間違いで始まる物語

seabolt

第36話 「勘違い」

階段を駆け上がる恭介・・・


追い出された部屋の前まで来てドアを開けた。


「はるかさん!」


しかし


そこには彼女の姿はなかった。


恭介は山本のいる部署へ行った。


「おっ? 山本は、早退したよ。ちょっと休養があるって・・」


「そうですか・・・」








ベットの上でひとり両足を抱え、座っている山本


いいのよ。これで・・と一人無理やり納得しようとするが


楽しい時が思い出され、涙が出てくる。


何度納得しても


襲い掛かってくる悲しみ・・


やがて


抑え切れない涙に、両腕に顔をうずめた。








翌日


恭介を待っていたのは、西村だった。


「ちょっといいか。」


屋上へつれてこらえれた


「すまん。」


これが西村の一言目だった


これには驚いた。


てっきり昨日の続きと思っていた恭介・・・


「西村さん」


「それとはるかのことなんだけど・・・、まだ納得していないが・・・」


一呼吸をおいて続けた。


「あれだけ嫌われたんじゃな」


「・・・・」


「それと今回の件は、」


西村はかなり申し訳ないような顔をした。


「ええ。わかりました。」


二人はその場を離れた。


「るみちゃんおはよう。」


声をかける山本


「おはようございます。」


浮かない顔をする野村を見て


「大丈夫?顔色悪いけど・・・」


「大丈夫です・・・」


山本を見ると目を真っ赤にした姿がそこにあった。


野村は、それ以上言えず、すっとその場を去った。


その姿を見て山本は、昨日のことを思い出し・・・


言葉が出なくなった。


西村が去った後、恭介は山本にメールを打った


「話がありますの、14時頃屋上へきてください。」


それを見た山本は、最後のお別れね・・、


何もそこまでしなくてもと思いつつ屋上へ向かった。


そこには恭介が立ってた


恭介は緊張しきっていた・・・絶対に告白しよう








屋上に着いた山本が恭介に話しかけた。


「久保君、こんなところまで呼んで一体何の用?」


山本が目の前の恭介を見ると直立不動で立っていた。


どうしたの・・・久保君・・・目の前の光景が理解できない山本


その時だった。直立不動のまま恭介が告白を始めた


「山本さん・・・いや、はるかさん。付き合ってください!」


その言葉を聞いて山本は、


「はあ~!?」


昨日・・野村さんとキスしてたくせに・・・一体何を考えてるの?


悲しみより怒りがこみ上げてきた。


山本は少し恭介に近づいた。


それをみて「やまもと・・さん」と声をかける恭介に


次の瞬間


パチーン


左の頬にビンタが炸裂した。


ぶたれた頬を手で覆い顔を元に戻すと


そこには目に涙を浮かべ怒った山本がいた。


「バカ!!」と叫び


山本は走り去って行った。








階段から下りてくる山本を見つけた野村が


「はるかさん・・」と声をかけたが、山本は無視して走って行った。


なにあれ・・と思いつつも


気になった野村は屋上へいくと


左手を頬にあて、呆然と立ちす恭介がいた。



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