間違いで始まる物語

seabolt

第40話 「屋上で・・・」

メール・・・か・・・


着信音を聞いた山本・・・


まさか・・・久保くんじゃ・・・


あ~・・・この場で叫びたい・・・


久保君だったらどうしよう・・・


見たくない・・・そう思いながら携帯を見た


しかし、彼女の予想通りメールの送信者は恭介だった。


どうしよう・・・


メールのことが気になる山本


しばらく悩んだが・・


とうとうメールを見てしまった。






そこにはシンプルな文章があった。






「17時に屋上へ来てください」






どういう意味?


だって・・・るみちゃんと・・・


ひょっとして、報告?・・・そうだったら・・・


行く?


行かない?


山本は、悩んだ。




そして




ええい!!・・・


結局、山本は屋上に向かった。












屋上に上がるとそこには恭介が山本の方に向いて立っていた。


うわ~こっち向いてるし~・・・山本は思いながら


「久保君?何のよう?」


山本をじっと見つめる恭介・・・・そして優しい言葉で彼女の名前を呼んだ


「はるかさん・・・」


その声に身構える山本・・・


一体何なのよ~そう思いつつも平静を装うとする山本


「だから~話って何?」


「はるかさん・・・」


そう声をかけ近づく恭介・・・


近づく恭介に見とれる山本・・・・


うそ・・・近づいてくる・・・・胸の高鳴りがとまらない・・・・


どうしよう・・・


う・・・動けない・・・


こっちこないで・・・


山本はなんとか声を出した。


「だ・・・だから、何よ」


恭介は、そっと抱きしめた。


う~わ~!!どうしよう・・・・


そうパニックになっていると耳元で恭介がささやいた。


「好きです。」


「えっ・・」


胸の鼓動は全開・・・もう何も考えることが出来ない山本


動くことすら出来なかった・・・


そして


抱きしめられた感触に思わず目をつぶってしまった。


しかし


両手を添えようとした時だった。


頭にあのシーンが・・・よみがえってきた・・・


そう・・・野村と恭介のキスシーンが・・・






「いや・・」






かすかな声を上げた。


えっ・・い・・いや?・・その声に恭介の腕の力が抜けた


その隙にすぐに恭介の腕の中から離れた山本・・・


そして、


山本は、目に涙を浮かべ恭介をにらんで言った。




「どうして・・今頃・・・そんなことを言うの?」


「そ・・・それは・・・」


恭介の言葉をさえぎって山本は叫んだ


「るみちゃんとキスしたくせに!!」


「何を言っているんだ。俺は・・」


「私見たんだから、あの日・・・私、気付いてたんだから!!」


恭介は、山本が言うことが理解できなかった。


「誤解だ!!俺は野村さんとキスなんかしていない。」


恭介は、聞こうとしない山本の両肩に手をあて目を見て


「信じてくれ・・・俺を」


何も言わず


うつむく山本・・・


キスしていたくせに・・・


キスしていたくせに・・・


キスしていたくせに・・・


しばらくして


山本が




「でも・・でも・・・」


「本当に信じてくれ。野村さんとは何もなかったんだから・・」


「でも・・・ごめんなさい。」


恭介の両腕を振り払い山本は、走り去って行った。


恭介は、ただ彼女を見送るので精一杯だった。








気付いた山本は、いつもの自販機前にいた。


初めて恭介に会ったのもここだった。


それを思出し懐かしく感じた。


何でこうなったんだろう・・・


ふと気が抜けたのか、目から涙がこぼれた・・・・










「はるかさん」


そこへ横から声がして慌てて涙を拭き振り向く山本


そこには


野村が立っていた。


「なに?るみちゃん・・・」


「えっと・・・」


そう言って大きく深呼吸をする野村


「なによ・・」


「久保くんのことなんだけど・・・・もう返さなくていいわよ」


「はっ?るみちゃん何言ってるの?」


「だって、元々、私のものじゃないし」


「えっ?好きだったんじゃなかったの?」


「ただ少し気になってただけなの」


「私、見たのよ、あなた達がキスしているところ・・」


山本は思わず本音を漏らした


「えっ!?キス?私と久保君が?・・・まさか・・・」


山本の言葉に驚く野村、その表情を見て、山本は、


「じゃぁ・・・・私が見たのは?」


「さぁ~?それにあの時、振られたの・・・わたしが・・・」


不思議そうにいう野村の姿を見て・・・


えっ・・・じゃぁ・・・私が見たのは・・・?


そして、、どう答えたらいいかわからなかった。


その顔を見て野村が山本の方を叩いた。


「なにボーっとしてるの、早く行きなさいよ!!」


「えっ?」


「まだ待ってるかも。」


「だれが?」


「だれがって・・わかってるでしょ?」


それまで暗かった山本の顔が明るくなり、その場から走り出した。


野村は、その場でため息をつき、これでいいのよ・・とつぶやいた。








屋上で恭介は、夕日を見て立ち尽くしていた。


やっぱり駄目だったか・・


胸が痛む・・・


どうしようか・・・


これから・・・


少しため息をつく、


そこへ後ろから足音が近づいた。


振り向くとそこには、山本がいた。


立ち止まる彼女・・・


それを見た恭介は、なぜか夕日の方を向いてしまった。


恭介の後姿を見る山本・・・


山本は、思わず後ろから恭介に抱きついた。


「ごめんなさい・・・」


「・・・」


「ごめんなさい・・・もう信じないなんていわない。」


その言葉に驚く恭介・・・・えっ・・・


そして、恭介の背中から山本のかすかな声が聞こえた・


「好き・・・で・・・す」


恭介は、思わず山本の手をはずし振り返った。


「今なんて・・」


恭介を見上げる山本、


「好きです。あなたを・・・」


しばらく見つめ合う二人、


そして


二人はキスをした。










数日後・・・


「あの・・・」


自販機に向かって、飲み物を選んでいる女性に


後ろから声をかける恭介・・・


そして


「あの・・・今晩・・お食事でも・・・」


言おうとした時だった彼女が振り返り言った。


「君、今なんていったの?」


「だから・・・今晩どこに行く?」


「いいわよ、ところで、お願い事あるんだけど、聞いてくれる?」


「いいよ・・」


少し変な顔をする恭介


「大丈夫よ、そんな無茶は言わないわ。」


「ひょっとして、・・・」


「そう、合コンで一人また足りないの・・・」


「えっ~うそだろ~」


驚きの声を上げる恭介、その顔を見た山本はにっこりと笑い


「うそよ。」


自販機の前で二人の笑い声がこだました。





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