りがなにかうるさくなった気がした。けど私の頭は何が起きたのか理解するのを諦めてた。
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