間違いで始まる物語

seabolt

第31話 「×」

月曜


山本は野村に会って挨拶をしていると恭介とすれ違った。


「おはよう」


「あ・・おはようございます。」と挨拶を返す恭介


しかし


野村は浮かない顔をしていた。


山本は少し気になって


「るみちゃん。どうしたの?」


「えっ?」


「何か暗いわよ」


「そうですか?」


「で・・どうだったの土曜日・・」


「別に・・・」と野村は歩くスピードを上げて行った。


「るみちゃん?」とおかしいと追いかける山本・・


恭介はいつもの自販機の前で、休憩していると渡辺があらわれて、


ニヤリと笑みを浮かべ・・・


恭介の顎の辺りを指差しながら。


「お盛んですねぇ~。金曜は山本さん、土曜は野村さんと・・」


恭介は驚いた何でこいつか知っているんだ?


野村さんとのことならわかるけど・・


山本さんとのことは、知らないはずだ。


それとも


俺の女装がばれた?


どきどきしながら


「何だよ!いきなり・・・」と聞き返すと。


「俺は見たんだよ。」


「だから何を」


「土曜日、野村さんと一緒にいるところを・・」


その時、自販機の近くにいた野村は声を聞いて身を潜めた。


「野村さんと・・ああ・・・いたさ・・何か?」


「ふ~ん、認めたか・・・」


渡辺は、拍子抜けした表情をしたが・・・話を続けた。


「でも、お前、前日山本さんのところにいたそうだなぁ?」


「お・・お前・・・証拠でもあるのか?」


「西村さんが教えくれた。」


恭介はその一言にうつむくしかなかった。


「・・・・」


しばらくして、渡辺が


「お前みたいな奴とは、もう縁を切る。俺もどうかしてたぜ・・・同期だから付き合っていたが、前日女の所にとまって、翌日別の女とデートかよ」


言ったとき、廊下のほうでガタッと言う音がした。


そこへ振り向くと涙を流している野村の姿があった。


「野村さん・・・」と声をかける恭介・・


「っ・・」と声にならない状態で、恭介を見る野村・・


次の瞬間


野村は、反対側へ走り出した・・・


恭介は「野村さん!」と追いかけた。


追いかける恭介・・・


何とか野村に追いついて野村の手を引いて


「野村さん・・・聞いてくれ・・」と言うと野村は立ち止まった。


「野村さん・・」と恭介が言った瞬間だった


バチーン!!


恭介の左頬にビンタが飛んできた。


そして


野村は何も言わずに去って言った。


一人残った恭介・・・


ぶたれた頬をさすりうつむいた。


そして


しばらくして


妙な安堵感に気付いた。


その頃


渡辺は西村に恭介のことを言っていた。


「何!、あのヤロ~!!もうゆるさねぇ!!」と西村は激怒した。

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