異世界転生した貴族は自重を忘れたようです

夜叉神

第2話 初代国王の遺産

手紙を受け取ってから三日後、アレスは父とともに王城に来ていた。

「ようこそお越しくださいました」

「こんにちはセバスさん。陛下にお話したいのですが」

「はい。お話は伺っております。こちらです」

アレスとルークはセバスの案内について行く。

「陛下。アレス様とルーク様をご案内しました。」

「入ってくれ」

「失礼します」

「よく来たなアレス。ルークから話を聞いておる。内容を話してくれるそうだな」

「はい。かなり大事なことなのでナルサス様にも聞いていただきたいのです」

「もちろんだよ。陛下には聞いていたからね。」

「それでは話してくれ」

「はい」

それからアレスは手紙の内容を話した。

「そんなことが。それで、お主はどうするんじゃ?」

「僕は戦います。それが僕の使命でもあるので」

「アレス、無視はしなくていいんだぞ」

「いいえ、父上。これは僕のためでもあるんです。僕はこの世界が好きです。だから、魔神にめちゃくちゃにされるなんて許せない。だから、僕が倒します。」

「そうか、」

「では、扉を開けるんじゃな?」

「はい。案内して頂けませんでしょうか」

「もちろんじゃ。あそこは国王が認めた者しか入れなくなっている。案内しよう」

「ありがとうございます」

「セバス準備をせよ。」

「はい。」

セバスさんが部屋を出てしばらくすると戻ってきた。

「陛下、準備が整いました。」

「うむ。それでは行こうか」

そして、陛下とセバスさんに案内されたのは庭だった。

「ここなんですか?」

「いや、違う。あそこの地下じゃ」

陛下がさしたのは城の後ろにある小さな塔だった。

「こっちじゃ」

そして、陛下は塔の中に入っていく。
それに続いてセバスさん、僕、ナルサスさん、父上が入っていく。
中は天井までが吹き抜けとなっていて、小さな窓から太陽の光が入ってくる。
そして、真ん中には地下に続く螺旋階段があった。5人はそこを降りていく。

「ここは、王子が国王を継ぐとき必ず先代の国王に案内される場所じゃ。そして、地下にある扉の前で受け継がれた言葉を聞く。それを代々おこなってきたのじゃ。そして、それは今日で終わるじゃろう」

「そうだったんですか。」

「セバスは代々この国の王に使えてきた執事の家柄じゃ。だから、ここのことも知っておる。」

「だから、準備などを任せておられたのですね」

「うむ。ついたぞ。」

気がつくとアレスたちの前には薄暗い空間にたった一つの部屋への入口があった。

「さあ、鍵を開けてくれ。」

アレスは無限収納から鍵を取り出す。
すると、扉と鍵が淡く光だした。
そのまま、鍵穴に差し込む。
そして、鍵を右に回し解錠した。

「それでは行きます。」

「うむ。」

そして、アレスは扉を開けた。
淡い光がアレスたちに当たる。

そして、アレスの目に映ったのは、まるで美術館のように一つ一つケースに入れられた武器、装備や石、金属などだった。

「これは……」

「すごいな……」

「地下にこんな空間が広がっているとは……」

陛下やルーク達は入口で止まっている。
アレスは周りにある物に目をやりながらゆっくりと奥に進んでいく。
1番奥まで来るとそこには1つの机があり、その上には1冊の本とひと振りの美しい刀があった。
アレスは本を手に取ってみる。
すると、本がひかり、アレスの体の中に入っていった。
アレスは急に視界が真っ白になる。

視界が戻った時、アレスは全く別の空間にいた。

「これはいったい……」

「やあ、来たみたいだな」

声がした方を見ると1人の男がいた。

「あなたは?」

「そうだな。俺はベルマーレ王国初代国王如月結城だ。まあ、残留思念ってやつだが」

「初代国王?!なるほど。残留思念とは一体……」

「お前、鍵を開けてその奥にあった本を手に取ったらこうなったろ?」

「そうですね。手紙も読みました。」

「お前、名前は?」

「アレス・フォン・ペンドラゴンです。」

「違う違う。それは今のだろ?前世のだよ」

「前世のですか?真壁悠斗です」

「真壁……真壁悠斗、お前善左衛門という名を知ってるか?」

「善左衛門……」

なんか聞いたことがあるような……

「そうだ!思い出した!その名前は義父のお父さんだって、言ってました。」

「義父?」

「はい。本当の両親は小さい頃に死んでて、真壁家に引き取られて養子になったんです」

「そうだっのか。じゃあお前の義祖父になるんだな」

「そうなりますね。まあ、その人は義父が生まれてすぐに死んでしまったと聞いてます。だから、名前しか知りませんが」

「なるほど。じゃあ、神明流は使えるのか?」

「もちろんです。自慢じゃないですが、歴代最強と言われてましたから」

「それはすごいな。俺達はは善左衛門さんと一緒にこの世界に来たんだ。」

「そうなのですか?じゃあ、死んだというのは」

「いや、死んだのは確かだ。死んだ後、魂が召喚されてゼノム様達が体を再構築して、この世界に来たんだ。」

「そうなんですか。僕は幼馴染を助けて死にました。そういえば元気にしてるかなぁ」

「ははは。好きだったのか?」

「うーん。そういう訳では無いんですが、大切な人をもう失いたくなかったんです」

「…………そうか。すごいなお前は、大切な人を助けて死んだんだな」

「結局死んじゃってますけどね僕。」

「それでも守ったんだろ?」

「ええ、守りました」

「じゃあいいじゃねえか」

「ありがとうございます。それよりここのことを聞きたいのですが」

「おっとそうだったな。あんま時間はねえんだ。てきぱき行くぞ。まずここはお前の精神世界だ。」

「精神世界……」

「そう。そして、俺は思考の1部を本に閉じ込めて置いた。あの本は心庫の本と言ってな。手に取ったものの中に入ってそこに武器や装備とか道具をしまって置けるんだ。」

「うーん。僕の無限収納みたいな感じですか?」

「そんな感じだが、スケールが違う。本を持つまでにいろんなものがあったろ?」

「はい。本の隣にもありましたし」

「それは俺が作った物なんだ。確かに無限収納でもしまうことは出来るが、無限収納に入れると道具の力に耐えられなくなってお前の体が崩壊する。」

「なっ!そんなにあの武器は力が強いんですか?」

「ああ、だから、ガラスのケースに入れられただろ?あれは封魔のガラスっていう特別なガラスで出来てるんだ」

「なるほど」

「無限収納には無限とはあるがそれは入るものとしての限界がないってことなんだ。けど、あの力を入れておけるほど肉体は強くないんだ。だから、俺は心にしまうことが出来るようにした。」

「こころ?」

「そうだ。肉体は形があって物質だ。けど、心は形もなく、非物質だ。だから、その者の器が大きければ大きいほどたくさん入り、力も入れておける。そして、お絵の心はでかく広く、深く、そして、綺麗だ」

「…………」

「だから、恐らく無限に入る。ついでに俺もあれを使ったがあそこにあるものの半分しか入らなかった。いや、4分の1だな。半分はまだ、無限収納に入れることが出来る。」

「ユウキさんでも半分……」

「大丈夫だ。それと本の隣に刀あったろ?」

「あれは俺が使っていたものだ。使ってやってくれ。ついでにあれも無限収納には入らんからな」

「わかりました。思う存分振るいましょう」

「それと、エスカナーヴァの封印場所は世界に散らばっている。いつ目覚めるか分からないからな」

「詳しい場所は?」

「様々だ。ダンジョンだったり、火山の奥深くだったりだ。封印は封印石というゼノム様たちが作った封印物だ。八面体の黒く濁ったクリスタルだ。」

「わかりました。」

「もうそろそろみたいだな。」

よく見るとユウキさんの体はところどころ白い光の粒になって消えかけている。

「それは……」

「思念は開けられたからこの時間ぐらいだな。元の世界は時が止まってるから特に何事もなく動き出す。」

「わかりました」

ユウキさんの体はもう半分以上消えている。

「頼んだぞ、俺や善左衛門さんが出来なかったことをお前……が、……や……るん……だ…………」

そして、ユウキさんは消えていった。

「仕方ないですね。やってやりますよ。受け継いでやりましょう」

アレスはもう一度決意を固めると視界が光に包まれた。

視界が戻ると、本を取り込んだ状態のままだった。

その隣には刀がある。
それを心に仕舞おうとすると、自然とやり方がわかった。

心庫の武器庫ウェポンオブハート 入庫」

すると、光の粒子となってアレスの体に入っていった。
そして、出そうとすると、また、やり方が自然にわかる。

「心庫の扉 出庫」

すると、胸の前に白い光のうずができて、そこから刀が出てきた。それを掴み引き出す。刀は元のまま出てきた。

「なるほど、あとはしまうだけだな。」

もう一度刀をしまい奥にあるものから順にしまっていく。

「アレス。何をしてるだ?」

「しまってるんですよ。これらは初代から貰ったものですから」

「そうなのか」

「ええ」

「よいよい、持っていけ、どうせ初代様と会ったんじゃろ?」

「え!どういうことですか?!」

「よく分かりましたね、陛下。あのあと奥まで行くと本がありました。その本に触れると精神世界というところにいました。そこで本から入ってきた初代様の残留思念が入ってきました。そして、そこで少し話したあと、戻ってきたんです。」

「そ、そんなことが…………」

「それで、ここのものを貰っていいって言われたんです」

「そうか。ならば良い」

「ありがとうございます」

全てしまい終わると、体が一気に重くなった。

「くっ!」

「ん?どうしたアレス。」

「い、いえ、なんでもありません。すこし、疲れているみたいなので帰ってもよろしいですか?」

「そうか、そういえば魔の森の魔物を売りたいと聞いたが」

「はい。ギルドではまだ売れないのであっても邪魔なんです」

「それなら、騎士団に売ってもらいたい。金は国からだそう。」

「本当ですか?!ありがとうございます」

「今日は疲れているだろう。また、明日来るが良い」

「陛下、明日は披露宴です」

「そうじゃったの。じゃあ、明後日来てくれるか?」

「わかりました」

「じゃあ、戻ろうか」

アレスは塔からでて、城の門へ向かう。

「今日はありがとうございました。」

「うむ。また明日な」

「失礼します」

「アレス。今日はまだ私は仕事があるから先に帰っていてくれ。」

「わかりました。」

アレスはルークを置いて、馬車に乗る。

「はぁ、はぁ、はぁ、」

アレスは馬車に乗ると汗を吹き出して、息切れを起こす。

「これは、1度戻らないと行けないかもしれないな。だけど、もうちょっとだけ耐えてくれよ。僕の体……」

それからしばらくしてアレスが乗った馬車は屋敷についた。

「アレス様着きました。」

「ありがとう。」

アレスは馬車から降りると門の前にはシスティがいた。

「おかえりなさいませ。アレス様。」

「ただいま」

「大丈夫ですか?何やら体調が悪そうですが」

「大丈夫。ちょっと疲れてるだけだから。今日はもう休むから入ってこないでくれ」


「あ、アレス様……」

アレスはシスティを避け自分の部屋に入った。

「アレス様……」




「ハァハァハァハァ」

アレスは部屋に入りベットに倒れ込む。

「そろそろ大丈夫かな…………スキル 解除」

アレスは煙と共に消えた。





次回は本体が出てきます。また、分身に戻るけど。
心庫の武器庫をウェポンオブハートとするのは無理があるでしょうか。ご意見お願いします

「異世界転生した貴族は自重を忘れたようです」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー216278

    使命から逃げるなっていう父上草

    2
  • 垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)

    全然ウェポンオブハートでも大丈夫ですよ!続きが気になるのでこれからもファイトです!

    1
  • パパ6年生

    誤字報告 残留思念との会話の中に『お絵の心』とありますが、『お前の心』ではないですか?

    3
  • 白夜

    分身では、耐えきれなかったんですねだから一回本体と合体したと言うことですか。
    次回気になるな〜
    頑張って下さい

    4
コメントを書く