美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
#36
再び一晩を経て、ようやくアドパンの街へと戻ってきた。なんかそれでも行きよりもかなり早く進んでたような? まあ私も早くうさぎっ子とお風呂入りたいし、良いんだけどね。街に入るのも私なら顔パス。そして戻った街の雰囲気がなんか違う事に気付いた。なんか騒々しい様な? アレかな? 行きの時に見た船。あれのせい? そのくらいしか思い当たる節がない。
なんだかどこもかしこもお祭り騒ぎみたいな? なにこの楽しそうなイベント。私だけ除け者にしようとしてたのかあの爺! 嫌がらせしてやろうか! そんな事を思ってると、馬車から降りて何やら門番の兵士と話してたうさぎっ子が戻ってきた。
「ラーゼ様こちらです」
「え? うさぎっ子?」
私の手を取り、引っ張り出すうさぎっ子。一体どうしたんだろうか? こんなうさぎっ子は初めてだ。でも……悪くない。強く引っ張られるのも悪くないよ。けど一つ気になる事が……
「なんだか屋敷の方角と違うと思うんだけど?」
そうなんだよね。そこまでこの街の事を知ってる訳じゃないけど、簡単に屋敷の方かそうじゃないかわかる方法がある。それは内壁に向かってるかどうか。だってまだ外壁の傍だよ。それなのにうさぎっ子が引っ張る方向は内壁に向かってる様にはみえない。寧ろなんか大きく回ってるような? 一体何処に向かってるのか?
「大丈夫ですラーゼ様。私を信じてください」
そういううさぎっ子。そう言われれば信じちゃうけど……なんか視線があるんだよね。まあ私は目立つし、それはしかたない。けど、その視線がいつもと違うような? なにか期待してるみたいな視線が……いつもなら私が見ると直ぐに視線を逸らす街の人々がこちらをマジマジと見てるってのがなんかおかしい。不穏な何かを感じる。
でもそれを意にも介さぬくらい、うさぎっ子は強く引っ張ってる。走った先に大きな建物が見える。あれは確か発着場。あれも重要施設だけど、流石にアレを内壁の中に作るとかは無理だから外壁側にある。けど確かVIP専用の通路が繋がってたような? 直通の奴。うさぎっ子の目的はあそこ? てかそろそろ息がヤバイんだけど……肺が痛い、肺が。
私普段から運動なんてしないからね。だってそれでも私の美は陰らないもん。それに私は一撃必殺。だから大体動かないで決めるスタイルだからね。こんな華奢な身体で防御と攻撃に極振りなんだからなんかおかしい。
デッカイ建物に入るとなにやら沢山の人で溢れてた。かなりの人数がこの建物に集まってる。そして私じゃなく、その全ての視線を誰かが集めてる。普通は私が集める視線。それを私よりも集めるだなんて許せない。一体何処の美少女……それか美少年?
「いたっ! うさぎっ子?」
うさぎっ子が握る腕に痛みが走った。そして見た横顔に私はゾッとした。それは狂気を感じる表情してた。違う……こんなうさぎっ子をみたかったわけじゃない。私は足取りを重くする。けど、うさぎっ子の方が力が強い。だから引っ張られるのを止める事はできない。私たちに気付いた人達はまるでモーゼの如く道を開けていく。そしてどこかで見たようなハムスターが大きく手を振ってると思ったら何処かを指差してる。
それに頷くうさぎっ子。更に足早になったうさぎっ子はその一団を見つけて、急いでゲートをくぐる。傍に白狼の森に行く途中で見た船がある。って事は帰り? てか何故にゲートの看守が何もしない? 普通そこは止める所でしょう。どう考えてもVIPがいるのにこんなあっさり……いや、あっさりどころか無視したよ。どんどん不味い感じが高まってる気がする。けどいかんせん私はうさぎっ子の手を振りほどく事ができない。
そしてついにはその一団が目と鼻の先に……何やら重装備な兵士に囲まれて、誰かがいる。跪いてる中にはこの街の中枢の奴等。その中にオラルドもいる。って事はあの誰かが超VIPか。そんな事を思ってるとうさぎっ子がその声を張り上げた。
「アンサンブルバルン様!!」
その必死な叫びに、その場の誰もがこちらを見る。重装備の兵士達は素早く武器を構えてた。オラルドはこっちを見て青い顔してる。この街の重鎮達もそれは同じ。そんな中、一人が静かに声をだした。
「何かな? 可愛く美しいお嬢さん方」
それは紫色の蛇だった。蛇と言っても頭がそうであるだけで身体は普通に人っぽくある。その細長い舌を素早く動かしながらも声を発してる。けどなんだろう? 声は穏やかなのに身体がピリピリする。これが蛇に睨まれた蛙って感じなのかもしれない。只者じゃない……ただなんとなくだけど私でもそれがわかった。
なんだかどこもかしこもお祭り騒ぎみたいな? なにこの楽しそうなイベント。私だけ除け者にしようとしてたのかあの爺! 嫌がらせしてやろうか! そんな事を思ってると、馬車から降りて何やら門番の兵士と話してたうさぎっ子が戻ってきた。
「ラーゼ様こちらです」
「え? うさぎっ子?」
私の手を取り、引っ張り出すうさぎっ子。一体どうしたんだろうか? こんなうさぎっ子は初めてだ。でも……悪くない。強く引っ張られるのも悪くないよ。けど一つ気になる事が……
「なんだか屋敷の方角と違うと思うんだけど?」
そうなんだよね。そこまでこの街の事を知ってる訳じゃないけど、簡単に屋敷の方かそうじゃないかわかる方法がある。それは内壁に向かってるかどうか。だってまだ外壁の傍だよ。それなのにうさぎっ子が引っ張る方向は内壁に向かってる様にはみえない。寧ろなんか大きく回ってるような? 一体何処に向かってるのか?
「大丈夫ですラーゼ様。私を信じてください」
そういううさぎっ子。そう言われれば信じちゃうけど……なんか視線があるんだよね。まあ私は目立つし、それはしかたない。けど、その視線がいつもと違うような? なにか期待してるみたいな視線が……いつもなら私が見ると直ぐに視線を逸らす街の人々がこちらをマジマジと見てるってのがなんかおかしい。不穏な何かを感じる。
でもそれを意にも介さぬくらい、うさぎっ子は強く引っ張ってる。走った先に大きな建物が見える。あれは確か発着場。あれも重要施設だけど、流石にアレを内壁の中に作るとかは無理だから外壁側にある。けど確かVIP専用の通路が繋がってたような? 直通の奴。うさぎっ子の目的はあそこ? てかそろそろ息がヤバイんだけど……肺が痛い、肺が。
私普段から運動なんてしないからね。だってそれでも私の美は陰らないもん。それに私は一撃必殺。だから大体動かないで決めるスタイルだからね。こんな華奢な身体で防御と攻撃に極振りなんだからなんかおかしい。
デッカイ建物に入るとなにやら沢山の人で溢れてた。かなりの人数がこの建物に集まってる。そして私じゃなく、その全ての視線を誰かが集めてる。普通は私が集める視線。それを私よりも集めるだなんて許せない。一体何処の美少女……それか美少年?
「いたっ! うさぎっ子?」
うさぎっ子が握る腕に痛みが走った。そして見た横顔に私はゾッとした。それは狂気を感じる表情してた。違う……こんなうさぎっ子をみたかったわけじゃない。私は足取りを重くする。けど、うさぎっ子の方が力が強い。だから引っ張られるのを止める事はできない。私たちに気付いた人達はまるでモーゼの如く道を開けていく。そしてどこかで見たようなハムスターが大きく手を振ってると思ったら何処かを指差してる。
それに頷くうさぎっ子。更に足早になったうさぎっ子はその一団を見つけて、急いでゲートをくぐる。傍に白狼の森に行く途中で見た船がある。って事は帰り? てか何故にゲートの看守が何もしない? 普通そこは止める所でしょう。どう考えてもVIPがいるのにこんなあっさり……いや、あっさりどころか無視したよ。どんどん不味い感じが高まってる気がする。けどいかんせん私はうさぎっ子の手を振りほどく事ができない。
そしてついにはその一団が目と鼻の先に……何やら重装備な兵士に囲まれて、誰かがいる。跪いてる中にはこの街の中枢の奴等。その中にオラルドもいる。って事はあの誰かが超VIPか。そんな事を思ってるとうさぎっ子がその声を張り上げた。
「アンサンブルバルン様!!」
その必死な叫びに、その場の誰もがこちらを見る。重装備の兵士達は素早く武器を構えてた。オラルドはこっちを見て青い顔してる。この街の重鎮達もそれは同じ。そんな中、一人が静かに声をだした。
「何かな? 可愛く美しいお嬢さん方」
それは紫色の蛇だった。蛇と言っても頭がそうであるだけで身体は普通に人っぽくある。その細長い舌を素早く動かしながらも声を発してる。けどなんだろう? 声は穏やかなのに身体がピリピリする。これが蛇に睨まれた蛙って感じなのかもしれない。只者じゃない……ただなんとなくだけど私でもそれがわかった。
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