犯人→二つ嘘をついた者 犯人→カニバリスト

生明死暗

エピローグ

なぜだろう。
なぜ僕は生き残ってしまったんだろう。
どんな運命か知らないが、僕は生き残った。でも、彼女は死んだ。


目覚めたとき、病院のベッドの上だった。泣いている両親がそばにいた。
警察が病室に来て、僕はこの一連の出来事を洗いざらい話した。後に、この事件はテレビや新聞を騒がせた。
僕が完治すると裁判が行われ、有罪になり、それから少年院に入れられた。どんな理由であれ、人を殺したのだから当然だ。


それからは灰色の日々を過ごした。少年院にいるやつらはどいつもこいつもろくなやつじゃなくて、たまに来る面会者だけが、唯一僕に人間との交流を感じさせた。
面会に来るのは両親が多かったが、今日は珍しい人物が来た。


「なんだ、どうしたんだ、田中」


ガラス窓の向こうにいる田中に声をかける。


「実はね、私、なんとなく気づいていたの、美花ちゃんが鳥木くんを殺したことに」
「……そうか」
「わかっていて、私は美花ちゃんを疑うあんたから、彼女をかばおうとした」
「……なんで、そんなことをした?」
「友達だからよ、友達、だから……」


彼女は涙をポロポロと落とした。


「だから、あんたに謝ろうと思って、知ってて彼女をかばったことを……」
「いや、いいよ、僕ももし貴理人が誰かを殺したら、たぶんあいつのことをかばってたと思う。だから、謝らなくていい」
「……ありがとう。でも、あんたのことは、許せないわ。絶対、許せない」


キッと睨まれる。でも、その目にこもった力は弱々しかった。


「だろうね。いいよ、別に許せなくて」
「……そういうところが、ムカツクのよ」


彼女は立ち上がる。


「もう、あんたには、一生会わないわ」


彼女はそう言って去っていった。
それから数時間後、今日はもう一人面会者がきた。


「志方、くん……ふえ、ぐす……」


小山さんだった。彼女はぼくに会うやいなや、泣き出した。


「なんで泣くんだよ……」
「だって、だって、うう、志方君のことが、好き、だから……」
「……僕、人殺しだよ?」
「それでも、好きなの。好き、だから、志方君がここから出るまで、待ってるから、だから、うう、私と付き合って、ください……」
「……はは、ははははは、バカだな、君は」


僕は笑った。単純に愉快だったから。


「……うん、そうだね、君がもし、僕がここから出たときも気持ちに変わりがなかったら、付き合おう。むしろ、僕からお願いするよ」


彼女はそれを聞いて、さらに大声を出して泣いた。
悲しくて泣いているんだろうか。それとも嬉しくて泣いているんだろうか。


どちらでもいいか。
ぼくは、あのとき、死のうと思ってたんだけどな……。
でも、今は、生きていこうと、そう思った。

「犯人→二つ嘘をついた者 犯人→カニバリスト」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「推理」の人気作品

コメント

コメントを書く