ミッション;神の打倒

桜餅師匠

3、泊まるまで

ゲームマスターからメッセージを受信。


for:カミナ
コンフランテーション・オブ・ジャスティスへようこそ、カミナくん?いや、森崎瀬戸と呼んでおこう。本名を忘れてもらっちゃ困るからね。
    君は色々質問したいかもしれない。一つ一つ答えよう。
    まず、ここは君の元いた世界じゃない。帰る事も出来ない。なので精々ここ異世界を楽しんでおくれ。
    二つ目に、この異世界をゲームみたいに楽しんでもらうために、君にHP体力MP魔力を付けた。これは職業ボーナスなんだけど。
    そしてレベルが出ているという事は、上がる事もある。あとは自分で調べてくれ。
    そして三つ目、プレイヤーは君以外居ない。だからこの世界の住人には二つ目の機能の秘密は命を使ってでも守ってほしい。
    じゃあね。あっ最後に、このゲーム君の半生を楽しんでね!帰る方法も、なくはないよ。
from七星遊星


    移動中、メールを受信したという大きなウィンドウが視界一面に出て来たと思ったら、メールが開封された。


(何だこれ、悪質なメールだな。ゲームマスターは七星遊星ななほしゆうせいっていうのか。全く......すっげークソゲー作ってくれたなぁ....もう帰れないだと?!嘘だろう?!)


    立ち止まって見ていると、オーランが振り返って話し掛けてくる。


「どうした、カミさん?急に立ち止まって焦った顔をして....なんかあったか?」


    真剣にな顔をして少しひげのある顔が真剣な表情になる。瀬戸は伸び始めた影を見る。


「いや、なんでもないよ。ささっ、リョートー都へ急ごう。そろそろ真昼も過ぎそうになってる。」

「よく昼過ぎって分かったなぁ。流石カミさん。じゃ行くか!」


 瀬戸とオーランが歩き出す。リョートー都の20mほどの外壁が見え出し、ミニマップには建物を表す点が所狭しとある。
    そして自分の隣に小さく点.....これはオーランだ。拡大すると、名前が出て来た。どうやら関わりのある人とはポイントが出るらしい。


「そういや、オーランは上の名前はないのか?」

「う、上の名前?」

「あぁ、苗字だよ。」

「苗字なんてねぇよ、あるのは大商人や修道士か貴族、王族とかの言うなれば“偉い人”だな。」

「ふーん....色々あるんだなぁ...あっリョートー都に王族はいるんだよな?」

「おう、王族はいるぞ。ちなみに苗字はエリスラーだ。王様の名前はロンド・エリスラーだ。ちょっと幼い女王様はラルラルク・エリスラー。御転婆おてんばな事で結構有名だな」


(なんか江戸時代みたいな設定だな。そうでもないか?)


 江戸幕府では、偉い者は苗字がある。武士や将軍、大商人などに苗字が付けられた。


「ラルラルクって言いにくい名前だなぁ、お父さんに何て呼ばれているんだろう?」

「さぁなー。なんだ、ラルラルク様に興味があんのか?」

「興味じゃなくて....純粋に好奇心で聞いたんだ。あっそれは興味ある事になるのか?」

「.......さぁ知らない。カミさん自身の話だしなぁ.....」


 二人は外壁に着く。すると、あからさまに王国の兵士らしき警備兵が居る。


「おい、身分証明をしろ。職業はなんだ。」

「俺は商人だ。ダステル商館に聞けば、分かると思うぜ....」

「っ!ダ、ダステル商館......分かった。で、そこのお前は?」


   兵士が動揺の色を見せ、すぐに瀬戸へ話を向ける。


「えっ、ええと.....」

「コイツは俺の連れだ。だから商館に連れていく。」

「........」


 兵士は瀬戸に疑う目を向けて考えたのち、許可することを選ぶ。


「分かった。じゃあここを通そう。ようこそリョートー都へ!」


 兵士は明るい声でそう言う。この国の国民性を瀬戸は垣間見た。どうやらウェルカムらしい。


「っし、じゃあ行くかカミさん。」

「あっ、う、うん。」


 オーランに手を引かれて焦ってついて行く。そこで、瀬戸は質問をする。


「ねぇ、自分を証明する紙ってここで作れるのか?」

「ここって....リョートー都でっていうことか?」

「うん、そうそう、逃げる時に落としてしまってね....」

「まぁ、丁度いい。俺も証明書無くなったし、あそこのギルド施設に行くか〜.....」

「おぉー、ギルドなんて有ったのか!なかなかRPっぽいぞ!これ!」


 進路を変えて少し大きめ建物へ入る。


「ここでは、冒険者や傭兵への依頼の受注や達成した時の報酬を受け取る事が出来るんだ。だが当然、受注するときも金は掛かる。そして受注に必要なものはもう一つ。その証明書。」

「なるほどなぁ。って今更だけど文字も話す言語も日本語なんだな。正直驚いた。」

「は?日本語?違う違う、これはチョウテイ語。」


(ちょ、朝廷チョウテイ?日本語みたいなもんだろう!?)


 あまりに日本語を否定出来ずにチョウテイ語を飲み込めない瀬戸だった.......




「はい、証明書の作成ですね。ではこの紙に自身の名前と年齢、そして職業と経歴を書いて下さい。」

「分かりました。」


(おぅふ......経歴か...経歴ねぇ....うん...ってかこれもしアサシン暗殺者選んでたらどうなってたんだろう?裏のギルドに強制連行とか?裏のゲームに裏のギルド......結局表じゃねぇかはっはっはっは...笑えない...)


 羽のペンを取りインクに浸し、名前、職業、年齢、経歴を書く。


「はい。これで手続きは終了です。お疲れ様でした。」

「おう。」

「ありがとうございました。」


 瀬戸が深くお辞儀をすると、受け付けの嬢とオーランに奇怪な目で見られる。


(な、なんかまずかったかな?)




 ギルド施設を出た二人は、


「じゃ、宿を取ろう。2泊くらいは俺のおごりで良い、食事もな!」

「いっ、いいのか!あぁ、ありがとう!いつかきっと返すよ!」

「あぁそれはいいんだよ。ところでカミさんよ、その“ありがとう”、辞めといた方が良いんだぞ。」

「えっどうして。何も悪いことないと思うんだけどなぁ。」

「いや、悪い事はないが、ここでは少し過激なんだ。命を助けてもらうとかそういうレベルで使う言葉なんだよ。だから受付にいちいちお辞儀する必要はないんだ。人によっちゃあ軟派者というレッテルを勝手に貼りやがるよ....」


 「そ、そうか、わかった。次からは少し気をつける。」


 瀬戸はおかしい所を指摘されて少し焦る。全力で問い詰められればバレてしまうのではないのか、そんな心配が瀬戸の頭によぎる。


「さぁ、着いたぞ、宿だ。」


 着いたのは既に日が朱色に染まる頃。オーランは宿の扉を開け、大きい声で丸々太った貫禄かんろくのある女性に挨拶をする。


「ただいま女将さん!この人二泊さてくれ!」

「おや、おかえり。素泊まりかい?食事は?」

「食事は付けてくれ。代は明日払う。カミさんは、女将さんに部屋の鍵を貰ってくれ。俺は自室、207に行く。用があったらいつでも呼んでくれ。」

「うん、分かったよ。」

「はいよ、これが部屋の鍵だよ、部屋は二階だけど、食事は一階、ここで食べておくれよ。そしてトイレはあんたの部屋を出てすぐ右よ。」

「分かりました。ありがとうございます!」

「あらあら。」



 瀬戸はまた、深々とお辞儀する。


「またやってしまった.....」


オーランは部屋へ上がる階段で、そう呟いた。

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コメント

  • 小説書いてみたいけど内容が浮かばない人

    ありがとうと言えるのは日本人としてはいい事ですよね!性格はひねくれてないのか(ボソッ)

    0
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