美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
#113
「落ち着いた?」
「……うん」
ようやく泣くのが止まった亜子に、私は用意させてたお茶を出す。何か適当に落ち着く奴と注文すると、メイドさんが持ってきてくれた。元々この屋敷で働く事が決まってたメイドさん達はなんか若い子が多い。寧ろこの集落の若い子はここに来てるんじゃないかって感じ。聞いてみると、この村ではお金を稼ぐ手段がそもそも無いらしく、ここで奉公してお金を稼いで街の方に行きたいとか。
まあ若かったらそんな事も考えるよね。私的には若い子がやってくれるのはいいけどさ。でも実際、蛇が一緒に連れてきた獣人達がいれば全部完璧にやってくれたりする。だってその人達はライザップで超高級なホテルで接客とかの対応やってたプロだからね。
こんなど田舎で何もわからずちょっと勉強した程度の若い子達が彼等に敵うはずもないのだ。まあメイド長の人はそれなりに歳も行ってて昔は街の方のお屋敷に奉公に出てたってことだったけど、それでも片田舎の貴族の家とライザップ規模の首都でのホテルマンとは出来が違うというか……
別に不満があった訳じゃない。けど、一緒に連れてきた獣人の皆はそうでは無かったらしいから、そこは色々と説明して彼等はプロなので教わって――と言っといた。なので絶賛彼・彼女達はメイドや執事のプロとなるべく修行の身である。納得してるかは知らない。けど何やら初日からすれば気合が違う気はする。このお茶も随分と美味しくなった気がするし。
獣人と人種……その隔たりはそうそうなくなったりしないだろうけど、上手くやってくれれば楽でいい。
「はあー」
数口お茶に口をつけた亜子が大きく息を吐く。そして周りを見た。
「ごめんなさい。けど……なんで皆が……」
「それなりに重要な事だし、この世界の住人の方が詳しいでしょ」
周りのソファには蛇にカタヤにキララに後は集落の長のダンダ。まあダンダの奴は呼んでないんだけど、なんか若返ってその行動力を持て余してるのか、どこかからか聞きつけてやってきた。まあ指摘してもうざったいから、放置してる。そして窓の外にはメル。
「すみませんね亜子さん。ですが確かに興味深い話ではあります。その天空に座す楽園というのは恐らくですが、幻の大地ではないでしょうか?」
「獣人の間ではそう呼ばれてるんですね。人種の間では、約束の大地と呼ばれてますね」
ふむふむ蛇とカタヤの発言で彼等もおおよその見当が突いてるのがわかる。多分とても有名なことなのだろう。
「それって何なの?」
私はさっさと確信を突く。けど二人共その返答はできないようだ。何……と問われてこれ……と言う答えは無いのかもしれない。そう思ってると、幾つかの大きな本を一緒に持ってきてたダンダの奴がこう言うよ。
「約束の大地――そこは肥沃な大地と発達した都市。そしてマナを吸い上げる巨大な魔光石があったと言われてます。そこに住まうは天空人と呼ばれる種は神に近い存在だったとか。彼等は見た目が人種に近く、そして一番深く関わったのも人種とされています。彼等と人種の間には一つの約束がわされたとも。それが何かは今や誰もも知るものはいません。
大体、これが人種に伝わる全てですな」
それだけ分厚い本にそれだけしか乗ってないの? けど、人種と獣人で呼び方が違う意味はわかったね。人種はその楽園の住人と何かを約束したから、約束の大地とか呼んでるんだ。まあそれもどこまで本当かはわからないけど。
「ラーゼは知ってるって言ったよね?」
亜子のその発言に、皆の視線が私に集まる。まあ別に隠してる気も無かったんだけど、話す必要性が無かっただけだ。けど、ゼルの事は黙ってた方がいいかな? なんとなくだけど、そんな気がする。
「私はそこからやってきたもん」
「え?」「は?」「んじゃ?」
それぞれの間抜けな声が重なってそして皆が一様に驚きの叫びを上げた。そ……そんなに驚く事?
「……うん」
ようやく泣くのが止まった亜子に、私は用意させてたお茶を出す。何か適当に落ち着く奴と注文すると、メイドさんが持ってきてくれた。元々この屋敷で働く事が決まってたメイドさん達はなんか若い子が多い。寧ろこの集落の若い子はここに来てるんじゃないかって感じ。聞いてみると、この村ではお金を稼ぐ手段がそもそも無いらしく、ここで奉公してお金を稼いで街の方に行きたいとか。
まあ若かったらそんな事も考えるよね。私的には若い子がやってくれるのはいいけどさ。でも実際、蛇が一緒に連れてきた獣人達がいれば全部完璧にやってくれたりする。だってその人達はライザップで超高級なホテルで接客とかの対応やってたプロだからね。
こんなど田舎で何もわからずちょっと勉強した程度の若い子達が彼等に敵うはずもないのだ。まあメイド長の人はそれなりに歳も行ってて昔は街の方のお屋敷に奉公に出てたってことだったけど、それでも片田舎の貴族の家とライザップ規模の首都でのホテルマンとは出来が違うというか……
別に不満があった訳じゃない。けど、一緒に連れてきた獣人の皆はそうでは無かったらしいから、そこは色々と説明して彼等はプロなので教わって――と言っといた。なので絶賛彼・彼女達はメイドや執事のプロとなるべく修行の身である。納得してるかは知らない。けど何やら初日からすれば気合が違う気はする。このお茶も随分と美味しくなった気がするし。
獣人と人種……その隔たりはそうそうなくなったりしないだろうけど、上手くやってくれれば楽でいい。
「はあー」
数口お茶に口をつけた亜子が大きく息を吐く。そして周りを見た。
「ごめんなさい。けど……なんで皆が……」
「それなりに重要な事だし、この世界の住人の方が詳しいでしょ」
周りのソファには蛇にカタヤにキララに後は集落の長のダンダ。まあダンダの奴は呼んでないんだけど、なんか若返ってその行動力を持て余してるのか、どこかからか聞きつけてやってきた。まあ指摘してもうざったいから、放置してる。そして窓の外にはメル。
「すみませんね亜子さん。ですが確かに興味深い話ではあります。その天空に座す楽園というのは恐らくですが、幻の大地ではないでしょうか?」
「獣人の間ではそう呼ばれてるんですね。人種の間では、約束の大地と呼ばれてますね」
ふむふむ蛇とカタヤの発言で彼等もおおよその見当が突いてるのがわかる。多分とても有名なことなのだろう。
「それって何なの?」
私はさっさと確信を突く。けど二人共その返答はできないようだ。何……と問われてこれ……と言う答えは無いのかもしれない。そう思ってると、幾つかの大きな本を一緒に持ってきてたダンダの奴がこう言うよ。
「約束の大地――そこは肥沃な大地と発達した都市。そしてマナを吸い上げる巨大な魔光石があったと言われてます。そこに住まうは天空人と呼ばれる種は神に近い存在だったとか。彼等は見た目が人種に近く、そして一番深く関わったのも人種とされています。彼等と人種の間には一つの約束がわされたとも。それが何かは今や誰もも知るものはいません。
大体、これが人種に伝わる全てですな」
それだけ分厚い本にそれだけしか乗ってないの? けど、人種と獣人で呼び方が違う意味はわかったね。人種はその楽園の住人と何かを約束したから、約束の大地とか呼んでるんだ。まあそれもどこまで本当かはわからないけど。
「ラーゼは知ってるって言ったよね?」
亜子のその発言に、皆の視線が私に集まる。まあ別に隠してる気も無かったんだけど、話す必要性が無かっただけだ。けど、ゼルの事は黙ってた方がいいかな? なんとなくだけど、そんな気がする。
「私はそこからやってきたもん」
「え?」「は?」「んじゃ?」
それぞれの間抜けな声が重なってそして皆が一様に驚きの叫びを上げた。そ……そんなに驚く事?
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