美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

#25

(暗いなーどういう状況なのこれ?)


 真っ暗すぎて状況が全くわからない。取り敢えず久々に目覚めたらしいから身体が伸びを要求してる。欠伸もしたいし……と思って異変に気づく。


(あれ? 身体動かなくない?)


 いや、実際にはちょっと動く。それに回りからパリパリと音がしてる気がする。え? 閉じ込められてる? なんで? と思うがとりあえず脱出を図ってみる。貧弱な私が脱出できるかはわからないけど、なんだか行けそうな気がする。実際少しずつだけど、動ける範囲は広がってる気がする。ここで私は思いつく。


(そういえば狼がマナは意思を汲み取るみたいなこと言ってたな。細かな制御にはちゃんとした様式が居るのかもだけど、一応マナは私を守ってくれてたってことだよね。それなら体内でマナをもっともっと溜め込めば、超パワーが私にも使えるのでは?)


 早速実行。私は力を体中に張り巡らせる。いつもはここまで。けど今回は違うよ。もっともっと力を身体に溜め込む。


(おっ、おぉーーー、あっなんかヤバイかも)


 いくら身体がマナによって強化されてるとしてもやっぱり限界はあるよう。それはそうだよね。


(ってあれ? 力を逆に返すこと出来ないじゃん……)


 供給は止めてるけど、過剰に貰った力はどうやら返せないらしい。どどどどどどうすれば? 放出すれば良いんだけど、それしたら私はまた眠ることになる。やっとで目覚めたのにそれはヤダ。だからどうにかして負担なくこの力を使わないと! 


(どうする? どうする? うえ……)


 ヤバイなんか吐き気が胃よりももっと深い位置から上がってくる感覚が来る。不味くない? これ不味くない? 追いすがる者がいない圧倒的な美少女である私が吐くとかありえないから!! いや、実際私の吐いたものがどんなのかは興味あるけど……やっぱり美少女に相応しく臭くもグロくも無いかもしれない。実際、私の排泄物はおかしいんだよね。
 今まであえて言わなかったけど、無臭だし尿とか透明感しかなかったし、大きい方に関してはそもそも極端に排泄しない。どうなってるのかは自分でも分からない。けど美少女だしそんな物か……と考えてた。きっと私は色んな人達の理想の美少女として生まれたからそうなんだろう。美少女はおしっこも綺麗だし、大きい方も綺麗。どんな時でも良い匂いしかしない。キラキラでフワフワが詰まった存在……それが美少女と言う者。
 どこのアイドルだよ――ともおもうけど、それって完全に私なんだよね。美少女ラーゼにしてもいいね。


(うっぐぅぅぅぅぅぅぅ)


 必死に堪える。けど身体が耐えきれずに悶える。そのせいでピシピシという音はどんどんと広がってる様に思えたけど、ごめんそれどころじゃない。美少女が出しちゃいけない声が漏れでちゃううぅぅぅ。てかマジで何が出てくるの? 銃で撃ち出す様なビーム? 銃ってこんな苦しい思いしてたんだね。ありがとうの気持ちで一杯だよ。
 これからはそこら辺に投げ捨てないで手入れもしてあげよう。私の銃がどうなったのかはわからなけどね。あの爆発で粉々になってそうだけど……てかこれビームとか吐いちゃって言い訳? どこにも被害無い? 真っ暗だからなにもわからない。
 せり上がってくる何かを意思では飲み込んでやろうと必死なんだけど、勢いは衰えない。


(あーー! もう駄目ぇぇぇぇぇぇ!!)


 なるべく被害を出さないようにと上を向く、何かがパラパラと落ちてくるけど気にしない。自分の喉がありえないほど膨らんで、顎も外れたかも……そして私の口からは光り輝く丸い球体がゆっくりと出てきた……かと思うと、顔の前で静止してたそれは突如勢い良く上昇してく。その球体のお陰で私を縛ってた何かは一気に砕かれる。
 すると一気に暖かな日差しが綺羅びやかに舞い込んだ。どうやら私を包んでた物体に乱反射してるみたい。そして見える青空。さらに周囲には様々な動物が鎧に身を包つつみ、そいつらが私を取り囲んでる。獣僧兵団? でもその更に後ろには野次馬なのか沢山の二足歩行する獣の姿があった。一体何をそんなにまじまじと見てるのか……そう思って私は自身を見た。


 裸だった。しかもなんかふっくらと胸が膨らんでる。髪も目にかかってウザいかも……なるほど私の美少女っぶりにみんな驚いてるわけね。納得である。けどここは言うことある。だって裸見られたんだよ。私の裸はタダではないんだ。とりあえず顎は大丈夫そう。大きく息を吸い込んで元気に発声!


「全員後で料金請求するからね!!」


 すると兵団達の後ろの獣達が大災害も真っ青な勢いで逃げ出した。あれ? なにこれ? なんか……てか何かがおかしい。

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