美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

#60

「違う! 何かの間違いだ!!」


 そんな事を法定の場で喚いてるシンデドゥル公爵。彼は今、裁かれてる。その罪はなんと、人種の保護に国家転覆罪である。まあ法定と言っても、裁判所みたいな場所ではなく、国王が鎮座する前で縛られ頭を垂れたシンデドゥル公爵の周りに位の高い貴族と、民族衣装的な物を着込んだ神の代弁者とか言われてる連中がいる。私はというと、更にこの部屋を見渡せる場所で優雅にお茶をすすってる。


 そしてその後ろに本物の国王である獣王がいる。立派だったであろう立髪までしわしわとなった百獣の王。やっぱり王はそれなんだ……と思った。ゆったりとした白い布を着て椅子に座ってるだけの老人。けど言い知れぬ威圧感みたいなのがある。
 私はチラッと下を見る。ようはあの椅子に座ってるのは影武者だ。獣王はもうけっこうなお年な模様なんだよね。けど普段公の場に出る時は魔法で創健な姿を見せてるらしい。そうしないと威厳とか牽制にならないからだそう。
 あんな老け込んでるのに大変だね。


「ら、ラーゼや」
「はい、ここに」


 そう言って私が近づくと、膝をポンポンとする。そこに座れと? 取り敢えず黙って私はその膝へと腰を下ろす。


「おお、いい感触だぞ」


 変態が。私のお尻の感触にご満悦な獣王。


「建たせてきたらへし折るからね」
「お主にしか建たんのに連れないのぅ」


 それは喜ばしいのかもしれないけど、私はこいつの子を孕むつもりない。人種と獣人の間でも子は出来るらしいけど、それは結構茨の道らしい。やっぱりハーフとかは厳しい物があるようだ。それにこの国は終わるんだ。それなのに獣王の子とか、そこまでいかなくても側室とかなってると、なんか立場ヤバそうじゃん。私と会った時は枯れた爺そのものだったのに、下手に接触しすぎたか……やたら元気になってしまった。


 やっぱり男はかわいくて綺麗な異性を見ると元気になるみたい。しかも私ほど、普通とはかけ離れた美少女となるとその効果は絶大らしい。枯れ枯れだった獣王のナニも元気いっぱいになっちゃったもん。しかも私にしか反応しないっていうね……そこは他にも反応しても良いんじゃない? こいつ絶対に私と子作りしようと企んでるよ。
 獣王はさんざんそういう事してきただろうに……


「老人の最後の花道をくれぬのか?」
「もう充分やったでしょ?」
「お主という存在を知らなんば……そうだったかもしれん。が、儂はこのナニが反応した女は全て抱いて来たんじゃ。だから最後に心残りなど出来ぬのよ」


 身勝手な事を私を抱きしめながら言う獣王。思いっきり息を吸い込んで私を堪能してる。背中に当たるゴツくて硬い物が更に膨らんだ気がする。いやいや、こんなデカブツ入る訳無いじゃん。そもそも体格差がありすぎるし……齢いと言っても獣王は二メートル超えの大きさしてる。そしてナニは五十センチくらいはある。そして大根の如き太さ……幾らなんでも壊れちゃうよ。


「触れてもよいぞ」
「は? 何いってんのへん――」
「ふふ、どうした? 儂のナニが気になるであろう」


 何か分からないが確かに獣王の言うとおりに、何か変な存在感を感じる。けどだからってこんなの触る訳……ばっちいし。けど何故か視線が向く。あれ? コレって男がおっぱいから目を離せなくなるアレ? うそ……そんな訳ない。


「怖がる事はない……儂のは数多の女性を喜ばせて来たモノじゃ。男の儂がお主の美しさに勝てぬように、お主もまた女である事実には勝てぬのよ」


 そう言って私の手を優しく取った獣王は背中に聳えるナニに向ける。いきなりギュムっとしやがる獣王。けど私の手は小さいから側面の一部くらいしか掴めない。けどそれでも熱くて硬いのはわかる。布越しでもなんて熱さ……


「とても早く心臓が動いておるぞ」


 私の膨らみかけの胸をもみながらそういう獣王。これは……不味い。私と獣王では経験の差が圧倒的に違う。この老いぼれ、流れを作ってる。このままじゃ、なし崩し的に押し倒されて……服も剥がされて……そして……そして……


「んっ……」


 拒絶しようにも、変な声しかでない。頭が熱く滾るナニと獣王の手の動きに集中してる。その手の一方が次第に下に降りてくる。私の大切な部分……攻める気だ。今触られたら……絶対に聞かれたくない声が出る。けど、それを獣王はわかってる。そんな反応を見たいんだ。今までは男どもなんて手玉に取るの簡単だと思ってた。けど何これ? 私……抵抗できないよ。


「子供だろうと儂は美しい物には全力を出す。そうじゃろう」
「そっ……んなの……んっ……あたり……あっ……まえ」


 私の太腿を弄ってその大きな指が隙間に滑り込んでくる。獣王の指の一つ一つに過剰に反応してる身体は小刻みに震えてる。


(駄目……ここで……散らすのは……なんの見返りもない!)


 私はがむしゃらに力を込める。するとボキっと何かが折れる感じがした。恐る恐る見てみると、獣王の何がボッキリといってた。そして白目向いて泡吹いてる獣王。


「儂……儂の……ナニ……」


 意味不明な戯言を言ってる。まさかここが獣王の最後になろうとは……私は着崩れしてた服を戻しながら、階下に目を向ける。シンデドゥル公爵さんの弁明虚しく、判決はお家取り潰しに晒し首。これはまあ決まってた事だ。けどごめん……獣王暗殺の犯人って事も追加しとくよ。どうせ罪被って死ぬんだし一緒だよね。マジ感謝の念にたえないよ。


 私は自分の頬を触って驚く。とても熱い。多分顔真っ赤なんだろう。獣王はやりすぎたけど、一つわかった事がある。それはやっぱり私も一人の女なんだって事だ。初めて私はそれを強く意識した。意識してしまったよ。やっぱり王を名乗るだけはあったね。くそみっともない死に方してるけど、アンタにはお似合いだよ。

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