美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
β24
握る手が熱い。私は強く力を込めてた。
「痛い……」
「ご、ごめんなさい!」
「離さないって……言ったのに」
ええ? 痛いって言ったから離したのに……私はどうすれば? 確かに離しちゃったけど……
「まあ……私は貴女の戯言なんか信じないけど……」
「案外期待してるように見えるのは気の所為?」
期待してないと今みたいなことは言わないと思う。少しは私の言葉、彼女の胸に響いたのかな?
「気の所為。変な女がいきなり手を握って来て……変な事を言いだしたから警戒してるだけ」
「それは……うん、ごめん。あはは」
確かにそう聞くと、私は危ないやつだね。けど、なんだかこんな会話も今の私は楽しく感じてる。だからもう一度私は言うよ。
「離してないよ。ちゃんと繋いでるから」
私は胸を叩くよ。ここで繋がってるアピールだよ。彼女の深い色の瞳が私を見つめてくる。
「本気……なの?」
「その目で見えてない? 私嘘言ってないよ」
なんとなく心を見透かされてる気がしたからそう言ってみた。すると、彼女は背中を向けた。
「嘘は……言ってないのはわかる。けど……バカは見にくいから、信用なんて出来ない」
「バカ……なのかな?」
失礼なやつである。確かにさっきの発言はバカっぽかったけども!
「バカでしょ……魔眼持ちに近づくなんて……バカしかしない」
「そっか、ならバカでもいい。私はキララ。貴女は?」
「…………アナハ」
結構溜めて彼女はそう教えてくれた。アナハ……いい名前だと思う。私はチヤホヤされて少し勘違いしてたかも知れない。必要とされる……求められる……それは私の欲求で、そうしないと誰も私を見てくれないって……思った。けどチヤホヤされて、調子に乗ってた。私が欲しい……本当に欲しいのは、何なのか今ならわかる。私はただの便利な人でも都合のいい人でもない、本当に光を与える人になりたいんだ。
「アナハはどうするの? 私は教室に戻るけど?」
「教室は……怖い。あいつがいる」
「あいつってサーテラス様?」
その言葉にアナハは首を振る。そして「影」といった。取り付いてるほうね。そこで私は思い出した事を聞いてみた。
「ねえアナハは魔王って知ってる?」
「魔王……お伽話になら……そんな存在が出て来る。それが何?」
私はどうしようかと思ったけど、アナハは魔眼を持ってる。なので話してみた。
「サーテラス様がそんな事を……魔王なんて……にわかには信じられないけど……でもあの怖さはそうかも」
「ちなみにどんな風に見えてるの? 影って形あるの?」
「真っ暗で……長い手足した生物が彼女にしがみついてる」
なにそれこわ!? 確かにそれが見えるのは怖いね。じゃあその黒いのが魔王自身なのかな?
「ちなみに私の力にもそんな格好の人が居たりするのかな?」
「……キララにはいない。けどやたら眩しいから鬱陶しい」
鬱陶しい言われたよ。メガネを掛け直したアナハは無言で進み、そして私を振り返る。
「行くんでしょ?」
「……うん!」
まさか一緒にいってくれるとは。教室に入ると、とてもいたたまれない空気が刺さってきた。サーテラス様はいなかったけど、それでもね……どうやら私の評判は地に落ちたようだ。けど……私にはアナハがいる……いる……あれーなんかやけに遠くに座りましたけど? 無関係ですか? 一緒に入ってきてそれは無理ない? 休み時間になっても誰も集まってはこない。少し前まではこんな事なかったのに。
私は意を決してアミーさんに近づく。彼女は良い人筆頭だからきっと無視したりはしないだろう。
「アミーさん。あのごきげんよう」
「ごきげんようキララ様。今朝は色々とあったそうですね」
「え……ええまあ」
やっぱりしってるよね。けど無視はされなかった。流石アミーさん。
「私はその場にいなかったのでなんとも言えませんが……許すことも時には必要です。サーテ様は変わりました。それはキララ様もよく分かっておいでのはず」
「……はい」
それからとくとくとアミーさんの言葉は続いた。正論過ぎて私の心臓が握りつぶされそうだった。そんな時だ。
「もう良いかしら? 何も知らない割に……良く回る口ですね……アミーローゼ様。いい子のアミー様はご立派ですね」
「アナハ様……」
え? え? 二人の間に火花が散ってる気がする。けどすぐにアミーさんは引くよ。
「ごめんなさい。出過ぎましたわ。アナハ様とお友達になられたのですか?」
「ええ」
「それはとても良いことですね。アナハ様も心許す相手が出来たことは良いことです。とてもお似合いだと思います」
ん? 今のは皮肉? でもあのアミーさんがそんな事言うことないよね。私はとりあえず次の講義にアナハと向かった。とりあえず講義ではサーテラス様には会わずにお昼になった。何処行っても非難の目が痛いけど、そんなのにめげてられない……食堂で列に並んでると、そこで奴はやってきた。
「キララ様、よろしかったらお昼どうですか?」
ぬけぬけとサーテラス様は生徒会メンバーを侍らせて言ってくる。ざわざわと空気が辺りに漂う。けど、今朝の様な胸の焦燥感とか怒りはない。私が一歩上のステージに行った証拠だね。落ち着け私。私は今はもうひとりじゃない。そうでしょアナハ!
(あれええええ!?)
一緒に並んでた筈のアナハはいなかった。どうやら素早く危険を察知して消えたらしい。流石は魔眼持ち……危機察知能力が半端ない。一緒に教室に行くぐらいはしてくれるけど、ボスと相対するのは勘弁ってことか。しょうがない……ここは一人で乗り切るしかない。私は覚悟を決めてこういった。
「ええ、ご相伴に預かりますわ」
「痛い……」
「ご、ごめんなさい!」
「離さないって……言ったのに」
ええ? 痛いって言ったから離したのに……私はどうすれば? 確かに離しちゃったけど……
「まあ……私は貴女の戯言なんか信じないけど……」
「案外期待してるように見えるのは気の所為?」
期待してないと今みたいなことは言わないと思う。少しは私の言葉、彼女の胸に響いたのかな?
「気の所為。変な女がいきなり手を握って来て……変な事を言いだしたから警戒してるだけ」
「それは……うん、ごめん。あはは」
確かにそう聞くと、私は危ないやつだね。けど、なんだかこんな会話も今の私は楽しく感じてる。だからもう一度私は言うよ。
「離してないよ。ちゃんと繋いでるから」
私は胸を叩くよ。ここで繋がってるアピールだよ。彼女の深い色の瞳が私を見つめてくる。
「本気……なの?」
「その目で見えてない? 私嘘言ってないよ」
なんとなく心を見透かされてる気がしたからそう言ってみた。すると、彼女は背中を向けた。
「嘘は……言ってないのはわかる。けど……バカは見にくいから、信用なんて出来ない」
「バカ……なのかな?」
失礼なやつである。確かにさっきの発言はバカっぽかったけども!
「バカでしょ……魔眼持ちに近づくなんて……バカしかしない」
「そっか、ならバカでもいい。私はキララ。貴女は?」
「…………アナハ」
結構溜めて彼女はそう教えてくれた。アナハ……いい名前だと思う。私はチヤホヤされて少し勘違いしてたかも知れない。必要とされる……求められる……それは私の欲求で、そうしないと誰も私を見てくれないって……思った。けどチヤホヤされて、調子に乗ってた。私が欲しい……本当に欲しいのは、何なのか今ならわかる。私はただの便利な人でも都合のいい人でもない、本当に光を与える人になりたいんだ。
「アナハはどうするの? 私は教室に戻るけど?」
「教室は……怖い。あいつがいる」
「あいつってサーテラス様?」
その言葉にアナハは首を振る。そして「影」といった。取り付いてるほうね。そこで私は思い出した事を聞いてみた。
「ねえアナハは魔王って知ってる?」
「魔王……お伽話になら……そんな存在が出て来る。それが何?」
私はどうしようかと思ったけど、アナハは魔眼を持ってる。なので話してみた。
「サーテラス様がそんな事を……魔王なんて……にわかには信じられないけど……でもあの怖さはそうかも」
「ちなみにどんな風に見えてるの? 影って形あるの?」
「真っ暗で……長い手足した生物が彼女にしがみついてる」
なにそれこわ!? 確かにそれが見えるのは怖いね。じゃあその黒いのが魔王自身なのかな?
「ちなみに私の力にもそんな格好の人が居たりするのかな?」
「……キララにはいない。けどやたら眩しいから鬱陶しい」
鬱陶しい言われたよ。メガネを掛け直したアナハは無言で進み、そして私を振り返る。
「行くんでしょ?」
「……うん!」
まさか一緒にいってくれるとは。教室に入ると、とてもいたたまれない空気が刺さってきた。サーテラス様はいなかったけど、それでもね……どうやら私の評判は地に落ちたようだ。けど……私にはアナハがいる……いる……あれーなんかやけに遠くに座りましたけど? 無関係ですか? 一緒に入ってきてそれは無理ない? 休み時間になっても誰も集まってはこない。少し前まではこんな事なかったのに。
私は意を決してアミーさんに近づく。彼女は良い人筆頭だからきっと無視したりはしないだろう。
「アミーさん。あのごきげんよう」
「ごきげんようキララ様。今朝は色々とあったそうですね」
「え……ええまあ」
やっぱりしってるよね。けど無視はされなかった。流石アミーさん。
「私はその場にいなかったのでなんとも言えませんが……許すことも時には必要です。サーテ様は変わりました。それはキララ様もよく分かっておいでのはず」
「……はい」
それからとくとくとアミーさんの言葉は続いた。正論過ぎて私の心臓が握りつぶされそうだった。そんな時だ。
「もう良いかしら? 何も知らない割に……良く回る口ですね……アミーローゼ様。いい子のアミー様はご立派ですね」
「アナハ様……」
え? え? 二人の間に火花が散ってる気がする。けどすぐにアミーさんは引くよ。
「ごめんなさい。出過ぎましたわ。アナハ様とお友達になられたのですか?」
「ええ」
「それはとても良いことですね。アナハ様も心許す相手が出来たことは良いことです。とてもお似合いだと思います」
ん? 今のは皮肉? でもあのアミーさんがそんな事言うことないよね。私はとりあえず次の講義にアナハと向かった。とりあえず講義ではサーテラス様には会わずにお昼になった。何処行っても非難の目が痛いけど、そんなのにめげてられない……食堂で列に並んでると、そこで奴はやってきた。
「キララ様、よろしかったらお昼どうですか?」
ぬけぬけとサーテラス様は生徒会メンバーを侍らせて言ってくる。ざわざわと空気が辺りに漂う。けど、今朝の様な胸の焦燥感とか怒りはない。私が一歩上のステージに行った証拠だね。落ち着け私。私は今はもうひとりじゃない。そうでしょアナハ!
(あれええええ!?)
一緒に並んでた筈のアナハはいなかった。どうやら素早く危険を察知して消えたらしい。流石は魔眼持ち……危機察知能力が半端ない。一緒に教室に行くぐらいはしてくれるけど、ボスと相対するのは勘弁ってことか。しょうがない……ここは一人で乗り切るしかない。私は覚悟を決めてこういった。
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