美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
#18
雨が降りしきる中、私は崖の先から帰路についてる集団を確認してた。あれからしばらくしてスズリは情報を持ち帰ってきた。どうやったかというと、他の白狼を使ったらしい。最初は群れから外されてたベルグ達だけど成長して当時のボスを倒してボスになったんだとか。そこら辺はやっぱり実力主義のようだ。なのでベルグもスズリも群れの白狼達に自由に命令出来るとの事。
それならあのピンチの時に仲間を呼べは良かったのでは? とも思うが、あの時は近くに居なかったとの事。そもそもベルグとスズリは二人一組で自由にやってる事の方が多いから、普段は仲間を率いてはいないらしい。必要な時に使う、便利な道具程度でしか他の白狼達はないみたい。まあ大切なもの以外なんてそんなものだよね。
「さてと、向こうは準備できたかな?」
合図はまだない。あの動物が鎧着込んで二足歩行してるような連中はこの雨の中行軍して結構疲れてるみたい。スズリの話によるとこの雨で普段使われてる道で土砂崩れが起きて通れなくなってたらしい。だから彼等は普通よりも遠回りをしてる。てかまだこんな所歩いてるのはそれが原因か。私が振らせた雨が思わぬ副次的効果を生み出してる。
「それにしても……ぷぷ」
あのベルグが丸太に逆さ縛りされてるのは笑える。あの巨体を持っていこうとする気概は買うけど、流石にこの雨じゃ難しくないかな? それだけ、ベルグを捕らえたと言うことは大きいのかもしれない。まあ生け捕りしてくれたお陰で、スズリは死なずに済んだんだし、こうやって奴等も見つけれた。完璧に判断ミスしてるね。欲を出さずにその場で首だけにしとけば完全勝利してたのに……これからの状況はその欲のせいだと思ってもらおう。
雨の中、狼の遠吠えが聞こえた。それが合図。私は銃を構える。狙うのは奴等の側面の傾斜。土がむき出して絶壁になってる部分。
「せいぜい死なないように頑張ってね」
そう言いながら引き金を引く。魔法陣が展開して桜色の光が放たれる。それはベルグを運んでる奴等の上方の絶壁を撃ち抜き、破壊した。
「「「うあああああああああああああ!!??」」」
突如壁が爆散して岩や土が降り注いで来たことで獣兵士達が阿鼻叫喚の嵐となってる。熊がなにやら叫んでるが、ここまでは聞こえない。私は途切れ行く意識の中で白狼達が降り注ぐ土砂を掻い潜ってベルグを回収するのを観た。
(これで貸し二つね)
そんな思いと同時に意識が途切れた。
見えてきた我らが獣人の都『アドパン』……ようやく、帰ってこれた事に皆が安堵の表情をする。雨の中でも浮かび上がる程の光量を称えるその姿は繁栄の証。我等の誇り。だが状況は最悪である。戻ってこれたのは半数にも満たぬ数。ここまで戻れた者も怪我を負ってない奴はいない。こんな屈辱的な敗北はいつ以来か……我等の惨状に、出迎えてくれた同士が驚いてる。そして直ぐ様救護の者を呼んで来る為に中へと走っていく。
私の元にも一人の若い兵がやってくる。
「ベア様もお怪我を!」
「よい、それよりも大隊長殿へ話をしたい!」
そう告げてボロボロの仲間を任せて中へ。これは由々しき事態だ。奴等を捨て置く事はもう出来ない。進言しよう。奴等白狼と白狼姫の殲滅を!!
それならあのピンチの時に仲間を呼べは良かったのでは? とも思うが、あの時は近くに居なかったとの事。そもそもベルグとスズリは二人一組で自由にやってる事の方が多いから、普段は仲間を率いてはいないらしい。必要な時に使う、便利な道具程度でしか他の白狼達はないみたい。まあ大切なもの以外なんてそんなものだよね。
「さてと、向こうは準備できたかな?」
合図はまだない。あの動物が鎧着込んで二足歩行してるような連中はこの雨の中行軍して結構疲れてるみたい。スズリの話によるとこの雨で普段使われてる道で土砂崩れが起きて通れなくなってたらしい。だから彼等は普通よりも遠回りをしてる。てかまだこんな所歩いてるのはそれが原因か。私が振らせた雨が思わぬ副次的効果を生み出してる。
「それにしても……ぷぷ」
あのベルグが丸太に逆さ縛りされてるのは笑える。あの巨体を持っていこうとする気概は買うけど、流石にこの雨じゃ難しくないかな? それだけ、ベルグを捕らえたと言うことは大きいのかもしれない。まあ生け捕りしてくれたお陰で、スズリは死なずに済んだんだし、こうやって奴等も見つけれた。完璧に判断ミスしてるね。欲を出さずにその場で首だけにしとけば完全勝利してたのに……これからの状況はその欲のせいだと思ってもらおう。
雨の中、狼の遠吠えが聞こえた。それが合図。私は銃を構える。狙うのは奴等の側面の傾斜。土がむき出して絶壁になってる部分。
「せいぜい死なないように頑張ってね」
そう言いながら引き金を引く。魔法陣が展開して桜色の光が放たれる。それはベルグを運んでる奴等の上方の絶壁を撃ち抜き、破壊した。
「「「うあああああああああああああ!!??」」」
突如壁が爆散して岩や土が降り注いで来たことで獣兵士達が阿鼻叫喚の嵐となってる。熊がなにやら叫んでるが、ここまでは聞こえない。私は途切れ行く意識の中で白狼達が降り注ぐ土砂を掻い潜ってベルグを回収するのを観た。
(これで貸し二つね)
そんな思いと同時に意識が途切れた。
見えてきた我らが獣人の都『アドパン』……ようやく、帰ってこれた事に皆が安堵の表情をする。雨の中でも浮かび上がる程の光量を称えるその姿は繁栄の証。我等の誇り。だが状況は最悪である。戻ってこれたのは半数にも満たぬ数。ここまで戻れた者も怪我を負ってない奴はいない。こんな屈辱的な敗北はいつ以来か……我等の惨状に、出迎えてくれた同士が驚いてる。そして直ぐ様救護の者を呼んで来る為に中へと走っていく。
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「よい、それよりも大隊長殿へ話をしたい!」
そう告げてボロボロの仲間を任せて中へ。これは由々しき事態だ。奴等を捨て置く事はもう出来ない。進言しよう。奴等白狼と白狼姫の殲滅を!!
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